現役Webエンジニアの英文履歴書を添削する:ITエンジニアのための英文履歴書(2)(1/2 ページ)
ITエンジニアとしてのキャリアとスキル、英語で表現できますか? 「英語を使う仕事はしないから」ではもったいない。カンファレンスやWebサービス上など、英語の経歴はいろいろなところで使えます。初めて英文履歴書を書くエンジニアのために、“英文履歴書の作り方”を伝授。
こんにちは! きょうこ先生です。「ITエンジニアのための英文履歴書 第1回」では、英文履歴書の書き方を解説しました。
英文履歴書に決まった書式がないことで不安に思う人がいるかと思いますが、書式はWeb上にたくさんあるので、心配ご無用。お気に入りの書式や参考にできそうな例文を拝借しつつ、自分の英文履歴書を作り上げてみてください。
さて今回は、実際に英文履歴書を書き上げてくれたエンジニア、石原ヒロシ(仮名)さんの履歴書を例に挙げ、具体的な英文履歴書の書き方を見ていきます。
Webエンジニア・ヒロシさんの履歴書をリファクタリング
ヒロシさんは、英文履歴書作成は初めてとのこと。履歴書作成には、Appleの「Pages」にある履歴書テンプレートを使用したそうです。
まずはヒロシさんの履歴書を見て、「僕なら・私ならこう書く」という改善案を考えてみてください。文章そのものに対するアドバイス、書式に対するアドバイス、どちらでもいいので、読み進める前に考えてみましょう。人の履歴書を添削するモードに入ると、自分の履歴書を書く時の自分へのアドバイスにもなります。
- まずはチェック! ヒロシさんの履歴書Before(PDF)
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ここを変えればもっと良くなる! 5つのポイント
それでは、私から5つの改善ポイントをアドバイスします。前回もお伝えしたとおり、英文履歴書は書式が自由なので、決まったルールはありません。そのため、以下のアドバイスは参考程度にしてください。
●ポイント1:文章に統一感を持たせる
一生懸命、英文と格闘してくれたヒロシさんですが、文章に統一感がありません。
あるところでは作文風に「I」から始まる文章や「Moreover」などの接続詞で文章に流れを持たせようとしているのに、あるところでは「Set up Linux servers running MySQL and Apache……」といった個条書き風の文章が出てきます。
まず、どちらかに統一しましょう。履歴書は、作文風に書くよりは個条書き風にした方がいいでしょう。その方が短い文章の中にたくさんの情報を分かりやすく詰め込めるためです。
例えば、「ABC Internet Media」社での職歴(Work Experience)を見てみましょう。
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(a)いるかいらぬか、会社紹介
ヒロシさんが最初に書いた文「The company manages some large scale web sites」は、会社紹介です。会社紹介を履歴書に入れるかどうかは悩ましいところですが、ヒロシさんは他の社歴に会社紹介を書いていません。統一感を持たせるために、会社紹介は削除してしまいましょう。
もし、自分が大規模サイトの運営に関わったということをアピールしたい場合は、会社紹介としてではなく、社歴欄の業務内容として「大規模サイトの管理」と個条書きで付け足せばいいのです。その場合、規模感を示す具体的な数字を入れて、
- Managed site A (1 million PV/day), site B (2 million PV/day), and site C (3 million PV/day).
とすると、なおいいですね。
(b)背景など、細かに書き過ぎない
また、ヒロシさんはシステムのダウンサイズに成功したことを文章にして語っていますが、ダウンサイズの背景まで履歴書に入れてしまうとスペースが少しもったいないです。「40%のコスト削減につながった」という大きな成果を上げているのですから、それだけで十分アピールポイントになりますし、履歴書にはその事実だけを書いておくといいでしょう。ダウンサイズに至った具体的な背景については、面接時に話せばいいと思います。
以上をふまえ、ABC Internet Mediaでの職歴を箇条書き風に書き直してみましょう。
- Managed site A (1 million PV/day), site B (2 million PV/day), and site C (3 million PV/day).
- Used KVS for load dispersion and speed-up.
- Downsized the system and reduced about 40% of the cost per month.
- Set up Linux servers running MySQL and Apache, and wrote PHP code to run the server.
- Worked on system design and development of CMS [Contents Management System].
- Worked on the system improvement for the internal operations (Used technologies: PHP, Ruby on Rails, Perl).
- Managed team members and negotiated with other divisions or clients as a manager.
順番が若干変わっているのは、新しそうな仕事や、アピールできるのではないかと思うものを、上に移動させたためです。
さらに細かいところまで見ていくと、「Skills and Certifications」の欄に「Oracle 8i / 9i / 10g (I had "ORACLE MASTER Gold 10g")」とある部分も気になります。ここでも「I」という一人称が登場していますが、特にこの欄は個条書きだけで済ませておきたい欄なので、「Oracle 8i / 9i / 10g (with "ORACLE MASTER Gold 10g")」とする方がいいでしょう。
●ポイント2:Keywordsの使い方を見直す
履歴書全体を見渡してみると、「OPQ Systems Integrator」社の職歴欄にだけ「Keywords」という項目が入っているのが気になります。
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ヒロシさんいわく「この時期に取り組んだ技術を入れたかった」とのことですが、特定の職歴欄にのみKeywords欄が存在していると、ちょっと不自然です。
(c)すべての欄にKeywordsを入れる/Keywordsを独立させる
「Keywords」を入れたいのであれば、すべての職歴欄に「Keywords」を設けるか、「Keywords」を職歴欄から独立させてしまいましょう。「Keywords」は独立させても大丈夫な項目です。
他の職歴欄に「Keywords」を入れないまま、OPQ Systems Integrator社の「Keywords」で並べた技術を職歴欄に入れたい場合は、職歴の一部にしてしまいましょう。
- Used technologies such as J2EE,JSP, Struts, CORBA, C#, Pro*C, Jakarta products, Tomcat
(d)「study」しただけ?
また、同じくOPQ Systems Integrator社の中で出てきた「I also studied object-orientation……」という表現についてもちょっと一言。「study」という言葉のイメージは、文字通り「勉強する」。「給料をもらいながら勉強しただけ?」なんて印象を持たれないためにも、「research」(調査する)という言葉に置き換えてみると良いでしょう。内容は変わらなくても、言葉から受ける印象はぐっと変わります。
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