「ZoomとMicrosoft製品の2強」 J.D. パワーが日米でWeb会議システムを調査:ヘッドセット利用は少数派
ジェイ・ディー・パワー ジャパンは、Web会議システムに関する消費者調査の結果を発表した。日本は、Web会議を利用し始めた時期は2020年2月以降が61%。新型コロナウイルス感染症が収束した後も、テレワークという働き方があってもよいと回答した割合は80%だった。
ジェイ・ディー・パワー ジャパンは2020年4月27日、Web会議システムに関する消費者調査の結果を発表した。日本と米国で利用状況や利用者の評価などを調べ、両国の調査結果を比較した。新型コロナウイルス感染症対策で利用し始めたユーザーが多い日本では、不慣れなユーザーが目立った。
日米ともにZoomが最も多く、次いでMicrosoft製品が多い
仕事で利用しているWeb会議システムを調べると、米国では「Zoom」が圧倒的に多く、利用率は48%だった。次いで「Microsoft Teams」が12%、「Google Hangouts/Meet」と「Skype」「Cisco Webex」がそれぞれ9%だった。
日本は、Zoomが利用率30%でトップ。次いで、Skypeが25%、Microsoft Teamsが16%、Google Hangouts/Meetが6%、Cisco Webexが5%だった。SkypeとMicrosoft TeamsはどちらもMicrosoftが提供している製品なので、合わせると41%となり利用率はZoomを上回る。
Web会議システムを利用している機器は、日本と米国のいずれもPCが最も多く、利用率はそれぞれ67%と74%だった。次いで、スマートフォン、タブレット、専用のテレビ会議端末、会議用の専用電話番号に電話という順も、両国で同じだった。スピーカーとマイクについても、両国とも端末内蔵のものが最も多く、利用率は日本が63%、米国が71%だった。
Web会議システムは日本人には難しい?
Web会議システムが「難しい」と感じている人の割合は、日本の方が高かった。これは、Web会議システムに対する慣れが関連しているようだ。日本では、Web会議システムを2020年2月以降に利用し始めた割合が過半を占めているためだ。
具体的には、日本でWeb会議への接続が「とても難しい」と回答した割合は4%、「やや難しい」は19%で、合計23%が難しいと回答した。それに対して米国では、「とても難しい」は1%、「やや難しい」は8%で、難しいと回答した割合は合計9%にすぎなかった。Web会議システムの機能については、日本では「とても難しい」が4%、「やや難しい」が16%だったのに対して、米国では「とても難しい」が1%、「やや難しい」が5%だった。
一方、Web会議をよく利用するようになった時期を調べると、日本では「2020年4月から」と回答した割合が最も高く34%を占めた。「2020年2月以降」と合わせると61%に及ぶ。
会議の在り方を再確認するきっかけに
Web会議システムへの印象は良い。日本で今後のテレワーク制度やWeb会議システムの利用意向について聞くと、「新型コロナウイルス感染症が収束した後も、テレワークや在宅勤務という働き方はあってもよい」と回答した割合は80%。「今後、社内会議はWeb会議でも問題ない」と回答した割合は63%。「今後取引先や顧客など外部との会議はWeb会議でも問題ない」と回答した割合は50%だった。
ジェイ・ディー・パワー ジャパンの野本達郎氏(GBI部門 通信・テクノロジーインダストリー シニア・ディレクター)は次のように述べる。
「日本では、今回の新型コロナウイルス感染症拡大に伴って、多くの人がWeb会議システムを日常的に利用し始めたことがうかがえる。国土が広く、『ホームベースドワーク』という働き方が多い米国と異なり、日本ではこれを機に必要に迫られてようやくWeb会議システムに触れ始めたといえる。今回のコロナウイルス問題は、多くのビジネスパーソンが働き方や社内会議の在り方について再確認するきっかけになっただろう。今後はWeb会議システムの導入も増える見込みだ。ただ、トラブルの要因特定が難しく、企業のIT管理者やエンドユーザーに高いリテラシーが求められる。こうした問題に対しても包括的にサポートできるサービスが期待される」
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