三菱アルミニウムがマルチテナント機能で販売/生産管理データベースを一挙集約し、事業継続性も強化。その選択の理由とは?:基幹DBのBCP対策強化、管理性と性能の大幅向上を実現(1/3 ページ)
三菱アルミニウムは2015年12月、中核生産拠点となる富士製作所で稼働する基幹データベース群を、Oracle Database 12cのマルチテナント機能を用いてOracle Database Appliance上に集約。事業継続性の強化と運用管理性/パフォーマンスの大幅向上を果たした。[プライベートクラウド/データベース統合][Engineered System][Database Security]
国内生産のほぼ全量を支えるデータベース基盤をOracle Database 12cとOracle Database Applianceで刷新
三菱アルミニウムは、三菱グループの非鉄金属事業分野を担う三菱マテリアルグループの中核企業として、アルミ製造/加工に関する高い技術力を武器に、飲料用缶材、印刷版、自動車用部材、コンデンサー用箔をはじめとする高品質な板製品、押出製品、箔製品を開発/製造/販売している。グローバル化にも精力的に取り組んでおり、現在は2015年に操業を開始したインド工場の他、米国、タイ、中国に製造/販売拠点を構えている。
そんな同社は2015年12月、国内の主要生産拠点となる富士製作所(静岡県裾野市)の販売システムと生産管理システムで利用しているデータベース群を「Oracle Database 12c Enterprise Edition」のマルチテナント機能(Oracle Multitenant)を用いて「Oracle Database Appliance」上に統合し、運用管理性と性能の大幅向上、事業継続計画の強化を果たした。同社は、なぜOracle Database 12cとOracle Database Applianceを選んだのか? その理由、プロジェクトの詳細に迫った。
三菱アルミニウムの国内生産のほぼ全量を支える富士製作所は、約7万1000坪の広大な敷地に鋳造、板圧延、箔圧延、押出といったアルミニウム製造/加工の全工程を擁する、国内有数の総合圧延工場である。1963年に操業を開始した同製作所では、かつて販売/生産管理に関する業務処理を全てメインフレーム上で行っていたが、やがて訪れたオープン化の流れを受け、1992年にWindowsクライアントとUNIXサーバによるクライアント/サーバ型システムに移行。その際、RDBMSとしてOracle 7を導入し、以来、バージョンアップを重ねながら、夜間バッチ処理の一部を除く販売/生産管理業務の全てを、このシステム上で行ってきた。
三菱アルミニウム 生産技術本部 情報システム部長の合家正之氏は、同システムの重要性を次のように強調する。
「アルミニウム製造は装置産業であり、生産設備をどれだけ長時間、正確に稼働できるかが利益を大きく左右します。そのため、従来は人手で行っていた生産計画や設備の稼働制御などを徐々に機械化/IT化することで生産性を高めてきました。富士製作所の販売/生産管理システムは、ここで働くほぼ全ての従業員が販売や生産管理業務で利用しており、これに何かトラブルが生じて生産設備が1日停止すれば、2億円以上の多大な損額を被ります。その意味では、まさに当社の基幹を担うシステムだといえます」
データベースサーバの更改を機に、BCP対策強化、運用効率化、パフォーマンス向上に取り組む
その基幹システムで利用するデータベース基盤に大刷新の機会が訪れたのは2014年のこと。それまで利用してきたUNIXサーバが保守期限切れを迎えたのが直接的な契機となる。
当時、富士製作所では生産管理システム、販売システム、バックアップ用の計3台のUNIXサーバ上でOracle Database 10g Standard Editionを利用。このうち、生産管理用サーバ上では押出、板圧延、箔圧延の各工程を管理する3つの生産管理用データベースが、販売システム用サーバ上では認証用データベース、販売管理用データベース、関連子会社が利用するデータベースがそれぞれ稼働していた。
情報システム部 運用グループ 副主査の篠原靖氏は、これらのサーバのリプレースに伴い、3つの課題に取り組むことを決めたと話す。
その1つは、「事業継続計画(BCP)対策の強化」だ。その背景には、2011年発生の東日本大震災がある。
「幸い、富士製作所の生産設備や基幹システムに直接的な被害はありませんでしたが、東京電力の管轄内であるため計画停電を強いられました。基幹システムで行っている業務には、人事、給与、会計、顧客サービスなど、工場の操業が停止した場合でも止められないものが多くあります。それらを全て富士製作所内のシステムだけでカバーするのは、当社の事業継続において大きなリスクだと認識していました」(篠原氏)
2つ目の課題は「運用管理の効率化」だ。以前のデータベース基盤は異なるベンダーのハードウェアとソフトウェアをベストオブブリードで組み合わせて構築されており、運用管理に多くの手間とコストを要していた。これらを削減するには、サーバの集約化を推し進めてシステムをシンプル化する必要がある。
3つ目の課題は「パフォーマンス向上」である。
「当社では、夜間バッチ処理などを全てオープン系に移行してメインフレームを全廃する“ホストレス”のプロジェクトを進めており、新データベース基盤で行う処理は今後も順次増えていきます。従来のサーバも相応のスペックを備えていましたが、それでも遅くて仕方がないケースもあり、より高速なサーバに移行しなければ、やがて性能が不足することは明らかでした」(篠原氏)
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