検索
連載

第3回 Google Apps for Businessの導入方法を知るWindowsシステム管理者のためのGoogle Apps入門(2/2 ページ)

「自前のドメインでGoogle Appsを試用し始めたら、もう移行するより他ない」 それって本当? Google Apps for Business導入にまつわる誤解や不安、疑問を解消するべく、無料トライアルによる具体的な導入手順や注意点を詳しく解説する。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

●導入手順3: MXレコードの切り替え

 MXレコードを切り替えると、Google Apps for Businessに登録したドメインでメールを受信できるようになる。基本的な手順は「導入手順2: 利用するドメインの所有権確認」とよく似ているが、所有権の確認は不要であり、DNSの設定でMXレコードを変更するだけでよい。なお、この手順を完了すると、既存のメールシステムにはメールが配送されなくなるので注意していただきたい。

MXレコードを切り替える手順
MXレコードを切り替える手順

○手順1: 管理コンソールからMXレコードに設定する値を取得する

 まずはGoogle Apps for Businessの管理コンソールにアクセスし、以下の手順で設定値を取得する。

MXレコードに設定する値を取得する: ステップ1/6
MXレコードに設定する値を取得する: ステップ1/6
  (1)[次のステップ]ボタンをクリックする。
次へ
MXレコードに設定する値を取得する: ステップ2/6
MXレコードに設定する値を取得する: ステップ2/6
  (1)[Gmail を設定]ボタンをクリックする。
次へ
MXレコードに設定する値を取得する: ステップ3/6
MXレコードに設定する値を取得する: ステップ3/6
  (1)[では、やってみましょう。]ボタンをクリックする。
次へ
MXレコードに設定する値を取得する: ステップ4/6
MXレコードに設定する値を取得する: ステップ4/6
  (1)[Gmail サーバー]を選択する。
  (2)[次へ]ボタンをクリックする。
次へ
MXレコードに設定する値を取得する: ステップ5/6
MXレコードに設定する値を取得する: ステップ5/6
  (1)DNSを管理しているドメインレジストラを選ぶ。本稿では[その他]を選択している。
  (2)[次へ]をクリックする。
次へ
MXレコードに設定する値を取得する: ステップ6/6
MXレコードに設定する値を取得する: ステップ6/6
1つ前のステップで選択したドメインレジストラ向けに、MXレコードの変更方法が表示される。ここでは一般的な手順が記されている。
  (1)MXレコードとして設定する値。これをメモしておく。

優先度 参照先
1 ASPMX.L.GOOGLE.COM.
5 ALT1.ASPMX.L.GOOGLE.COM.
5 ALT2.ASPMX.L.GOOGLE.COM.
10 ASPMX2.GOOGLEMAIL.COM.
10 ASPMX3.GOOGLEMAIL.COM.
MXレコードとして設定する値の一覧
既存のMXレコードを置き換える形で、これらを追加する。

○手順2: ドメインレジストラのDNS設定画面でMXレコードを作成して値を設定する

 次に、ドメインレジストラのDNS管理画面にアクセスする。主要なドメインレジストラでの設定手順は、次のヘルプページから参照できる。

  • MX レコードについて(Google Apps管理者用ヘルプ)
    *左側のメニューにある「ドメイン プロバイダ別の MX レコード」から参照できる
お名前.comでMXレコードを追加する画面
お名前.comでMXレコードを追加する画面
  (1)ホスト名には、対象のドメインを指定する。
  (2)レコードの種類(TYPE)には、MXレコードを選択する
  (3)値(VALUE)には、メモしておいた5つの参照先を設定する。
  (4)優先度にも、メモしておいた値をそれぞれ設定する。

 以上でMXレコードの切り替え作業は完了だ。設定が反映(最大72時間かかる)されればGoogle Apps for Businessに登録したドメインでメールを受信できるようになる。設定が反映されたか否かは、Google Apps for Businessの管理コンソールで前述の「MXレコードに設定する設定値を取得する」と同様の手順でステップ6/6まで画面を進め、[次へ]ボタンをクリックすると以下のように確認できる。

MXレコードの切り替えがまだ反映されていない場合の管理コンソールの表示
MXレコードの切り替えがまだ反映されていない場合の管理コンソールの表示
  (1)MXレコードの切り替え中は「MXレコードを確認しています...」というメッセージが表示される。
  (2)画面の上部にも「ドメインは確認済みです。メールの設定待ちです。」というメッセージが表示される。
次へ
MXレコードの切り替えが反映された後の管理コンソールの表示
MXレコードの切り替えが反映された後の管理コンソールの表示
  (1)<登録したドメイン名> 用の Gmail の設定が完了しました。」と表示される。同時に、画面の上部の「ドメインは確認済みです。メールの設定待ちです。」というメッセージは消える。

