M&Aによるシステム統合でアプリケーションのレスポンスが悪くなった(パフォーマンストラブル):SQL Serverトラブルシューティング(42)(2/2 ページ)
本連載は、「Microsoft SQL Server」で発生するトラブルを「どんな方法で」「どのように」解決していくか、正しい対処のためのノウハウを紹介します。今回は「アプリケーションのレスポンスが悪くなった事例とその対処方法」を解説します。
解決方法
この事例では、データベースがトラブルの原因ではありませんでした。「クライアント側でなぜ処理が遅くなっているか」の対処は、「アプリケーション担当者」に引き継ぐことになります。
アプリケーション担当者が突き止めた真の原因は、クライアントアプリケーションがシステム更改とともに更新されたものの、ある特定の支店のメンバーが使う「クライアント端末が古かった」ために、新しいクライアントアプリケーションを実行するには性能が不足していたことでした。プロジェクト進行中はまだ別の会社だったこともあり、全てのクライアントが動作環境を満たせるかを確認しにくい状況だったことも重なりました。結果として、クライアント端末を更改したところ、トラブルは解消されました。
何だそんなことか、と思うかもしれません。しかし、原因を正しく特定し、しかるべき担当者と密に連携できたからこそ早期の解決につながったわけです。ちなみに「一部の環境でのみアプリケーションが遅くなる」トラブルは、サーバとクライアント間のネットワークに問題があるときにも起こり得ます。ですからデータベース管理者としては、データベースの処理が終わって、クライアントで表示がされるまでの全ての経路と処理を確認することも必要です。
また、データベースの移行プロジェクトでは、いかにテストで多くの項目を確認し、対応状況をチェックしておくかがポイントになります。経験上、今回の事例のようにテストで確認できなかった部分にトラブルの種が潜んでいることが多いように思います。
筆者紹介
内ヶ島 暢之(うちがしま のぶゆき)
ユニアデックス株式会社 NUL System Services Corporation所属。Microsoft MVP Data Platform(2011〜)。OracleやSQL Serverなど商用データベースの重大障害や大型案件の設計構築、プリセールス、社内外の教育、新技術評価を担当。2016年IoTビジネス開発の担当を経て、2016年現在は米国シリコンバレーにて駐在員として活動中。目標は生きて日本に帰ること。
椎名 武史(しいな たけし)
ユニアデックス株式会社所属。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。
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