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Shift+F10キーの仕様が危ない理由――Windows 10の機能更新で表面化した脆弱性問題とは?その知識、ホントに正しい? Windowsにまつわる都市伝説(73)(1/2 ページ)

Windowsセットアップの実行中に使える[Shift]+[F10]キーは、コマンドプロンプトを開いて作業できるという、古くからある裏技的な仕様です。Windows 10の機能更新では、この古くからの仕様が重大な脆弱性になることが専門家から指摘されました。

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「Windowsにまつわる都市伝説」のインデックス

離席厳禁! アップグレード中のWindowsが無防備になる?

 Windows 10を「Current Branch(既定)」で利用している場合、年に複数回、機能更新プログラムが提供され、Windows Updateを通じて自動更新されます。この機能更新プログラムのインストール中に[Shift]+[F10]キーを押すことで「コマンドプロンプト」を開き、管理者権限でファイルシステムの操作やその他の操作を実行できてしまうという問題が、以下のSami Laiho氏の公式ブログで指摘されました。

 日本でも一部のIT系メディアで紹介されたので、ご存じの方も多いと思います。また、Windows 10の新たな脆弱(ぜいじゃく)性と伝えているメディアもあるようですが、それはちょっと違います。

 マイクロソフトは、Windows 10 バージョン1511(通称、November Update)まで「アップグレード」と呼んでいたものを、Windows 10 バージョン1607(通称、Anniversary Update)から「機能更新(Feature Update)」と呼ぶようになりました。

 機能更新に対して、より頻繁に提供されるセキュリティ更新や累積的な更新は「品質更新(Quality Update)」と呼ばれます。

 アップグレードの名称を「機能更新」にしたからといって、その仕組みが変わったわけではありません。機能更新は事実上、“OSの新バージョンへのアップグレードインストール”です(画面1)。そして、Windows 8.1以前とは異なり、Windows 10では既定でこのアップグレードインストールが自動的に行われるようになったことが今回の問題に大きく影響している、と筆者は考えます。

画面1
画面1 Windows 10にはこれまで、2回の「機能更新」(アップグレード)がWindows Updateを通じて提供されている。これらは“事実上のOSのアップグレードインストール”

[Shift]+[F10]キーはWindowsセットアップの古くからの“仕様”

 「Windowsセットアップ」の実行中に使える[Shift]+[F10]キーは、コマンドプロンプトを開いて作業できるという“裏技的なテクニック”です。Windowsに詳しい個人のパワーユーザーや企業のIT担当者であれば、ディスクのパーティション操作やWindowsのイメージング作業(ディスクイメージのキャプチャーや展開)に活用してきたでしょう(画面2)。筆者自身、[Shift]+[F10]キーでコマンドプロンプトを開いて、パーティション構成のカスタマイズやイメージング作業に利用してきました。この機能がないと、筆者としては作業が面倒になるので困ります。

画面2
画面2 「Windowsセットアップ」に[Shift]+[F10]キーを押すとコマンドプロンプトを開くことができ、パーティション操作やドライバのコピー、既存のインストールのトラブルシューティングなどに利用できる。Xドライブはメモリ(RAMDISK)上に展開されたWindows PEのイメージ

 以下の古いサポート技術情報にあるように、Windowsセットアップを実行中に[Shift]+[F10]キーでコマンドプロンプトを開いて操作できるのは、Windows 2000やWindows XPからの仕様です。Windows 10の新たなバグではありません。

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