●導入手順4: ユーザーの作成

 ドメインの所有権確認とMXレコードの切り替えが完了すれば、実質的に、最初に登録したユーザーはすでに各サービスが利用できるようになっている。だが、同じ組織内の複数人で利用するためには、その他のユーザーも作成する必要がある。

 ユーザーの作成方法は、第2回でも説明した通り、大きく3種類の方法が用意されている。

  • 小規模向け: 管理コンソールから一人一人を個別に作成する
  • 中規模向け: CSVを利用して1ファイルあたり500ユーザーまでを一括で作成する
  • 大規模向け: Active Directory上のユーザーをGoogle Apps for Businessに同期する

 ここでは小規模向けを想定して、管理コンソールから一人一人を個別に作成する方法について説明する。

ユーザーの作成: ステップ1/5
ユーザーの作成: ステップ1/5
まずは管理コンソールにアクセスする。
  (1)[ユーザー]アイコンをクリックする。
次へ
ユーザーの作成: ステップ2/5
ユーザーの作成: ステップ2/5
  (1)このボタン([他のユーザーを追加]ボタン)をクリックする。
次へ
ユーザーの作成: ステップ3/5
ユーザーの作成: ステップ3/5
  (1)[ユーザーを手動で追加する]を選ぶ。
  (2)[次へ]ボタンをクリックする。
次へ
ユーザーの作成: ステップ4/5
ユーザーの作成: ステップ4/5
  (1)必要事項を入力する。
  (2)[新しいユーザーを作成]ボタンをクリックする。
次へ
ユーザーの作成: ステップ5/5
ユーザーの作成: ステップ5/5
  (1)[完了]ボタンをクリックすると、ユーザー作成は完了する。
  (2)引き続き別のユーザーを作成するなら、[他のユーザーを作成]をクリックする。

●導入手順5: 支払い情報の設定

 無料トライアルの期間は30日と決められており、延長はできない。今回紹介している手順で無料トライアルを行い、その上で購入を決定した場合の手順についても説明する。

 Google Apps for Businessの購入方法は大きく2種類に分類される。

  • 管理コンソールから直接購入: クレジットカードで支払い(月払いまたは年払い)
  • 販売代理店から購入: 銀行振込、またはクレジットカードで支払い(月払いまたは年払い)

 管理コンソールから直接購入する場合、必要ならGoogle Apps for Businessの公式ホームページの料金ページから見積書を表示・印刷できる。

Google Apps for Businessの見積書の例
Google Apps for Businessの見積書の例
これは年払いで5ユーザーを買った場合の月額の見積書である。

 今回は、管理コンソールからの支払い方法について説明する。

支払い情報の設定: ステップ1/5
支払い情報の設定: ステップ1/5
  (1)[お支払いを設定]ボタンをクリックする。
次へ
支払い情報の設定: ステップ2/5
支払い情報の設定: ステップ2/5
  (1)支払いプランを選択する。
  (2)[次へ]ボタンをクリックする。
次へ
支払い情報の設定: ステップ3/5
支払い情報の設定: ステップ3/5
  (1)購入内容を確認する。
  (2)リンク先の契約内容を確認したら、チェックを入れてオンにする。
  (3)[次へ]ボタンをクリックする。
次へ
支払い情報の設定: ステップ4/5
支払い情報の設定: ステップ4/5
  (1)支払いに必要な情報を入力する。
  (2)[続行]ボタンをクリックする。
次へ
支払い情報の設定: ステップ5/5
支払い情報の設定: ステップ5/5
  (1)クレジットカード情報を入力する。
  (2)[送信してアカウントを開始する]ボタンをクリックする。

 なお、銀行振込を希望する場合など、販売代理店から購入したいなら次のページから販売代理店を検索できる

既存環境からのデータの移行

 本連載を読み進める中でGoogle Apps for Businessに興味を持った読者への情報として、無償版Gmailや他のメールシステムからGoogle Apps for Businessへの移行方法について簡単に解説する。いずれも無料トライアル中に試すことが可能だ。

