賃貸vs.持ち家、どっちがお得?――住居選びも戦略だ:経済評論家・山崎元の「エンジニアの生きる道」(22)(2/3 ページ)
エンジニアがエンジニアとして生き残るためには、ビジネス的な観点が必要だ。ビジネスのプロである経済評論家の山崎元さんがエンジニアに必要な考え方をアドバイスする本連載。今回は「エンジニアの住居戦略」を考える。
重要な「立地」
住居選択において、経済的重要性を持つポイントの一つが、どこに住むかという「立地」だ。
住居の立地は、日々の「時間」と「コンディション」に大きな影響を与える。例えば、30分通勤と1時間通勤では、出勤日1日当たり、往復1時間の差が出る。
時間の差に対するコストを「時給」で計算してみよう。
1日8時間労働のエンジニアが年間250日出勤したら、年間の労働時間は2000時間だ。この時間で年収を割ると、時給を計算できる。年収1000万円なら、時給は5000円だ。
年収1000万円÷年間労働時間(1日8時間×250日=2000時間)=時給5000円
年間出勤日を12で割ると、月間出勤日数は20.8日となる。この日数に上記の時給を掛けてみよう。1時間通勤の人は30分通勤の人より、1カ月に10万4000円も余計にコストを掛けている計算になる。
月間出勤日(年間250日÷12カ月=20.8日)×時給5000円×1日当たりの通勤の時間差1時間=コスト10万4000円
多忙なエンジニアの場合、「1時間」がもたらす「睡眠時間の差」と「通勤の追加的ストレス」が仕事の能率に与える影響も考えるべきだろう。
知的職業に携わっておられる方なら、5時間睡眠の頭脳と6時間睡眠の頭脳の「生産性」の差と、それがもたらす「気分」の差をよくご存じだろう。生産性の差は「評価」の差につながり、将来どのような仕事ができるかの違いにもつながる。
なお、最適な住居の立地は、家族の事情によっても変化する。典型的なのは、子どもの教育環境の選択だ。居住地を変えやすいことは、賃貸住まいのプラス要因だ。ということで、次ページでは、持ち家と賃貸について考えていこう。
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