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ソフトバンク、Sandbox AQと共同で量子コンピュータでも破れない暗号化技術の早期実装を目指すと発表PQC技術の実用化、まずはVPNに実装

ソフトバンクは2022年3月23日、Sandbox AQと、量子コンピュータの計算速度に耐えうる暗号化技術に関する実証実験を行うためのパートナーシップ契約を締結したことを発表した。

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 ソフトバンクは2022年3月23日、Sandbox AQと「耐量子計算機暗号」(PQC:Post Quantum Cryptography)の実用化に向けた実証実験を日本で行うためのパートナーシップ契約を締結したことを発表した。Sandbox AQは、アルファベットから分社化する形で2022年3月23日にGoogleの元CEO(最高経営責任者)であるエリック・シュミットをCEOとして独立した企業だ。

 インターネットの暗号技術はRSA暗号アルゴリズムという、盗聴者が暗号鍵を発見するための計算に従来のコンピュータでは莫大(ばくだい)な時間がかかる暗号技術が使われている。しかしながら、量子コンピュータが計算すると従来のコンピュータより早い時間で暗号を解読することができてしまう。そのため量子コンピュータの計算速度に耐えられる新しい暗号技術が必要とされている。その新しい暗号技術が、PQCだ。

 NIST(米国国立標準技術研究所)はPQCの標準化に向けて2016年にプロジェクトを発足した。2022年3月には新しい標準化技術の基礎として採用されるアルゴリズムが発表される予定で、2024年に標準化文書を発表するとしている。ソフトバンクはSandbox AQとパートナーシップ契約を結ぶことで、NISTが規定する標準化に先駆けてPQCを利用した暗号技術の実用化を目指す考えだ。


実装までの流れ(提供:ソフトバンク)

 今回パートナーシップ契約をSandbox AQと締結した理由について、ソフトバンクの前川直毅氏(先端技術開発本部 次世代ネットワーク部 BHネットワーク開発課)は次のように述べた。

 「Sandbox AQは、ソフトウェア開発、暗号技術、セキュリティに関する高い専門性を持ったえりすぐりのメンバーによって構成されている。加えて、標準化している段階のアルゴリズムに関して、特定のアルゴリズムを推進しなければならないというしがらみがない。また、アルファベット傘下時代に培った量子技術、量子コンピュータに対する知見もある。これらがわれわれにとって強みとなると考えている」

 ソフトバンクは2022年夏までにPQCアルゴリズムを5G、4G、Wi-Fiなどのネットワーク上で実装、検証していく予定だ。将来的には、同社が提供するVPNにPQCアルゴリズムを実装したり、IoT機器の通信をPQCに限定することで既存の通信を遮断できる、IoT機器向けのPQCプラットフォームを提供したりすることを想定している。

 ソフトバンクの湧川隆次氏(先端技術開発本部 本部長)は「この実証実験の成功時には、例えば、銀行や保険会社など非常に高いセキュリティが必要とされる業界への試験的な導入についての可能性にも非常に期待している」と、PQCに対しての期待感を示した。


PQCの実装イメージ(提供:ソフトバンク)

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