私は技術オタク――エンジニア出身社長の「フロリダでのゴルフ三昧よりも楽しいこと」:Go AbekawaのGo Global!〜Tom Lagatta編(1/3 ページ)
クラウドでアプリケーションのオンデマンド提供を行う「Numecent」CEOのTom Lagatta氏。元エンジニアであるLagattaに、エンジニアのキャリアパスや、エンジニアが活躍するために必要なマインドを伺った。※Lagatta氏から日本のエンジニアへのメッセージ動画付き
アップルやディズニーなどの外資系企業でマーケティングを担当し、グローバルでのビジネス展開に深い知見を持つ阿部川“Go”久広が、グローバルを股に掛けたキャリアを築いてきたIT業界の先輩にお話を伺うインタビューシリーズ。第9回はクラウドでアプリケーションのオンデマンド提供を行う「Numecent(ニューメッセント)」のCEO、Tom Lagatta(トム・ラガッタ)氏にお話を伺った。
エンジニア出身で自分を「技術オタク」だと言うラガッタ氏は、なぜ経営サイドにキャリアチェンジしたのか。そしてエンジニア経験は経営に役立っているのか。氏の考えは、全てのエンジニアがいずれ直面する「技術かマネジメントか」の選択時の参考となるだろう。
競合は従来の方式や考え方
Tom Lagatta(トム・ラガッタ) 「Numecent」President&CEO
Symbios社の技術職および上級管理職、Anadigics社のExcutive Vice President(上級副社長)およびGM(最高経営責任者)、Broadcom社のSenior Vice President(上席副社長)およびGMを経て、2014年1月Numecent社にジョイン。2015年1月より、同社社長兼CEO(最高経営責任者)
阿部川“Go”久広(以降、阿部川) Numecentはどのような製品やサービスを提供する会社なのですか?
Tom Lagatta(トム・ラガッタ:以降、ラガッタ氏) Windows技術を基に開発し、特許を取った「Cloudpaging(クラウドページング)」技術を使って、信頼性が高く、安全な形にアプリケーションを最適化し、ユーザーに届けるサービスを提供しています。
ユーザーは物理PCまたはヴァーチャルマシン上にクライアントエージェントを置き、サーバ側にパッケージされたアプリケーションを置き、クライアントエージェントのオンデマンドリクエストに対しCloudpagingで配信します。ユーザーは利用したいときだけ、仮想的にアプリケーションを利用します。
アプリケーションをパッケージするため、「Cloudpagingスタジオ」と呼ぶツールを使って、アプリケーションを部分的にコンテナ化します。クライアント側に配信されたコンテナはアプリケーション全体の約5%ですが、アプリケーションを問題なく稼働させられますし、必要に応じてコンテナのデータが都度ネットワークから配信されるので、要求するアプリケーションの機能を利用できます。
コンテナはカスタム化できます。アプリケーションがサーバ上で変更されると、その変更が自動的にコンテナにアップデートされます。もちろん、セッションの全てをモニターし、サーバもコンテナトラッキングをサポートするので、高いコンプライアンスを保てます。
阿部川 Cloudpaging技術を用いると、使いたいアプリケーションの使いたい一部の機能だけをダウンロードして利用できるということですか?
ラガッタ氏 はい、そうです。利点はいろいろあります。
第1は「ITコストの軽減」です。
例えばグローバルレベルの建設会社でしたら、従業員の3分の1は常時、地球のどこかで眠っており、その間アプリケーションは使われません。「フルライセンス」で「常時」アプリケーションを使うよりも、「使用するときだけ」使い、それに対してお金を払う方が効率的です。
第2は、ITの手間の削減です。
先の建設業界でしたら、10年単位で使い続けられているアプリケーションがたくさんあります。サードパーティーのアプリケーションなどを使っている場合は、わざわざ古いバージョンを使わねばならないときもあります。
そんなときにCloudpagingを使えば、アップグレードもダウングレードも瞬時に行えますから、「最新のアプリケーションをわざわざ消去して、その上で新たに古いバージョンのアプリケーションをインストールする」などという煩雑な手続きは不要です。コンテナのインストールもメンテナンスも簡単です。
阿部川 競合企業はどこでしょうか?
ラガッタ氏 最大の競合は、具体的なある企業ではなく、従来型のアプリケーションのダウンロードやインストールという「方式」だと思います。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- Go AbekawaのGo Global!〜Scott McNealy編:「Network is the computer」の男が思い描く、コンピュータの未来
グローバルを股に掛けたキャリアを築いてきたIT業界の先輩にお話を伺うシリーズ。今回はサン・マイクロシステムズ社共同創立者のScott McNealy氏に、同社創立時の思い出、そして現在取り組んでいること、エンジニアへの思いなどを伺った。※マクネリー氏のメッセージ動画付き - Intelが167億ドルで手に入れるもの
Intelが167億ドルでAlteraを、AVAGO TechnologiesがBroadcomを買収するなど、半導体業界は大型買収が続いている。半導体業界の再編は、1次リーグが終わり、決勝トーナメントが始まっている - エンジニアとして進化し続けるには
@ITゆかりの方々、カッコいいエンジニアの皆さんにお話を伺う本シリーズ、今回は日米で活躍する開発者 増井さんに、エンジニアが進化し続けるために必要なマインドセットについて解説してもらう