秘密のWindows Update for Businessショー:その知識、ホントに正しい? Windowsにまつわる都市伝説(111)(3/3 ページ)
Homeエディションを除くWindows 10では、「Windows Update for Business」が利用可能です。今回は、おそらく多くのユーザーが誤解しているであろう、Windows Update for Businessにおける品質更新プログラムの扱いを、筆者による実際の動作確認に基づいて明らかにします。
それでは、次の問題です
ここまでの説明を踏まえて、Windows Update for Businessを「グループポリシー」または「ローカルコンピューターポリシー(Gpedit.msc)」で構成した場合はどうなるでしょうか。
「管理用テンプレート\Windows Update\Windows Update for Business\プレビュービルドや機能更新プログラムをいつ受信するかを選択してください」ポリシーを有効にし、更新チャネルとして「半期チャネル(対象指定)」を選択し、機能更新プログラムの延期日数を「0日」にした場合です(画面6、ポリシーの名称や日本語表記はバージョンにより異なります)。
また、「品質更新プログラムをいつ受信するかを選択してください」ポリシーだけを有効にして、品質更新プログラムの延期日数を「0日」にした場合はどうでしょうか(画面7)。どちらも、Windows Update for Businessポリシーは有効にしていますが、Windows 10の既定の設定を変えていないように思えるでしょう。
答え:どちらもWindows Update for Businessポリシーで構成されている扱い
グループポリシーまたはローカルコンピューターポリシーでWindows Update for Businessのポリシーを有効化した場合、そのPCはWindows Update for Businessポリシーが構成されているということになり、「更新」および「重要な更新」は検出されなくなります。
「設定」アプリの「詳細オプション」の場合は、「0日」以外の設定にしたときだけ、Windows Update for Businessポリシーが構成されていると見なされます。更新チャネルの選択は、品質更新プログラムの検出挙動には影響しません。一方、Windows Update for Businessのポリシーを有効化した場合は、それがWindows 10の既定の設定と同等であったとしても、Windows Update for Businessポリシーが構成されていると見なされます。
Windows Update for Businessに関する公式ドキュメントは、以下のURLでアクセスできますが、今回説明した挙動について説明している部分は見当たりません。というよりも、バージョンごとに変更されてきた設定の違いを、同じページで説明しようとして大変なことになっています。その膨大な説明に隠れているために筆者が見つけられないだけかもしれませんし、別の場所で説明されているのかもしれません。あるいは、今回説明した部分には手が回っていないのかもしれません。
- Windows Update for Business を使った更新プログラムの展開(Windows IT Pro Center)
なお、このような挙動はWindows 10 バージョン1703以降にだけ適用されます。手動でも検出されなくなるのはWindows 10 バージョン1709からのことです。Windows 10 バージョン1607以前やWindows Server 2016の場合、第二火曜日以外にリリースされた累積更新はWindows Updateで検出およびインストールされることになります。
別の言い方をすると、Windows 10 バージョン1703以降でWindows Update for Businessポリシーを構成すると、累積更新の回数、つまり累積更新による再起動の回数を月1回程度(例外もあるでしょう)に抑制できるということでもあります。
ちなみに、Windows Serverの半期チャネルリリースであるWindows Server,version 1709およびversion 1803のWindows Update(Sconfigによる更新プログラムのダウンロードとインストール)は、Windows 10 バージョン1709以降と同様に第二火曜日以外にリリースされた累積更新を検出しませんでした。
筆者紹介
山市 良(やまいち りょう)
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows Server 2016テクノロジ入門−完全版』(日経BP社)。
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