DevOpsという観点で、クラウドに使えるオープンソースの運用管理ツールとして、Zabbix、Hinemos、Hyperic HQ、Scalr、Aeolusの特徴をまとめて紹介します。
アジャイル開発の注目とともにクラウドによるインフラ構築の効率化、さらにはDevOpsといった開発・運用の継続的な改善とリリースの自動化による短期リリースの実現が注目を浴びています。
クラウドを利用した場合、クラウド本体の運用・管理機能を利用して環境構築やシステムの監視、負荷状況に合わせたスケールアウトができます。
しかしながら、各クラウド固有の機能を利用してしまうと、そのクラウドにロックインされてしまい、将来、より安いクラウドが登場したときの乗り換えや、顧客の希望するクラウドでのシステム構築が必要となったときに、今まで利用していたクラウドの持つ機能が利用できなくなってしまいます。
一方で、環境を特定しない汎用的なクラウド運用・管理ツールを利用しておけば、将来的にクラウドを乗り換えても運用管理の仕組みをそのまま引き継ぐことができ、ツールによっては複数のクラウドを同時に管理することもできます。
特に、これらのツールとしてオープンソースのものを利用すれば、低コストで利用可能です。またソースコードがあれば、追加したい機能を自由に追加することもできます。
本稿では、DevOpsという観点でクラウドで使えるオープンソースの運用管理ツールとして、以下を紹介します。
Zabbixは、Zabbix SIA社によって開発されている運用監視ツールです。2001年からGPLで一般公開されています。WebのGUIから監視項目の設定と、監視状況を確認でき、特別なクライアントを導入することなく、Webブラウザさえあれば利用できるようになっています。また、RDBMSに監視結果を保存し時系列でリソース利用量をグラフで表示できます。
pingやTCPポートによる死活監視、SNMP監視、リソース監視、IPMIを利用したハードウェア監視が行えます。監視した項目に対し、閾値を設定して閾値を超えた際に、メールの送信やスクリプトの実行ができます。
Zabbixは、マルチプラットフォーム対応で、LinuxやWindowsの他、AIX、HP-UX、Solaris、FreeBSD、OpenBSD、(Mac )OS XなどさまざまなOSでZabbixサーバを動作できます。
また、ネットワークマップの作成・表示機能を持ち、Zabbixが属しているネットワークのマップの作成と表示ができます。
一般的な運用監視の観点では、Zabbixは必要十分な機能を備えています。しかしながら、プライベートクラウドなどの仮想環境のサポートは、現時点でのバージョンでは提供されていません。
Zabbixは将来リリースされるバージョン 2.2以降で仮想化監視機能の提供が予定されており、VMware ESX、Xen、KVMの監視と、ハイパーバイザへのコマンド実行ができるようになる予定です。
日本では、ミラクル・リナックス、NRI、SRA、NEC、SIOS、NTTコムテクノロジーなど複数の企業からサポート・導入支援サービスが提供されています。取りあえず、運用監視ツールで迷ったら、Zabbixを選択しておけば間違いはないでしょう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.