原因追求型のフィードバックをされると、気がめいる:仕事が「つまんない」ままでいいの?(57)(2/3 ページ)
部下や同僚にネガティブなフィードバックをしなければならないことがありますが、伝え方に気を付けないと、相手のやる気を削いだり人間関係を崩したりします。本来、どのようなコミュニケーションをとるべきなのかをエンジニア視点で考えてみました。
ビジネスで行われているのはフィードバックなのか?
では、ビジネスシーンで行われているフィードバックは、本来のフィードバックなのでしょうか。
先日、知人のMさんから話を聞いたときのことです。Mさんは「上司の度重なる指摘に心が折れそう」と訴えます。何でも上司は、Mさんに「あなたの○○がダメだ」「なぜ、あなたはいつもそうなの?」といった「問題の指摘」ばかりしてくるそうです。
Mさんの上司の発言は、一見フィードバックのように見えます。けれども、Mさんは上司の言動によって心が折れそうになっています。つまり、結果が良い状態ではなくなっています。
本来、フィードバックは、「結果を理想に近づける」「より良くしていく」ためのものです。それにもかかわらず、ビジネスシーンでは批判や人格否定、プレッシャーをかけ、相手のやる気やテンションを下げている状況も少なくありません。これは、本来のフィードバックとはいえません。
「結果を理想に近づける」フィードバックに必要なもの
ネガティブなフィードバックをする際にやってしまいがちなのは、相手の、過去の言動に目を向けて、「なぜ、その問題行動をしたのか?」という原因追及です。そして、原因を取り除くことによって、問題の状況を改善しようとします。
一方、本来のフィードバックとは、エアコンの温度を制御するように、まず、目標値(理想)があります。それに対して現状と比較します。目標値と現状の間に差があれば、目標値に近づくような改善策を立てます。
つまり、本来のフィードバックには、「現状」と「理想」、ギャップを埋めるための「改善策」があります。
このように、本来のフィードバックの意味から考えると、「結果を理想に近づける」ためには、「過去」に目を向けた「原因追求」型の問題解決よりも、「未来」に目を向けた「解決志向」であるべきなのが分かります。
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