Windows 10 Fall Creators Updateで増える「設定」は「ms-settings:URI」で狙い撃ち:山市良のうぃんどうず日記(102)(2/2 ページ)
2017年秋にリリース予定のWindows 10 Fall Creators Update(バージョン1709)では、「設定」アプリの項目が増えます。本連載第99回で「設定」の各項目へのショートカットに使用できる「ms-settings:URI」の一覧を紹介しましたが、早くもこの一覧に追加が必要になりそうです。
一覧をアップデートするために必要な道具と使い方
さて、Windows 10 Insider Previewは開発中のビルドであるため、Windows 10 Fall Creators Updateに搭載予定の新機能について現時点で説明することは筆者の好みではありません。なぜなら、変更される可能性がまだあると思うからです。
しかし、目まぐるしく、いろいろと変わるWindows 10の変更点に追い付くヒントをお伝えすることは意味のあることだと思います。それは、本連載の第99回で紹介した「ms-settings:URI」の完全(だと筆者が思っている)一覧のアップデートです。
Windows 10 Fall Creators Updateの「設定」アプリには、幾つか新しいカテゴリーと機能が追加されることになります(画面1)。Windows 10 Fall Creators UpdateがSemi-Annual Channel(Targeted)向けに正式リリースされれば、初めて新バージョンの「設定」アプリを開いたとき、どこに何があるのか、何が追加されたのか、大いに悩むことになるでしょう。
画面1 Windows 10 Fall Creators Updateに向けた開発中のビルド16251.0の「設定」アプリ。トップ画面だけでも、「電話」と「Cortana」の2つのカテゴリーが追加されている
筆者は、現行バージョンのWindows 10でさえ迷子になることがしばしばあります。そんなときに「ms-settings:URI」のショートカットが大いに役立ちます。例えば、Windows Updateの「更新の履歴」は「ファイル名を指定して実行」に「ms-settings:windowsupdate-history」と入力することで、素早く開くことができます。Windows 10 バージョン1703までの「ms-settings:URI」の完全な一覧は、本連載第99回の一覧表をご覧ください。
第99回と同様に、Windows 10 Fall Creators UpdateのInsider Previewビルド(2017年7月27日リリースのビルド16251.0)で「ms-settings:URI」の項目を調査し、第99回との差分を作成してみることにします。なお、開発中のビルドであるため、正式リリースまでにさらに追加や変更が行われる可能性もあることにご注意ください。
第99回記事での調査結果から、「ms-settings:URI」の項目はシステムファイル「C:\Windows\ImmersiveControlPanel\systemsettings.dll」の中にあることは判明しています。バイナリファイルから印字可能な英数字のテキストを抽出するのに便利なのが、Windows Sysinternalsの「Strings(Strings.exe)」です。
- Strings(Windows Sysinternals)
Stringsで「C:\Windows\ImmersiveControlPanel\systemsettings.dll」内の印字可能な文字列を取り出し、その結果から「Find(またはFindStr)」コマンドを使って「ms-settings:」を含む項目を抜き出します。それには、コマンドプロンプトを開き、次のコマンドを実行します(画面2)。Windows PowerShellではFindはエラー(FIND:パラメーターの書式が違います)になると思うので、「FindStr」を使用してください。
strings C:\Windows\ImmersiveControlPanel\systemsettings.dll | Find /I "ms-settings:"
結果を第99回記事の一覧と比較してみたところ、次の16の項目が追加されていました。
ms-settings:URI | 設定の場所 |
---|---|
ms-settings:mobile-devices | 電話 |
ms-settings:savelocations | ストレージ|新しいコンテンツの保存先を変更する |
ms-settings:videoplayback | アプリ|ビデオの再生 |
ms-settings:cortana | Cortana|コルタナに話し掛ける |
ms-settings:cortana-permissions | Cortana|アクセス許可と履歴 |
ms-settings:cortana-language | ? |
ms-settings:cortana-moredetails | Cortana|詳細情報 |
