検索
連載

セットベースのアプローチで家事の課題のベストな解決法を探るピーラーはとても便利(2/2 ページ)

4人家族の家事育児をワンオペで担うことになったエンジニアリングマネジャーの陽太郎さんは、あふれる家事タスクを何とかこなすために、仮説検証型のアプローチを用いてさまざまな解決法にトライします。

Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

もしポイントベースで考えるときは?

 参考までにポイントベース的なアプローチで考える場合についても記します。

 ポイントベース的なアプローチは、何から試してみるかの取捨選択が必要です。優先順位の判断には、例えば「優先度・重要度」といった2次元マトリクスを組んでみて判断する方法などが考えられます。ここでは、『レガシーソフトウェア改善ガイド』(翔泳社)の「リスク・難度・価値」という3次元で考え、「手が届く果実」から実施することを紹介します。

手が届く果実から

 レガシーソフトウェア改善ガイドでは、リファクタリングをどこから理解するかという文脈で「リスク・難度・価値」を記した下記の図が紹介されており、その中で、リスクと難度がどちらも低い「手が届く果実」を「手始めに最適」としています。


リスク・難度・価値

 家事の改善にも、リファクタリングと似ているポイントがあります。

  • リスク 変更しようとすると、思わぬ弊害や、ケガなどをし得る部分(朝の献立に慣れていない段階での献立のルーティン化など)
  • 難度 そもそも改善などがしにくい部分(自分たちの「好みに合わせた」料理を作ること)
  • 傷んだ箇所 既に自力でできていない部分(料理からは離れますが、リビングの掃除など。洗濯物が散乱する事態に!)

 整理すると、手の届く果実であるとして、ピーラーなどの導入や夕食の作り置きサービスなどから始めることにしようと判断できます。

試してみた

 さて、話をセットベース(つまり全部試してみる)に戻します。実際に試してみたところ、下記の学びがありました。

. 自分に合っていた点 自分に合わなかった点
家事代行 ・自分が作るよりも圧倒的においしい
・調理の仕方そのものが非常に参考になる(別記事でkwsk)
・自分に正しく要求をお願いできる力がない(例えば、長男はトマトを加熱した料理が苦手で、子どもが大好きな定番煮込みハンバーグが食べられないことを、作ってもらってから知るなど)
朝の献立のルーティン化+簡素化 ・ヨーグルト、乳酸菌飲料、ベーコンエッグを定番化し、大幅な手間の貢献に寄与した ・献立にたどり着くまで結局ある程度時間がかかった、また、予定外の事象に意外と弱い
調理の工夫 ・コストは低い
・りんごの皮むきなど、調理のリードタイムの短縮に寄与
・複数のピーラーなどを用意することから、置き場所の問題が発生
調理済みの食材を配達 ・家事代行よりも手間が少ない(個別のお願いをする部分や、調理器具の置き場所をレクチャーするなど) ・レシピが選べないので、子どもが食べられないものが来ると厳しい戦いを強いられる
カット野菜の配達 ・面倒な野菜千切りの手間が省け、便利 ・繰り返すと飽きが来てアレンジが必須になり、結果としてトータルのリードタイムが変わらなくなる
出前 検証せず 検証せず

自分に合った方法論

 これらの検証を実施したところ、自分には下記の方法と相性が良いという結論に至ったので、実践することにしました 。妻の留学開始後1カ月以内にこの方法を「型化」できたので、対応リードタイムも悪くなかったと考えています。

朝の食べ物のルーティン化

夕食向けに、カット野菜と調理済み食材の配達を依頼(週2〜3日分のおかずを賄う)

残りは自分で作成

  • りんごの皮むきなどはピーラーにおまかせ
  • キャベツの千切りも専用ピーラーに

ピーラーは神である。左から順に、基本のピーラー(じゃがいもの皮むきや芽を取る、人参の皮むき用)、キャベツの千切り用、白髪ねぎなどを作るとき用(意外に輪切りと同じくらい使う場面が多い)、人参やごぼうを少し太めの千切りにするとき用(きんぴらごぼうなどに使う。これより細いものが必要な場合のために別途スライサーも所持)、アボカドの実を取るとき用(あるダイエット方を実践しており、昼はアボカドサーモンが多いので)

次回予告

 さまざまな解決法をやってみた結果、食事の準備はある程度回せるようになりました。しかし、予想していない部分で意図しないトラブルは起きるもの。私は当初意図していなかったポイントで「もうウンザリです。何も改善できません」(※3)という絶望感あふれる状態になりました。

 次回は「何がおきたのか」と「その対処」を考えます。

※3 『レガシーコード改善ガイド』(マイケル・C・フェザーズ著、翔泳社 )24章のタイトルにもなっている有名なフレーズです

高橋陽太郎

リクルート所属。

HR領域のエンジニア組織のグループマネジャーとして、タウンワークをはじめとしたサービスの開発を担っています。並行して、妻の海外留学を経験し、そこで得た知見を社内外で発表しています。また社外では、TDDBCなどのコミュニティー運営にも携わっており、著作として『エキスパートが教えるSelenium最前線』(共著)があります。

Twitter:PoohSunny


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページへ |       
ページトップに戻る