全国の病院の診療データを一元管理、日立が国立病院機構のデータ集積基盤を構築:医療IT推進×電子カルテ標準化に向けたプラットフォーム
日立製作所が、国立病院機構の「国立病院機構 診療情報集積基盤」のデータ集積基盤を構築。個別の電子カルテデータを統一フォーマットで一元管理し、データ分析しやすく整備することで、今後の医療の質の向上につなげる。
日立製作所は2016年4月13日、国立病院機構の「国立病院機構 診療情報集積基盤(National Health Organization Clinical Data Archives:NCDA)」のデータ集積基盤を構築し、同年3月28日に稼働を開始したと発表した。
国立病院機構は2016年4月現在、国内で143の病院を運営。既に電子カルテなどの形式で電子化された診療情報を運用しており、これらを一元管理してデータ分析を行い、より医療の質を高めていく「電子カルテデータ標準化などのためのIT基盤構築事業」を推進している。
カルテの電子化は既に多くの医療施設で進んでいるが、メーカーや施設の規模、方針、導入時期などによってさまざまな仕様が存在し、データの互換性を確保できないケースがある。全ての施設で同じ電子カルテシステムを導入すればデータ互換性の課題は解決するが、現実は運用/コストの両面で困難。そのため、蓄積されたデータを統合的に活用できず、データ分析の幅を広げられないことが課題になっていたという。
国立病院機構ではこのデータ集積基盤を、運営する全ての病院の電子カルテデータを一元的に収集・蓄積し、活用するための基盤に据える。各病院の個別の電子カルテデータについては、厚生労働省電子的診療情報交換推進事業が策定し、2016年2月に「厚生労働省標準規格」として認定された診療情報の標準仕様である「SS-MIX2」形式で収集する。同時に、別途蓄積された「DPC(Diagnosis Procedure Combination:診断群分類別包括評価)」データや、レセプト(診療報酬明細書)データも統合してデータベース化する。
こうした手法を採ることで、各病院が運営する電子カルテシステムに変更を加えることなく、電子カルテ情報を収集し、分析可能とした。膨大な診療情報を効率的に分析し、可視化することで、提供する医療の質の向上や病院の経営効率改善につなげたいとしている。
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