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仕様は確認しないし、運用テストもしません 全部出来上がってから確認します:「訴えてやる!」の前に読む IT訴訟 徹底解説(92)(2/3 ページ)
説明拒否、確認拒否、追加開発強要、契約なし――協力義務違反の展覧会のようなユーザー企業に対して、ベンダーの専門家責任はどこまで求められるのか。
協力したくないこと岩のごとし
事件の概要から見ていこう。
東京地方裁判所 令和3年3月17日判決から
寝具の販売代理店であるユーザーが在庫管理システムの刷新をベンダーに依頼し契約した。開発はパッケージソフトウェアをカスタマイズする方式で行われたが、ユーザーの仕様説明不足や新規機能追加依頼などが相次ぎ、プロジェクトの納期は何度も変更され、結果的にはベンダーが納品したシステムの受入テストも完了しないまま、プロジェクトは破綻した。
ユーザーはシステムの未完成はベンダーの債務不履行に当たるとして損害賠償を請求する裁判を起こしたが、ベンダーはプロジェクトの失敗の原因はユーザー側の非協力的な対応にあるとして反論した。
判決文から抜粋すると、以下のようなユーザー企業の非協力的な態度があったようだ。
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