【Oracle Database 12c】「FlexCluster」と「FlexASM」のインストール手順とトラブルシューティング:データベースサポート最前線の現場から(5)(2/2 ページ)
データベース管理システムの運用でトラブルが発生したらどうするか。データベースサポートスペシャリストが現場目線の解決Tipsをお届けします。今回は「Oracle Database 12c向け、FlexCluster/FlexASMのインストール手順とトラブル対策方法」を紹介します。
root.sh実行時に「CLSRSC-1003」「CLSRSC-287」が発生した場合
「Oracle Grid Infrastructure 12.1.0.1」のインストール時にroot.shを各ノードで実行する手順があります。このうち、ノード1で実行する際に「CLSRSC-1003」「CLSRSC-287」が発生する場合があります。
[root@sapox1 ~]# /Oracle/app/grid/product/12.1.0/grid/root.sh ・・・略・・・ CRS-2672: 'ora.net1.network'('sapox1')の起動を試行しています CRS-2676: 'ora.net1.network'('sapox1')の起動が成功しました CRS-2672: 'ora.gns.vip'('sapox1')の起動を試行しています CRS-2676: 'ora.gns.vip'('sapox1')の起動が成功しました CRS-2672: 'ora.gns'('sapox1')の起動を試行しています CRS-2676: 'ora.gns'('sapox1')の起動が成功しました CRS-2672: 'ora.ASMNET1LSNR_ASM.lsnr'('sapox1')の起動を試行しています CRS-2676: 'ora.ASMNET1LSNR_ASM.lsnr'('sapox1')の起動が成功しました CRS-2672: 'ora.asm'('sapox1')の起動を試行しています CRS-2676: 'ora.asm'('sapox1')の起動が成功しました CRS-2672: 'ora.DATA.dg'('sapox1')の起動を試行しています CRS-2676: 'ora.DATA.dg'('sapox1')の起動が成功しました 2013/09/04 16:27:26 CLSRSC-1003: Failed to start resource OC4J 2013/09/04 16:27:26 CLSRSC-287: FirstNode configuration failed Died at /Oracle/app/grid/product/12.1.0/grid/crs/install/crsinstall.pm line 2347. The command '/Oracle/app/grid/product/12.1.0/grid/perl/bin/perl -I/Oracle/app/grid/product/12.1.0/grid/perl/lib -I/Oracle/aid/crs/install /Oracle/app/grid/product/12.1.0/grid/crs/install/rootcrs.pl ' execution failed [root@sapox1 ~]#
ノード1に続き、ノード2〜4でroot.shを実行すると「CLSRSC-366」が発生する場合もあります。例として、ノード2での実行結果を示します。
[root@sapox2 ~]# /Oracle/app/grid/product/12.1.0/grid/root.sh ・・・略・・・ Creating /etc/oratab file... Entries will be added to the /etc/oratab file as needed by Database Configuration Assistant when a database is created Finished running generic part of root script. Now product-specific root actions will be performed. Using configuration parameter file: /Oracle/app/grid/product/12.1.0/grid/crs/install/crsconfig_params 2013/09/05 11:38:03 CLSRSC-363: User ignored prerequisites during installation OLR initialization - successful 2013/09/05 11:38:33 CLSRSC-330: Adding Clusterware entries to file '/etc/inittab' CRS-4133: Oracle高可用性サービスは停止されました。 CRS-4123: Oracle高可用性サービスは起動されています。 CRS-4133: Oracle高可用性サービスは停止されました。 CRS-4123: Oracle高可用性サービスは起動されています。 2013/09/05 11:40:19 CLSRSC-366: Failed to import credentials for ASM Died at /Oracle/app/grid/product/12.1.0/grid/crs/install/crsinstall.pm line 926. The command '/Oracle/app/grid/product/12.1.0/grid/perl/bin/perl -I/Oracle/app/grid/product/12.1.0/grid/perl/lib -I/Oracle/app/grid/product/12.1.0/grid/crs/install /Oracle/app/grid/product/12.1.0/grid/crs/install/rootcrs.pl ' execution failed [root@sapox2 ~]#
対処方法
このエラーは、インストール要件を満たさない、Red Hat Linux 5 Update 6(5.6)より低いバージョンで実行した場合に発生します。Grid Infrastructuerの前提チェック実行時にはエラーとして表示されないので注意してください。
1つ目の対処方法は、OSを「Red Hat Linux 5 Update 6(5.6)以上のバージョンにアップグレードする」ことです。「Deinstallツール」を使用して、Grid InfrastructuerをアンインストールしてからOSのアップグレードを行ってください。
それでもエラーが解消されない場合には、/etc/hostsにおいて、localhostが「IPv6の::1にマップされていないかを確認」します。また、localhostへpingが通るかも確認しておきます。
[root@sapox1 work]# cat /etc/hosts # Do not remove the following line, or various programs # that require network functionality will fail. ::1 localhost.localdomain localhost <-- ★ ・・・略・・・ [root@sapox1 work]# ping -c 4 localhost ping: unknown host localhost <-- ★ ・・・略・・・
上記のように、localhostがIPv6へのマッピングが有効になっており、localhostへpingが通らない場合には、IPv6の設定を解除します。/etc/hostsの設定は以下のように変更します。
[root@sapox1 work]# cat /etc/hosts # Do not remove the following line, or various programs # that require network functionality will fail. #::1 localhost.localdomain localhost 127.0.0.1 localhost.localdomain localhost ・・・略・・・
完了後、root.shを再実行します。
DBCA実行時にASMディスクグループが表示されない場合
データベースの記憶域を設定する「ディスクグループ」を選択する画面で、ディスクグループの選択肢が表示されないトラブルが発生することがあります(画面1)。
対処方法
「DBCA(Database Configuration Assistant)」を起動したユーザー(ここでは、v121)が所属するグループにasmadminとasmdbaも含まれていることを確認します。もし含まれていなかったら、グループを追加して、DBCAを再度確認します。手順は以下の通りです。
--v121ユーザーとgridユーザーに対してidコマンドを実行して確認 [root@sapox1 ~]# id v121 uid=503(v121) gid=1000(oinstall) 所属グループ=1000(oinstall),501(dba) [root@sapox1 ~]# id grid uid=502(grid) gid=1000(oinstall) 所属グループ=1000(oinstall),1100(asmadmin),1200(asmdba),501(dba) --グループを追加 [root@sapox1 ~]# usermod -g oinstall -G dba,asmadmin,asmdba v121 --グループ追加を確認 [root@sapox1 ~]# id v121 uid=503(v121) gid=1000(oinstall) 所属グループ=1000(oinstall),1100(asmadmin),1200(asmdba),501(dba)
これによって、選択画面にディスクグループの選択肢が正しく表示されます(画面2)。
おわりに
今回は、通常のサポート契約では案内できないVMwareやOSの設定を含めて、サポートセンターが持つ技術ノウハウを紹介しました。今後もブログならではの情報を発信していきたいと思います。
筆者紹介
栗原章二
2006年にアシストに入社。2011年よりバックサポートとして、お客さま対応を行うメンバーのフォローを主に行っています。バックサポートの活動として、メンバーが利用する検証環境の構築も行います。今後も、検証環境構築の手順やこれまでのサポート業務で蓄積してきた現場目線のノウハウを提供していきます。
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