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“Microsoft Loves Linux”はどうなっている?――Linux on Azureのいま(2017年4月版)Microsoft Azure最新機能フォローアップ(30)(2/2 ページ)

Microsoft Azureは、Windowsはもちろん、Linuxも広範囲にサポートしています。Azureが提供するIaaS/PaaS向けの機能の多くは、Windows/Linuxベースの仮想マシンやサービスの両方で利用可能です。2016年後半からこれまでに一般提供された機能と注目のプレビュー機能をまとめました。

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ファイル単位の回復機能を提供する「ファイルの回復」

 Azure仮想マシンは、クラシックデプロイモデルの「Azure Backup」、または「リソースマネージャー」の「Azure Site Recovery」を使用して、ポータルに統合されたUI(ユーザーインタフェース)から簡単な操作でバックアップ(スケジュールバックアップおよび手動)することが可能です。

 オフラインの仮想マシンのバックアップはもちろん、Azure仮想マシンのエージェント(Azure Linuxエージェントを含む)と連携した、オンラインバックアップによるアプリケーション整合性(対応するアプリケーションが限定されます)またはファイルシステム整合性のバックアップに対応しています。

 バックアップは仮想マシンの復元に使用できる他、ファイル単位の回復機能がWindowsとLinux仮想マシンの両方で、パブリックプレビューとして利用可能になりました(画面3)。

画面3
画面3 Linux仮想マシンのバックアップからのファイル単位の回復

 ファイル単位の回復は、バックアップをiSCSI経由でディスクとして仮想マシンにマウントして行います。Linux仮想マシンの場合は、マウント用のシェルスクリプト(.sh)が生成されるので、複雑なコマンドライン操作は必要ありません。

LinuxベースのPaaS、Web App/WordPress on Linux

 AzureにおけるLinuxサポートといえば、これまではAzure IaaSにおける仮想マシンのゲストOSについてでした。Linuxのサポートは、PaaS(Platform as a Service)でも始まっています。例えば、2016年4月に一般提供された「Azure Container Service」は、Dockerコンテナをデプロイして実行するためのLinuxベースの大規模なコンテナホスティング環境を提供します。Azure Container Serviceに限れば、Windowsよりも先行してLinuxベースのサービスが開始となりました。

 AzureのPaaSとして代表的な「Azure App Service」の「Web Apps(Webアプリ)」は、Windows Serverベースのプラットフォーム(IISや.NET)でアプリのデプロイと実行環境を提供します。

 2016年10月に、LinuxベースのAzure App Serviceのパブリックプレビュー提供が開始され、その後、機能の拡充が行われてきています。現在、Azure Marketplaceでは「Web Apps on Linux(プレビュー)」と「WordPress on Linux(プレビュー)」が利用可能になっており、Linuxベースのホスティング環境で、Node.js、PHP、Rubyのアプリをデプロイすることができます。なお、Web Apps on Linuxは、アプリのデプロイと実行にDockerコンテナを採用しています(画面4)。

画面4
画面4 「Web Apps on Linux(プレビュー)」は、LinuxおよびDockerコンテナがベース

WindowsとLinuxの両方をカバーする統合デプロイ環境がすぐそこに

 現在、Azure Container Serviceは、Windowsをサポートしていません。しかし、オンプレミスのWindows Server 2016(Nano Serverを含む)ではDockerがサポートされ、Windowsコンテナの提供が始まっています。

 また、WindowsおよびLinuxベースのホストをAzureテクノロジーのサービスファブリッククラスタに統合する「Azure Service Fabric for Windows Server」と「Azure Service Fabric for Linux」のパブリックプレビュー提供も行われています。さらには、Windows Server 2016向けの2017年4月の更新プログラム(KB4015217、14393.1066)では、Azure Container Serviceでも採用している「Docker Swarm」に対応したオーバーレイネットワークドライバが追加提供されました。

 現在、Windows Server 2016およびNano Serverでは、Windows Serverコンテナ(ホストとカーネルを共有)またはHyper-Vコンテナ(Hyper-Vによる隔離環境でカーネル部分を実行)のいずれかの方式で、Windows Server CoreまたはNano ServerベースのWindowsコンテナを動かすことができます。

 2017年4月に米オースチンで開催されたイベント「DockerCon 2017」において、Hyper-Vコンテナと同じ方式でLinuxカーネルをホストし、LinuxベースのDockerコンテナを実行できるように、Dockerのサポートが拡張されることが発表されました。これが実現されれば、1台のWindows Server 2016またはNano ServerのDockerホスト上で、WindowsベースのコンテナとLinuxベースのコンテナの両方を実行することが可能になります。

 近い将来、Azureのクラウドとオンプレミス(Azure Stack)の両方で、WindowsとLinuxの両方をカバーする、統合されたアプリのデプロイ環境が実現することになるのでしょう。

筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。


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