ms-settings:cortana-notifications | Cortana|通知 |
ms-settings:fonts | ? |
ms-settings:gaming-trueplay | ゲーム|TruePlay |
ms-settings:gaming-xboxnetworking | ゲーム|Xboxネットワーク |
ms-settings:nightlight | システム|ディスプレイ|夜間モード設定 |
ms-settings:keyboard | 時刻と言語|日付と時刻 |
ms-settings:remotedesktop | システム|リモートデスクトップ |
ms-settings:mobile-devices-addphone | ? |
ms-settings:delivery-optimization | 更新とセキュリティ|詳細オプション|配信の最適化 |
「?」となっているものは、PC向けの設定ではない可能性があります。Windows 10は、スマートフォン(Windows 10 Mobile)やIoT(Windows 10 IoT)、XBox One、HoloLensなど、さまざまなデバイスに対応したOSです。もしかすると、まだきちんと実装されていないだけかもしれません。例えば、「ms-settings:mobile-decices-addphone」は「電話|+電話の追加」の可能性があります。「設定」の「電話」は、ビルド16251で初めて提供されました。
新たに追加された項目がどのような機能を提供するのか、ここでは説明はしません。前述したように、開発中のビルドで新機能を説明したところで、それは意味がないことだと思うからです。
1つだけ、リモートデスクトップの有効化の設定が「設定」アプリの「システム」に統合されたことだけはお伝えしておきましょう。コントロールパネルでも従来と同じ方法(「コントロールパネル」→「システムとセキュリティ」→「システム」→「リモートアクセスの許可」)で設定することは可能ですが、「設定」アプリからも同じ設定が可能になったことで、リモートデスクトップの有効化のためにコントロールパネルを開く必要がなくなりました(画面3)。
なお、表の一番下にある「ms-settings:delivery-optimization」は、「ms-settings:URL」の方法でも、「設定」アプリを使用して「配信の最適化」をクリックして開く場合でも、ビルド16251.0では「設定」アプリがクラッシュするという不具合がありました。筆者の環境のネットワーク構成(Hyper-Vやコンテナの機能を有効化)が影響しているのかもしれませんが、クラッシュせずに動いていたビルド16241の画面は、本連載第100回で紹介しました。
- Windows 10のWindows Update、ネットワーク使用状況の報告は“正直”(本連載 第100回)
最新情報
2017年8月初めにWindows 10 Insider Preview ビルド15257.1がリリース(Fast Ring向け)されましたが、正式リリースまでにまだまだ変更の余地があるため、今回の記事の一覧をこの時点でアップデートすることはしません。ちなみに、筆者の環境で問題になっている「配信の最適化」がクラッシュする問題は、ビルド15257.1でも再発しました。
筆者紹介
山市 良(やまいち りょう)
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows Server 2016テクノロジ入門−完全版』(日経BP社)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ランサムウェア「Wanna Cryptor」に対し、異例のセキュリティパッチをWindows XPに提供する意味
世界的に猛威を振るっているランサムウェア「Wanna Cryptor」に対し、マイクロソフトはサポートが既に終了しているWindows XP、Windows Server 2003、Windows 8(8.1ではない)向けに緊急のセキュリティ更新プログラムの提供を開始しました。 - 今すぐできるWannaCry対策
猛威を振るうランサムウェア「WannaCry」。必ずしも管理が行き届いていない企業内システムで、Windowsに対策パッチを急いで適用する方法は? 脆弱性の見つかったSMBv1を無効化する方法を追記。 - 世界中のITシステムが混乱 「Wanna Cryptor」の脅威から身を守るために今すぐできること
暗号型ランサムウェア「Wanna Cryptor」を使ったサイバー攻撃が世界中で発生している。あらためて「Wanna Cryptor」とは何か、被害に遭わないようにするにはどう対策すればよいか。セキュリティ企業のESETが解説した。 - 「言葉では言い表せない絶望感だった」――ランサムウェア被害者が語る
「サイバー攻撃者の手法」を解説する本連載。今回はその「外伝」として、ランサムウェア被害者へのインタビューをお届けする。感染に気付いてから復旧に至るまでの“ランサムウェア被害の生々しい実態”をぜひ知ってほしい。