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「プログラミングできるお金」でお金の在り方はどう変わる――「Fintech Challenge 2018」レポート三菱UFJ銀行が目指す“デジタル通貨”の形とは(2/3 ページ)

2018年3月4日に三菱UFJ銀行が開催したハッカソン「Fintech Challenge 2018」の発表会で、ブロックチェーンやスマートコントラクトを使った新たなアイデアが9つ発表された。どのようなアイデアがあったのかを紹介する。

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スマートコントラクトで「お金」の使い方をプログラムする

 今回のハッカソンで大賞を受賞したのは、チーム「$NYAON」(呼び名:ニャオン)による報奨金プラットフォーム「Challengers」である。


大賞を受賞したチーム「$NYAON」

 この2018年2月に平昌で開催されたオリンピック冬季競技大会では、スポーツの人気度によってアスリートへの報奨金の金額が大きく違うことが話題になった。マイナーな競技で選手が活躍し、人々の心を打ったとしても、報奨金の金額は少ない。そこで「人々が応援する気持ちをブロックチェーンに載せることができたら」と開発者は訴えた。

 Challengersは、「『この人は報奨金をもらうべき』と多くの人から支持を得たアスリートが報奨金を受け取れる」サービスで、スマートコントラクトを応用して開発された。コントラクトコードを公開し、またブロックチェーン上に記録が残ることから不正を除外できるとしている。Challengersでは、アスリートが設定された目標を達成したと思ったタイミングで、支援者が投票。一定の割合を越えたらスマートコントラクトでロックされた報奨金がアスリートに支払われる。報奨金の支払いは、特定の管理主体がコントロールする仕組みではなく、スマートコントラクトと多数の支援者の投票によって自動執行される。


「Challenger」の画面イメージ。事前に設定した目標をアスリートが達成したと大勢が認めると報奨金の支払いを執行する

 ブロックチェーンの応用の1つとして、先物市場を利用して群衆の意見から未来を予測する「予測市場」があり、それと共通する発想があるといえる。スマートコントラクトの使い方が上手な点、ブロックチェーンの特徴をよく理解して開発された点が評価された。

時差通勤インセンティブ、投げ銭にコインを活用

 次点に当たるSAMURAI賞を受賞したのは、チーム「WeWant…WeWork」による「ピーク時ズラしによる社会課題解決」だ。内容はMUFGコインをインセンティブとしてオフピーク通勤を促進するサービス。電車の混雑度が高い場合、スマートフォンアプリを通じて、通勤時間をズラすように促すお知らせをユーザーに送り、協力するとMUFGコインを受け取れる。

 位置情報を使い、移動を検出する仕組みでオフピーク通勤を判定。何の操作をしなくてもコインを受け取ることができる。取り組んだ課題が壮大で、社会的に人の心を動かそうとする試みであることが評価された。


ピーク時ズラしによる社会課題解決の画面イメージ

 ゼンリンデータコムが提供する「APIパートナー賞」には、チーム「みらいLAB」が選ばれた。みらいLABは日本ATMとネットウエルシステムのメンバーによるチームで、「ありがとう」をつなぐサービス「Fody」を発表した。これは、「迷子の犬を探してほしい」「ある地域で『野良ボルダリング』ができる岩を教えてほしい」といった依頼に対し、情報を提供してくれた人に、感謝の投げ銭としてコインを配分するサービス。マネタイズには広告収入を考えているという。

左:「Fody」の概念図、右:Fodyの画面イメージ。事前に預けたコインにスマートコントラクトを適用し、高評価の回答者に分配する

 今回のハッカソンは基本的にアイデアを競うものだが、そうではない賞もあった。MUFGコインの良いフィードバックを提供したグループに与えられる「フィードバック賞」には、チーム「アハト・ゲルト」が選ばれた。

 同団体のアイデアは、MUFGコインが実現する新しい奨学金システム「MUFG Scholar」だ。奨学金のファンドをブロックチェーン上で管理し、スマートコントラクトにより奨学金の使途をあらかじめ決められた学業関連のみに制限できる。また「TOEIC800点」といった奨学生に達成してほしい目標を「クエスト」として設定でき、クエストを達成すると返済減免のような優遇措置を受けられるようにできる。


奨学金システムScholarの概念図。スマートコントラクトで奨学金の使途を制限したり、目標達成を確認したりする使い方を想定

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