大和ハウス工業はグループ全体のDB基盤統合と高速化をどう実現したか:CAD設計データも、部品情報も、会計処理も一元化・高速化(2/2 ページ)
大和ハウス工業はグループ全社で利用する基幹業務システムの統合データベース基盤として「Oracle Exadata」を導入し、バッチ処理を最大241倍高速化。その高い性能とコスト効果を確信すると、さらにSAP ERPのバックエンドデータベースにも採用するなど活用の輪を広げてきた。[プライベートクラウド/データベース統合][パフォーマンス改善][運用管理効率化][Engineered System]
Oracle Exadataにより夜間バッチ処理を241倍も高速化。SAP ERPのバックエンドDBとしても導入
このプロジェクトでOracle Exadataのメリットを実感した加藤氏らは、業務推進システム、そして会計システムへの導入も進める。このうち業務推進システムへの導入では、既存の「Oracle Database 11g」環境から、わずか2日で切り替えが完了したと加藤氏は振り返りつつ、その導入効果の高さを強調する。
「Oracle Exadataへの切り替えで最も大きく改善されたのは、夜間に行っていたバッチ処理です。従来1時間20分程度かかっていましたが、それがわずか20秒で完了したのです。実に241倍も高速化できたわけです。このシステムでは経費精算も行っているのですが、期末の直前になると1万数千名の従業員が一斉にこのシステムで経費を入力し始めます。すると以前のシステムではレスポンスが大幅に低下し、各部門長から『動かないからどうにかしろ』と怒られていました(笑)。これがOracle Exadataに切り替えたことで、遅延がまったくなくなったのです」(加藤氏)
2015年2月には、SAP ERPで構築された会計システム(DG-CORE)のデータベース基盤をOracle Exadataに置き換えている。その効果として、加藤氏がまず挙げるのがコスト削減だ。
「SAP ERPは本番機に加えて開発機や検証機も必要となり、相応のコストが掛かっていました。これをOracle Exadata X4-2に移行したことで、1/4ラックと1/8ラックの2台で賄えるようになりました。バックアップ用を含めてもサーバーの台数が減り、運用/保守などのコストを大きく削減することができました」(加藤氏)
会計処理パフォーマンスが大幅アップ。期末の締め処理も“残業なし”で対応可能に
Oracle Exadataを導入したことで、各種の会計処理のパフォーマンスも大きく向上している。例えば、出力処理の一つである契約/受注/売上計上明細の出力は、これまで平均で2分5秒程度かかっていた。この処理をわずか5秒と、24倍もの高速化を果たしたのだ。
「特に3月は工事代金の支払いなどがあり、かつてはIT部門のスタッフも連日21時くらいまで残業していました。それがOracle Exadataに切り替えた今年の3月は、毎日18時に帰れたのです。Oracle Exadataに入れ換えたことでシステムの処理も業務もスムーズに進むようになり、残業がほとんどなくなったわけです」(加藤氏)
このようにOracle Exadataの導入効果を述べると、加藤氏は最後に、ユーザー企業がクラウドサービスを利用する上でのポイントをいくつか紹介した。
「クラウドプロバイダーの技術レベルは非常に大切なポイントです。今日、“安かろう、悪かろう”のクラウドサービスは沢山あります。しかし、多少高くても、技術面、セキュリティ面が確かなところを使うべきだと思いますし、そうした方がTCO(総所有コスト)は安くなるのではないでしょうか。
また、運用の切り分けを明確にしておくことも重要です。現状、クラウド上のシステムがささいな理由でハングアップし、単にサーバーを再起動するだけで復旧できるという状況でも、クラウドプロバイダーはユーザーからの指示を待って再起動などの対応を行います。つまり、ユーザーがトラブルに気付かずにいると、その分、対応が遅れるわけです。そのような場合はプロバイダーが自主的に再起動するといったことを事前に取り決めておかないと、小さなトラブルが大きな影響や損失を招く可能性があります」(加藤氏)
以上、ここではクラウド活用の先進企業として知られる大和ハウス工業におけるOracle Exadataの活用事例と、その効果を紹介した。クラウドのメリットとデメリットを熟知し、その利点を最大化しながら着々と活用レベルを高める大和ハウス工業。同社の基幹業務を支える統合データベース基盤として、Oracle Exadataは今後も大きな役割を果たしていくことになりそうだ。
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