●移行方法1: Exchange ServerやLotus Notes/Dominoから管理者主導で移行する

 グーグルは主要なメールシステムからの移行を支援するために、無償で移行ツールを提供している。例えばExchange ServerやLotus Notes/Dominoからの移行には、次のツールが利用できる。

 これらによってメールやカレンダー、連絡先などのデータを移行できる。Exchange Serverの場合はパブリックフォルダの移行にも対応している。

GAMMEやGAMLNによるデータ移行
GAMMEやGAMLNによるデータ移行
両ツールともに、メールやカレンダーなどサーバー内のメールボックスに格納されているデータをサーバーサイドで移行できる。

●移行方法2: IMAPを利用した管理者主導の移行方法

 前述のGAMMEツールはIMAPによる移行機能も搭載しているため、無償版Gmailやレンタルサーバー、インターネットサービスプロバイダー(ISP)などのメールデータをGoogle Apps for Businessに移行する場合にも利用できる。

IMAPサーバーからのデータ移行
IMAPサーバーからのデータ移行
GAMMEはIMAPで接続可能なサーバー(無償版Gmailやレンタルサーバーなど)からのメールデータの移行にも対応している。

●移行方法3: PSTファイルを利用した管理者主導の移行方法

 Microsoft Outlookを利用してPSTファイルに既存システムのメールデータを格納できる場合、前述のGAMMEツールを利用すると、PSTファイルによるメールデータの移行も可能だ。

PSTファイルを利用したデータ移行のイメージ
PSTファイルを利用したデータ移行のイメージ
PSTファイルは、Outlookがメールを保存するために利用しているファイル形式。GAMMEは複数のPSTファイルを一括でGoogle Apps for Businessに移行する機能も搭載している。

●移行方法4: Outlookを利用したユーザー主導の移行方法

 Outlookを利用しているユーザー自身が、次のツールを利用してメールやカレンダーなどを移行することも可能だ。

 両者の違いは、移行後にOutlookを使わない場合はGAMMOを利用し、移行後もOutlookを使い続ける場合はGASMOを利用する、という点である。

ユーザーによるOutlookクライアントからのデータ移行
ユーザーによるOutlookクライアントからのデータ移行
GAMMOやGASMOを利用することで、ユーザーが利用しているOutlookからのデータ移行、またはデータ同期を実現できる。

Active DirectoryとGoogle Apps for Businessの連携

 Google Apps for Businessでは、Active DirectoryやLDAPサーバーなど、さまざまなディレクトリ管理製品と同期するためのツールが無償提供されている。

 その主な目的は、大規模なユーザー管理を行っている組織が効率よくGoogle Apps for Business環境にユーザーを作成し、その情報を更新することである。上記のディレクトリ同期ツールは、組織のディレクトリ管理サーバーからGoogle Appsへの一方向で情報を同期する。そのため、Active Directoryを利用している場合はActive Directoryの環境の管理だけしていれば、Google Apps for Business側のユーザー情報は自動的に管理される仕組みだ。

 その他、専用のシングルサインオン製品*1を導入せずに、簡易的なシングルサインオン(Active Directory環境と同じユーザーIDとパスワードを利用)したい場合には、パスワード情報だけを同期するためのツールも無償で公開されている。

GADSやGAPSを利用したActive Directoryの同期イメージ
GADSやGAPSを利用したActive Directoryの同期イメージ
Active DirectoryとGoogle Apps for Businessで同じユーザーIDとパスワードを利用できるようになる。

*1 Windows Serverは標準でクラウドサービスなどとのID連携(フェデレーション)機能を備えており、これを利用してActive DirectoryとGoogle Apps for Businessのシングルサインオンを実現することも可能だ。詳細は連載「クラウド・サービスと社内システムとのID連携 最新トレンド 第4回 Google Appsとのアイデンティティ基盤連携を実現する」を参照していただきたい。



 今回はGoogle Apps for Businessの導入方法について、無料トライアルを使用した具体的な手順を用いて解説した。今回解説した通り、Google Apps for Businessには、Windows環境との親和性を高くするための無償ツールが多数公開されている。これからGoogle Apps for Businessの導入を検討される方や、本連載で興味をもったがスムーズに環境構築をするための一助となれば幸いである。

 次回はGoogle Apps for Businessの導入後の初期設定と管理方法について解説する。


「Windowsシステム管理者のためのGoogle Apps入門」のインデックス

Windowsシステム管理者のためのGoogle Apps入門

Copyright© Digital Advantage Corp. All Rights Reserved.

前のページへ |       
ページトップに戻る