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CloudStackのインストールからサーバ起動までCloudStackによるプライベートクラウド構築術(3)(3/3 ページ)

CloudStackは、オープンソースベースのIaaSクラウド構築・運用ソフトウェア。使いやすく、機能が充実していることなどから、大規模なデータセンター事業者や組織での導入が相次いでいる。本連載では、このソフトウェアをプライベートクラウド構築に活用する方法を紹介する

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Webインターフェイスの設定

 いよいよCloudStackのWebインターフェイスから設定を行います。

 WebブラウザからCloudStackのWebインターフェイスのログイン画面にアクセスします。

http://192.168.1.2:8080/client

 ログイン画面が表示されるため、下記を入力しログインします。

Username: admin
Password: password
Domain: (空欄)

図3 Management Consoleのログインj画面
図3 Management Consoleのログインj画面

 ログインすると、 Webインターフェイスの管理用ダッシュボード画面が表示されます。最初はリソースが登録されていないため、キャパシティの表示も空の状態となります。

図4 管理ダッシュボードj画面
図4 管理ダッシュボードj画面

 最初は物理リソースの設定を行う必要があります。Zone、 Pod、クラスタ、ホスト、ストレージのそれぞれを登録します。

図5 物理リソースの設定を行う
図5 物理リソースの設定を行う

 左のメニューから システム > 物理リソース を選択し、画面上部にある「Zone追加」を選択します。Zone作成ウィザードが開きますので、ステップごとに設定を行っていきます。

 ステップ1ではネットワークモードを選択します。今回は「基本モード」を選択します。

図6 ネットワークモードを選択
図6 ネットワークモードを選択

 ステップ2のZone追加の設定では、下記の通りに設定を行います。

名前 : zone1
DNS1 : 192.168.1.254
DNS2 :
内部DNS1 : 192.168.1.254
内部DNS2 :
パブリック : はい

 内部DNS(Internal DNS)とは、CloudStackの内部で使用されるDNSのことです。

図7 Zoneを作成して追加する
図7 Zoneを作成して追加する

 ステップ3のPod追加では、プライベート IP 用のネットワーク設定を記入します。

名前 : pod1
ゲートウェイ : 192.168.1.254
ネットマスク : 255.255.255.0
プライベートIP範囲 : 192.168.1.101 - 192.168.1.150

 プライベートIP範囲とは、システムVMで使用されるプライベート IP アドレスの範囲となります。システムVMは、CloudStackが自動起動するシステム用の仮想マシンです。

 ステップ4のIPレンジ追加では、パブリック IP 用のネットワーク設定を記入します。

ゲストゲートウェイ : 192.168.1.254
ゲストネットマスク : 255.255.255.0
ゲストIPレンジ : 192.168.1.151 - 192.168.1.200

 Guest IP Rangeでは、ユーザー用の仮想マシンで使用される パブリック IPの範囲を指定します。

 入力内容が問題なければ、ウィザードが終了し、Zoneが作成されます。

 次に Pod 内にClusterを作成し、 Cluster内に Hostと Primary Storageをそれぞれ作成します。

 左のメニューから追加されたPodを選択し、クラスタ追加を行います。

ハイパーバイザ : XenServer
名前 : cluster1

 左のメニューから追加されたクラスタを選択し、ホスト追加を行います。

ホスト名 : 192.168.1.4
ユーザー名 : root
パスワード : password

 同様に、Primary Storageの追加を行います。

名前 : primarystorage1
プロトコル : NFS
サーバ : 192.168.1.3
パス : /export/primary
タグ :

 最後に Zoneに対して Secondary Storageを追加します。

 左のメニューからZoneの「セカンダリストレージ」を選択し、Secondary Storageの追加を行います。

NFSサーバ : 192.168.1.3
パス : /export/secondary

 ここまでの設定が正しく行われると、ダッシュボードに情報が反映され、CPU/メモリの容量、IPアドレス、ディスク領域等のリソース状況を確認することができるようになります。また、自動的にシステムVMが立ち上がります。

 Webインターフェイス の システム > システムVM より、システムVMの状態が確認できます。

図8 システムVNの状態が確認できる
図8 システムVNの状態が確認できる

 システムVMの一つである Secondary Storage VM が立ち上がると、ゲストOSのテンプレートのダウンロードが自動的に始まります。

 デフォルトではCentOS 5.3 (64-bit)が登録されているため、該当テンプレートを選択すると、Statusや Download Progressでダウンロード状況を確認することができます。

 Download Progressが100%となり、 StatusがReadyになると準備が終わり、該当テンプレートを指定して仮想サーバ(以下、インスタンス)が起動できるようになります。

インスタンスの作成

 いよいよCloudStackからインスタンスを作成し、Webサーバを構築してみます。

 左のメニューから インスタンス > マイインスタンス を選択し、画面上部にある「インスタンス追加」を選択します。インスタンス起動のウィザードが表示されますので、下記のように入力していきます。

図9 インスタンス作成はテンプレート選択から
図9 インスタンス作成はテンプレート選択から

Template : CentOS 5.3(64-bit) no GUI (XenServer)
Service Offering : Small Instance
Data Disk Offering : 必要ありません
Network : そのまま
Name : testserver1
Group : group1

 数分待つと新しいインスタンスが作成されます。Running状態になればアクセスが可能となります。

図10 作成したインスタンスをモニタリングできるようになった
図10 作成したインスタンスをモニタリングできるようになった

 コンソール画面をクリックするとVNCにアクセスでき、コマンド入力ができるようになります。初期設定では下記のログイン名とパスワードでアクセスすることができます。

login : root
password : password

図3 VNCでアクセスが可能
図3 VNCでアクセスが可能

 また、デフォルトでSSHポートが開いているため、そこからアクセスすることも可能です。

 インスタンスのIPアドレスは、「NICs」タブから確認できます。

 サーバにログインし、Webサーバ(Apache)をインストールします。

# yum -y install httpd

 Webサーバを起動し、自動起動を有効にします。

# /etc/rc.d/init.d/httpd start
# chkconfig httpd on

 インスタンス内のファイアウォール(iptables)の編集を行います。

# vi /etc/sysconfig/iptables

 下記をINPUTチェーンの先頭に追加します。

-A INPUT -p tcp -m tcp --dport 80 -j ACCEPT
-A INPUT -p tcp -m tcp --dport 8080 -j ACCEPT

 iptablesの再起動を行います。

# service iptables restart

 ブラウザからインスタンスのIPアドレスにアクセスします。

http://[インスタンスのIPアドレス]/

 『Apache 2 Test Page powered by CentOS』と表示されれば、正常にWebサーバが起動しています。

 以上が CloudStackのインストール、およびインスタンスの起動の手順です。今回は小規模構成でしたが、CloudStackは適切な構成を組むことにより、サービスプロバイダ向けの大規模構成も可能となります。

 次回は、CloudStackの利用方法について説明していきます。

著者紹介

一般社団法人クラウド利用促進機構(CUPA) 理事

荒井 康宏

クリエーションライン株式会社 シニアエンジニア

飯塚 雅之



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