旭化成の新情報系システムはSAP HANAで構築:情報系システムの動向
旭化成の情報システム改革プロジェクトにおいて、情報活用基盤としてSAP HANAを採用。部門担当者が直接、リアルタイムに分析可能なプラットフォームを採用することで、競争力向上を目指す。
旭化成は、自社およびグループ傘下企業を含むERPシステム統合プロジェクトにおいて、ERPで扱う業務データのリアルタイム分析のための情報活用基盤を構築した。システム構築を担当したNEC(NEC プロセス業ソリューション事業部)およびコンサルティングを担当したアビームコンサルティングが共同で2013年7月1日に発表した。システムはすでに実稼働している。会計のみならず、生産・購買・販売・物流などの業務データを、インメモリデータベースである「SAP HANA」で高速に分析処理させる。
旭化成では、2015年までにグループを横断する基幹業務システムを完成させる計画を立てており、2013年5月にはプロジェクトの第1期を完成させている。従来、事業会社ごとにSAP ERPを導入していたが、事業横断的な組織改編へのシステム側の対応が困難であること、グループ内に多数のERPシステムが置かれることなどが課題となっていた。こうした背景から旭化成では、2011年4月よりグループ共通のインフラ構築を目的に、情報系システムの刷新とERPシステムの統合を推進している。情報系システムの刷新とERPシステムの統合を推進している。このプロジェクトでは、メンテナンスコストの掛かる自社開発のアドオンプログラムや帳票システムの削減なども含まれている。今回のNECらの発表は、こうした旭化成の情報システム刷新の一環として位置づけられる。
今回構築した情報活用基盤は、統合したERPシステムで扱う会計・生産・購買・販売・物流などの大量の業務データを、SAP HANAを活用して高速処理し、さまざまな粒度での分析およびレポートを、ユーザーが任意に実行できるようにしている。具体的には、グループの個々の企業単位、事業別などの大区分のほか、製品製造工程単位でのコスト分析といった細かな粒度での分析も実現させる。また、データ分析部門に依存せず、部門の担当者が直接任意のレポートをリアルタイムに取得できる点も特徴になっている。
旭化成では、個々の担当者が詳細な分析をリアルタイムで行える仕組みにすることで、将来予測や意思決定速度を速め、競争力強化につなげるとしている。併せて、グループ内の意識変更へのシステム側の対応をより効率的に行える体制を整え、システム保守・運用コスト削減も実現する。
NECおよびアビームコンアルティングでは、今後もSAP ERPおよびSAP HANAを活用した情報システム改革の支援を拡大していくとしている。
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