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データベースをパクられたので、著作権侵害で9億円請求します!「訴えてやる!」の前に読む IT訴訟 徹底解説(36)(2/3 ページ)

IT紛争解決の専門家 細川義洋氏が、IT訴訟事例を例にとり、トラブルの予防策と対処法を解説する本連載。今回は「データベースの著作権」について、判例を基に解説する。

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データベースの著作権を巡る裁判の例

知財高裁 平成28年1月19日判決から抜粋して要約

旅行業者向けに旅程を作成するシステムを作っていた企業(以下 原告企業)から複数の従業員(以下 元従業員たち)が退職した。従業員たちは新しい会社を設立して、やはり、旅行業者用システムを開発し販売したが、このシステム内のデータベース構造が、原告企業のデータベースと似ていた為、原告企業は、これはデータベースの複製、翻案であり、著作権侵害にあたるとして、複製、頒布などの差止と9億円あまりの損害賠償を求めて訴訟を提起した。

 以前、「会社を辞めるときには手ぶらで出て行かなければ刑事罰も問われかねない」という話を書いた。本件の場合原告企業は刑事告発までは考えなかったようだが、原告企業のデータベースが著作物だと認められれば、元従業員たちには不利になる。

 そこで元従業員たちは、「そもそも、このデータベースは著作物ではない」との反論をした。「このデータベースには個性や創造性はなく、著作物ではないから、損害賠償の必要などない」という論だ。

 確かに、データベースはデータの並びであり、プログラムのように、独自のアルゴリズムは見えにくいし、画面設計のような個性も表れにくい。それでも、何人もの人間が、一生懸命に頭を捻り、創意工夫の末に考え出したデータベース構造ならば、そこには個性や創造性を認めるべきだとの考えもある。

 裁判所は、その境界線をどのように考えたのだろうか。判決の続きを見てみよう。

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