このままでは仕事がAIに? そう簡単に奪われてたまるか!:仕事が「つまんない」ままでいいの?(45)(3/3 ページ)
過去のデータに基づいて機械的に行う作業は、いずれAIにとって代わられる。では、AIに仕事を奪われないために、人間は何をすればいいのでしょうか?
神オペレーター降臨
先ほど、あるクラウドサービスで「機械的なオペレーター」に対応された話をしました。これには続きがあります。
私はチャットを切った後、困りごとを自力で解決しようとネットで検索しました。Excelのシートもいじりました。30分ほど時間を費やしましたが、一向にデータは合いません。
そこで、「最後にもう一度だけ」とチャットサービスに再度、問い合わせてみたのです。
先ほどとは違うオペレーターが出たので、「Excelのデータが合わない」旨を伝えました。すると今度の人からは「では、そのExcelシートを送っていただけますか? チャットの××から送れます」との返事が来ました。
早速、ファイルを添付して送りました。「しばらくお待ちください」というメッセージが送られてきて、1分ぐらいの沈黙の後……。
「原因が分かりました。○○シートの□□を、△△に変えてください。そうすると、問題が解決できます」と返事が来たのです!
「マジか? そんな簡単に?」と思いました。そして、オペレーターの言う通りにすると……データが一致するではありませんか! さっきは30分たっても解決しなかったのに、神オペレーターは5分もかからずに解決してくれました。
感動しました。「ありがとうございました! 困っていたので助かりました。感謝します!」と伝えました。
神オペレーターは、過去のデータを検索するだけではなく、「こうするとどうかな?」まで踏み込んでくれたのです。
仕事がなくなるのは「職種」なのか
ネット上にはよく、「AIが進化すると、○○の職種がなくなる」「○年後になくなる職種リスト」といった話が出回っています。
確かに、ざっくりと見れば、将来的になくなる職種もあるかもしれません。
けれども、なくなるのは特定の職種なのでしょうか。同じ「オペレーター」という職種でも、「機械的なオペレーター」には「AIの方がマシかも」と思い、神オペレーターには「これからもぜひ、対応をお願いしたい」と思いました。
「AIに仕事を奪われるか否か」は、これぐらいの「ちょっとした差」だと思います。
「○○したい」「○○が好き」をやってみる
また、AIには、人間が持つ「○○したい」「○○が好き」といった自発的な感情は、今のところありません。
それならば、「○○したい」「○○が好き」などの「人間ならでは」なことに向き合って、それを突き詰めてやってみるのもいいんじゃないかなぁ。
もし、「○○したい」「○○が好き」が分からなければ、「○○は絶対に嫌だ」「○○は苦手」のように、嫌いなこと、苦手なことをはっきりさせるといいと思います。「細かな計算は苦手だけど、全体をデザインするのは得意」のように。
嫌いなこと、苦手なことの反対には、好きなこと、得意なことがあるはずだから。
「AIに仕事を奪われたらどうしよう」と、恐れに意識を向けたくなる気持ちも分かります。でも、そう簡単に奪われてたまるか!
私は、AIの進化で人間はもっと「楽しくなるんじゃないか」と思っています。苦手な企業会計など、面倒くさいことはAIに全部任せて、やりたいことに時間を使いたい。早くそうならないかなあ。
筆者プロフィール
しごとのみらい理事長 竹内義晴
「仕事」の中で起こる問題を、コミュニケーションとコミュニティの力で解決するコミュニケーショントレーナー。企業研修や、コミュニケーション心理学のトレーニングを行う他、ビジネスパーソンのコーチング、カウンセリングに従事している。
著書「感情スイッチを切りかえれば、すべての仕事がうまくいく。(すばる舎)」「うまく伝わらない人のためのコミュニケーション改善マニュアル(秀和システム)」「職場がツライを変える会話のチカラ(こう書房)」「イラッとしたときのあたまとこころの整理術(ベストブック)」「『じぶん設計図』で人生を思いのままにデザインする。(秀和システム)」など。
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