IBMとホートンワークスが提携を拡大、「HDP」でIBMのSDSを利用可能に:「HDFSより高効率」をうたう
IBMとHadoopディストリビューターのホートンワークスが提携範囲を拡大。IBM Spectrum Scale搭載システムが「Hortonworks Data Platform(HDP)」の認定SDSとなり、HDPとIBMのSDSソリューションとの連携を強化させる。
米IBMと米ホートンワークスは2017年2月14日(米国時間)、共同で「Hortonworks Data Platform(HDP) for IBM Elastic Storage Server(ESS) and IBM Spectrum Scale」を提供する計画を発表した。併せてホートンワークスは、IBM Spectrum Scaleを搭載するIBM POWERシステムと、IBM Spectrum Scaleを搭載するx86システムをHDPの推奨ソリューションとして認定した。
HDPは、汎用ハードウェアを使い、ビッグデータの処理と蓄積を担う「Apache Hadoop(以下、Hadoop)」のエンタープライズ向けディストリビューション。一方のIBM ESSは、IBM Spectrum ScaleソフトウェアとIBM POWER8プロセッサベースのサーバを組み合わせたSDS(Software-Defined Storage:ソフトウェア定義型ストレージ)で、Hadoopシステムと連携して使用できる。
IBMとホートンワークスは2016年9月、HDPをIBM POWER8プラットフォームで利用できるようにする提携を行っており、IBMの顧客に向けたHadoopディストリビューションの選択肢は既に広がっている。今回のSDS対応とホートンワークスによる認定は、この提携を拡大するものと位置付けられる。IBMの顧客は、Hadoopベースのビッグデータアプリケーションをデプロイするに当たって、既存および将来のIBMストレージへの投資を生かせるようになる。またHDPの顧客も、HadoopおよびApache Sparkワークロードのために、IBM Spectrum Scaleを搭載したエンタープライズクラスのストレージを利用できるようになる。
IBMは、HDP for IBM ESS and IBM Spectrum Scaleの主なメリットを次のように説明した。
- 高いストレージ効率:個々のデータについて3つのコピーを作成する「HDFS(Hadoop Distributed File System)」とは異なり、IBM ESSの分散ファイルシステムはイレージャーコーディングの使用により、複数のコピーを不要にしている。結果として、ストレージ効率を高められる
- ハイブリッドストレージ:既存のオンプレミスストレージをクラウドへ拡張可能。経済性、セキュリティ、アクセスのしやすさなど、多くのメリットを実現できる
- 高パフォーマンス:最適化された高並列ストレージの技術により、HDFSのパフォーマンスを上回る高速データスループットを提供できる
ホートンワークスによるHDP対応の認定は、IBMの顧客にとって信頼性の保証という点で重要な意味を持つ。こうしたユーザーは、HadoopアプリケーションをIBMの先進的なSDSソリューションで利用できるためだとIBMは述べる。ユーザーは、IBMによるエンタープライズストレージの恩恵を受けながら、ホートンワークスの分析アプリケーションでデータを分析できる。集中型あるいは分散型でのデプロイを柔軟に選択できることで、企業におけるデータの管理、バックアップ、セキュリティ、ハイブリッドクラウドストレージの利用といった多くの面で、ビジネス効率を向上させる支援ができるという。
またIBMは、IBM Spectrum Scaleソフトウェアの他製品に対する差別化要因として、「並列ファイルシステムアーキテクチャ」の実装を挙げている。これは、需要が急増しているコグニティブワークロードやビッグデータ分析ワークロードに必要となる「パフォーマンスと容量の大規模なスケーリング」に適する技術だという。
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