Microsoft、オンプレミスVMwareワークロードのAzure移行を支援する「Azure Migrate」の正式版公開を発表:多様なツールで移行をきめ細かくサポート
Microsoftは、顧客が既存のオンプレミスVMwareワークロードをAzureに移行できるよう支援する「Azure Migrate」の正式版公開などを発表した。
Microsoftは2017年11月21日(米国時間)、顧客が既存のオンプレミスのVMwareワークロードをMicrosoft Azure(Azure)に移行できるよう支援するサービスの正式版公開などを発表した。
同社はVMwareワークロードの移行について、「Azure Migrate」によるアプリケーションの移行、各種AzureサービスによるVMwareワークロードの統合、「VMware virtualization on Azure」によるVMwareインフラのホストという3つの観点から説明した。
「Azure Migrate」によるアプリケーションの移行
Microsoftは11月27日から、無料サービス「Azure Migrate」のプレビュー版を正式版として提供開始する。Azure Migrateは、マルチサーバアプリケーション全体の移行を「発見と評価」「移行」「リソースとコストの最適化」という3つのフェーズに沿って支援する。
発見と評価
Azure Migrateは、オンプレミスのVMwareベースアプリケーションを発見できる。複数にわたるVMwareアプリケーションのグループレベルの依存関係を可視化する機能も提供する。この機能は、移行のためにアプリケーション全体を論理的にグループ化し、優先順位付けする。またAzure Migrateは、CPU、メモリ、ディスク、ネットワークの使用率を検出し、サイズ提案やコストガイダンスも行う。
移行
Azure Migrateは、数回のクリックでオンプレミスアプリケーションをAzureに移行できる。「Azure Site Recovery(ASR)」により、VMwareで仮想化されたWindows ServerおよびLinuxワークロードを最小限のダウンタイムで移行することが可能だという。アプリケーションサーバの移行順序を指定することもできる。
また、2017年9月のMicrosoft Ignite 2017で発表されたばかりの「Azure Database Migration Service」(プレビュー版)では、SQL ServerおよびOracleデータベースをフルマネージドの「Azure SQL Database」に直接移行できる。さらにAzureへのデータ移動を容易にするアプライアンス「Azure Data Box」を使えば大容量ストレージをAzureに移行することが可能だ。
リソースとコストの最適化
Azureにデプロイしたら、「Azure Cost Management」サービス(旧称「Cloudyn」。同じくMicrosoft Ignite 2017で発表されたプレビュー版)により、コストを予測、追跡、最適化できる。「Azure TCO Calculator」プレビュー版では、アプリケーションワークロードのAzure移行によるコスト削減額を見積もれる。
AzureサービスによるVMwareワークロードの統合
VMwareワークロードとともにさまざまなAzureサービスを使うことで、移行やデプロイを伴わずに、環境全体をクラウドとオンプレミスにわたって、安全な管理下に置くことができる。こうしたツールには「Azure Backup」「Azure Site Recovery」「Azure Security Center」「Azure Log Analytics」などがある。
VMware virtualization on AzureによるVMwareインフラのホスト
Azureへの移行が困難なVMwareワークロードもあるかもしれない。Microsoftはそうしたワークロードのために、AzureでVMwareスタックを実行するベアメタルソリューションである「VMware virtualization on Azure」のプレビュー版を発表した。詳細は、こちらの記事を参照してほしい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- Microsoft、Azure上でのvSphereホスティングを2018年に提供すると発表
Microsoftは2017年11月21日(米国時間)、Microsoft Azureのブログで、2018年にVMware vSphereのホスティングサービスを提供予定であることを明らかにした。同社はこの日、プレビュー版の利用受け付けを開始した。VMware Cloud on AWSやIBMのVMwareプライベートクラウドサービスと比較したくなるが、これらとは大きく異なるようだ。 - Microsoft、「量子コンピュータ」向けプログラミング言語とシミュレーターを公開
Microsoftが法人顧客向け年次イベント「Microsoft Ignite」で多数の新世代技術や新サービスを発表。クラウド、AI、MRといった技術を用いて顧客のビジネスを積極支援していく方針を示し、量子コンピュータ関連の研究開発の取り組みや、法人向けの広範な製品やサービスの新展開も発表した。 - Microsoft Azure(マイクロソフトアジュール)
Microsoft Azureで提供されるサービスは多岐にわたり、進化も激しいため、その全体像を把握するのは簡単ではない。ここでは、Microsoft Azureを理解するための第一歩として、概要をコンパクトにまとめてみよう。