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RubyやPythonができるからって何?――エンジニアがパーツに成り下がらずに生き残る方法夏休みSpecial 山本一郎×細川義洋対談 キャリア残酷物語(3/3 ページ)

@ITの人気連載「開発残酷物語」の山本一郎氏と、「IT訴訟徹底解説」の細川義洋氏がエンジニアのキャリアについて、超真剣に話し合った。

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「人よりどれだけ優れているのか」ではなく「人とどう違うか」

 では、エンジニアがパーツにならないためには、どうすれば良いのだろうか。

 細川氏は「Difference is Value」だと考える。他人との「違い」が価値になるというのだ。

 「@ITが、なぜ私に記事の執筆を依頼してきたのか。それは私がITエンジニアなのに文章を書く、ITエンジニアなのに法律分野に詳しい、ITエンジニアなのに政府の仕事をしている、という部分が他の人と違ったからだと思います。私は決してITエンジニアとして優秀ではないし、法律家ほど詳しくもないし、作家として大ヒットしているわけでもない。でも、合わせ技で『変わった奴』だと思われた(笑)」(細川氏)

 つまり、こういうことだ。Javaのスキルがあるだけのエンジニアは大勢いるが、同時に生産管理のワークフローを熟知していれば、そこが“差分=価値”につながる。Javaのスキルが卓越していることだけがエンジニアの価値ではない。「生産管理も流通も知っています」となれば、より差分が大きくなる=価値が高まる。

 「人よりどれだけ優れているのか」ではなく「人とどう違うか」。そうした差分をたくさん作れば、それだけキャリアが豊かになっていくのだ。

 「みんなが使えるRuby、みんなが使えるPythonを突き詰めていっても、それ『だけ』を強みにするのは、なかなか難しいですよね」(山本氏)


「運も実力もこうね、グイグイと手繰り寄せるわけですよ」「ほうほう」

炎上経験もキャリアの肥やし?

 炎上プロジェクトや訴訟プロジェクトに参画してしまった経験は、人とは違う強みになるだろうか?

 「誰もがそうしたプロジェクトを経験するわけではありません。そこから価値につなげていくことはできます」(細川氏)

 では、具体的にどうすればよいのか?

 「ただボヤいているだけではダメですね。スキル、プロセス、組織、意識、ツールなど、どこに『原因』があったのかをしっかりと『検証』しておくことが大切です」(細川氏)

 顧客との意思疎通に問題があってプロジェクトが頓挫したとしよう。「原因は意思疎通でした」だけでは不十分、「原因の原因は何だったのか」までを考察する必要があるという。

 担当者のコミュニケーション能力の問題なのか、会議体の在り方といった仕組みの問題なのか、それとも業務知識の問題なのか、原因の原因をきちんと整理できれば、少なくとも次のプロジェクトで、同じ原因によるトラブルは回避できる。

 「そういえば、炎上プロジェクト専門に仕事をとって来る人がいました(笑)。火消しって実は思っている以上に簡単で、炎上している部分をどんどん切り出してシュリンクさせていけば良い。火中の栗を拾いにいくのは、それはそれで面白かったですよ」(山本氏)

 「そのまま続けていれば、炎上プロジェクト専門コンサルという道もあったのでは?(笑)」(細川氏)

 「いえ、もうからないので続きませんでした。そもそも炎上プロジェクトって予算がないから(笑)。でも、火消しのノウハウを学べたのは良かったですね」(山本氏)

 山本氏の火消し経験から得た知見が「開発残酷物語」に生かされていること、細川氏も同様に調停での経験が「IT訴訟解説」記事で昇華されていることを見れば、どのような経験も「違い」という強みにできることが分かる。ただし「違う」だけでは、武器にはならない。違いを元に自分なりの価値を生み出すことが必要だ。

予告

山本さんと細川さんの対談「発注残酷物語」の動画を、ITmedia Virtual EXPO 2017秋で公開します。公開日、URL、視聴申し込み方法などは、@IT自分戦略研究所の「Facebookページ」「Twitter」で分かり次第告知します。視聴ご希望の方は、いずれかを「いいね」「フォロー」して情報をお待ちください。

また、動画と連動した記事「開発残酷物語特別編〜発注残酷物語」も近日公開いたします。

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