マイクロソフトとR3コンソーシアム、ブロックチェーン技術の実用化推進に向け戦略的提携:ブロックチェーン技術団体がAzureを採用
マイクロソフトと新興企業R3主催のコンソーシアムが、ブロックチェーン技術の実用化推進に向けた戦略的提携を結んだ。
米マイクロソフトは2016年4月4日(米国時間)、ブロックチェーン技術の実用化推進に向けて、新興企業の米R3が主催する同技術に関する世界的大手金融機関のコンソーシアムと戦略的提携を結んだと発表した。
この発表は、米ルイジアナ州ニューオリンズで同日に開幕したマイクロソフトのカンファレンス「Microsoft Envision 2016」で、同社の事業開発担当エグゼクティブバイスプレジデントを務めるペギー・ジョンソン氏が行ったもの。
分散型の仮想通貨システム「Bitcoin」で使われた「ブロックチェーン」は、現在使用されているソリューションと比べ、金融取引をより高速かつ安全に、コスト効率と透明性の高い方法で完了できる技術として、金融/通貨に限らず、さまざまな分野での応用が期待されている。
R3は、R3コンソーシアムに加盟する40以上の金融機関にサービスを提供する「R3 Lab and Research Center」の優先クラウドプラットフォームとして、マイクロソフトが展開するパブリッククラウド「Microsoft Azure」を選定した。この提携に基づき、マイクロソフトは世界各地に設置されているR3のラボにクラウドベースのツール、サービス、インフラを提供し、R3ラボを担当する専任の技術アーキテクト、プロジェクトマネジャー、サポート担当者を置く。
ジョンソン氏はこの提携の狙いを、「R3コンソーシアムに加盟する金融機関が取り組むブロックチェーン技術の開発、テスト、デプロイを支援する。この取り組みは、長年使用されてきたプロセスのモダナイズや、運用の効率化につながる他、バックオフィスコストを大幅に低減する可能性がある」と述べた。
さらに、「この提携により、R3コンソーシアムの加盟金融機関はブロックチェーン技術の導入に向けて、インテリジェント技術を活用して実験・検証の速度も高め、俊敏な技術的対応を進め、学習を早めることができるようになる。クラウドプラットフォームであるMicrosoft Azureを使用するとともに、現在は45社以上となっているわれわれのBlockchain as a Serviceソリューションプロバイダーのネットワークを開発とテストに利用することが可能になる」と説明している。
R3のデビッド・ラターCEOも、「マイクロソフトとR3のパートナーシップを機にブロックチェーン技術の利用が拡大し、金融サービス業界全体の変革につながっていくだろう。Azureプラットフォームとそのインテリジェントクラウドサービスは、この新しい金融エコシステムに高度な機能をもたらす。マイクロソフトのコミットメントは、世界におけるブロックチェーン技術の導入を加速し、R3 Lab and Research Centerのサービスを新たなレベルに引き上げてくれる」と述べ、提携による技術躍進への期待とさらなるサービスレベルの向上を画策する。
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