リソースプールのディスクのI/O統計に関する情報を出力する:SQL Server動的管理ビューレファレンス(152)
「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「動的管理ビュー」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は、リソースプールのディスクのI/O統計に関する情報を出力する方法について解説します。
本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で使用可能な動的管理ビューについて、動作概要や出力内容などを紹介していきます。今回は動的管理ビュー「sys.dm_resource_governor_resource_pool_volumes」における、リソースプールのディスクのI/O統計に関する情報を出力する方法について解説します。対応バージョンは、SQL Server(サポートされている全てのバージョン)です。
概要
SQL Serverではリソースガバナーの機能を使用して、ワークロードが使用するシステムリソースの消費を管理できます。リソースガバナーでは、アプリケーションからの要求をワークロードグループに割り当てます。ワークロードグループが属するリソースプールに、使用できるCPU時間やメモリ量の割合、I/O要求のスループットを設定することで、アプリケーションからの要求で使用されるリソースを制限します。
「sys.dm_resource_governor_resource_pool_volumes」では、リソースプールのディスクのI/O統計に関する情報を出力します。
出力内容
列名 | データ型 | 説明 |
---|---|---|
pool_id | int | リソースプールのID |
volume_name | sysname | ディスクボリュームの名前 |
read_io_queued_total | int | エンキューされた読み取りI/Oの合計 |
read_io_issued_total | int | 発行された読み取りI/Oの合計 |
read_ios_completed_total | int | 完了した読み取りI/Oの合計 |
read_ios_throttled_total | int | 調整された読み取りI/Oの合計 |
read_bytes_total | bigint | 読み取られた合計バイト数 |
read_io_stall_total_ms | bigint | 読み取りI/O完了までの合計時間(ミリ秒単位) |
read_io_stall_queued_ms | bigint | 読み取りI/Oキューの合計時間(ミリ秒単位) |
write_io_queued_total | int | エンキューされた書き込みI/Oの合計 |
write_io_issued_total | int | 発行された書き込みI/Oの合計 |
write_io_completed_total | int | 完了した書き込みI/Oの合計 |
write_io_throttled_total | int | 調整された書き込みI/Oの合計 |
write_bytes_total | bigint | 書き込まれた合計バイト数 |
write_io_stall_total_ms | bigint | 書き込みI/O完了までの合計時間(ミリ秒単位) |
write_io_stall_queued_ms | bigint | 書き込みI/Oキューの合計時間(ミリ秒単位) |
io_issue_violations_total | int | I/O発行違反の合計 |
io_issue_delay_total_ms | bigint | スケジュールされた時間と実際のI/O時間との間の合計時間(ミリ秒単位) |
動作例
リソースプールを作成し、幾つかクエリを実行した後に「sys.dm_resource_governor_resource_pool_volumes」を実行すると、リソースプールのディスクのI/O統計に関する情報が出力されました(図1)。
リソースプールのディスクボリュームごとに出力され、I/O統計が確認できます。「read_io_stall_queued_ms」列や「write_io_stall_queued_ms」列の数値は、リソースガバナーによって発生した遅延を表しています。
なお、1秒当たりの物理I/O操作の最小値と最大値を指定できるMIN_IOPS_PER_VOLUMEやMAX_IOPS_PER_VOLUMEがリソースプールで設定されていない場合は、情報が出力されないため注意が必要です。
※本Tipsは、「Windows Server 2019」上に「SQL Server 2019」をインストールした環境を想定して解説しています。
筆者紹介
椎名 武史(しいな たけし)
BIPROGY株式会社(ビプロジー)所属。Microsoft MVP for Data Platform(2017〜)。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。
伊東 敏章(いとう としあき)
BIPROGY株式会社(ビプロジー)所属。入社以来SQL Server一筋で評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。社内のプログラミングコンテストで4回の優勝経験も持つ。趣味は輪行で週末は自転車を持っての旅行。目標は色々な日本百選を制覇すること。
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