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コロナ禍で現実的になった、人生100年時代のライフ・シフト仕事が「つまんない」ままでいいの?(81)(1/3 ページ)

「人生100年時代」といわれても具体的にはどうすればいいのか分からなかったけれど、コロナ禍による働き方の変化で、具体的な方法が身近になってきたようです。

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 『LIFE SHIFT(ライフ・シフト) 100年時代の人生戦略』(リンダ グラットン、アンドリュー スコット著、東洋経済新報社)(以降、ライフ・シフト)を読んでいます。書籍の発刊は2016年、かなりはやりましたよね。最近「人生100年時代」という言葉をよく見聞きするようになりましたが、恐らくこの本がきっかけだったのではないかな。

 私が購入したのは2017年。一度は読みましたが、先日知人から「改めて読んでいる」という話を聞いて、また読みたくなりました。

 ライフ・シフトによると、長寿化の進行によって多くの人が100年生きるようになり、これまでの「教育→仕事→引退」から「マルチステージ」へとの人生が様変わりするそうです。

 本書には、マルチステージを生きるためには下記の3つが重要だと書かれています。

  1. 1カ所に腰を落ち着けるのではなく、身軽に発見の旅を続け、新しい経験を追求する「エクスプローラー(探検者)」であること
  2. 職を探すのではなく、自分の職を生み出す「インディペンデント・プロデューサー(独立生産者)」であること
  3. 異なる種類の活動を同時に行う「ポートフォリオ・ワーカー」であること

 2017年に本書を読んだ感想を、誤解を恐れず正直にいえば、「言いたいことはよく分かるけれど、具体的にどうすればいいのだろう?」でした。しかし、いま改めて読んでみると、「あれ? 世の中が、本の内容にかなり近づいてきているな」と、感じます。

コロナ禍で身近になった「ライフ・シフト的働き方」

 1つ目のエクスプローラー(探検者)であることについては、コロナ禍の影響が大きいと私は思います。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策を目的としたテレワークの広がりによって、時間や場所の制約を受けずに働ける人が増えました。エクスプローラーの「1カ所に腰を落ち着けるのではなく、身軽に発見の旅を続け、新しい経験を追求する」は、必ずしも「働く場所」のことだけを指しているわけではありませんが、少なくとも柔軟な働き方が可能になりました。

 2つ目のインディペンデント・プロデューサー(独立生産者)と、3つ目のポートフォリオ・ワーカーは、複業の広がりによって現実化してきました。

 政府が働き方改革の一環で副業や兼業を推進しはじめた2017年当時、複業はごく一部の限られた人しかできない働き方でした。しかし、テレワークの普及によって出社しなくても仕事ができるようになったいま、複業をする人が増えてきました。

 「フランチャイズWEBリポート」の「コロナ禍の副業意識調査」によると、回答者の約6割が副業に興味があり、副業を始めて良かった人が9割にも上っています。私の周りでも、2017年当時は複業している知人はほとんどいませんでしたが、現在は10本の指では収まらない人たちが複業をしています。

 本業以外にフリーランスで仕事をするのは、自分で職を生み出すインディペンデント・プロデューサーの1種です。ポートフォリオ・ワーカーは複業そのものですよね。

 このように、2017年当時はだいぶ先のように感じたライフ・シフトが、全ての人にとまではいかないまでも、少しずつ、でも確実に進んできているようです。

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