士気の低下、不安の増大、離職……従業員監視ツールの導入がもたらす悪影響とは:ITマネージャー、ITワーカー双方に悪影響
1Eは、調査会社のWakefield Researchと共同で実施した従業員監視ツールについての調査結果を発表した。
従業員のデジタル体験(DEX)に関する事業を展開する1Eは2023年4月18日(米国時間)、従業員監視ツールについての調査結果を発表した。
1Eが調査会社のWakefield Researchと共同で実施した従業員監視テクノロジーに関する調査では、従業員が従業員生産性監視テクノロジー(EPST)の使用についてどのように感じているかおよびそのようなツールが職場のダイナミクスをどのように変化させるかについて、1000人(米国の500人のITマネジャーと500人の非マネジャーのITワーカー)に質問した。
ここ数年間で、従業員の生産性を監視し、リモートアクティビティを追跡するためのツールが企業間でより一般的になっている。こうしたツールをまだ使用していない企業の79%は、今後3年以内にそれらを実装する予定だという。
調査対象となったほとんどの従業員は、生産性監視テクノロジーを使用する企業で既に働いているが、ITマネジャーの73%は、特に会社が完全に透明性を確保していない場合、従業員にそれを導入するように指示することに不安を感じていることを明らかにした。さらに、ITマネジャーの4分の1以上が、これらのツールを使用している場合、従業員の離職率が上昇し(28%)、新しい従業員を採用するのが困難になる(27%)ことを示しているという。
「この調査を実施する前から、職場の監視は従業員とリーダーの間で物議を醸すトピックであることを理解していた。しかし、私たちおよび以前の調査はどちらも、この戦術が文化と評判に良いことよりもはるかに害を及ぼすことを示している」と1EのCEOであるマーク・バンフィールド氏は述べる。「今日の環境では、従業員は雇用主からの一定レベルの信頼を必要としている。これらの監視ツールを展開すると、リーダーシップへの信頼が失われ、ITマネジャーが不当な立場に置かれる。監視ツールに頼る前に、生産性を向上させるより良い方法を検討する必要がある」
監視ツールの使用を隠している企業は優秀な人材を失う
今日の競争の激しい雇用市場では、ITチームが監視ツールの展開にどのように反応するかをビジネスリーダーが理解することが、これまで以上に重要になっている。ITワーカーの半数以上(52%)は、会社が従業員の生産性監視テクノロジーを使用していることを知っていれば、本来であれば魅力的と感じるポジションを辞退するだろうと認めている。
2023年4月現在、生産性監視テクノロジーを使用している企業に勤務していないITワーカーの4分の3は、「他の従業員を追跡するためにそのテクノロジーを導入する必要がある場合、現在の地位にとどまりたいという意欲に悪影響を与える」と述べている。実際に、30%が積極的に別の仕事に応募し始め、3%がすぐに辞職した。さらに、ITワーカーの5人に2人は、他のオファーに対してよりオープンになると述べているという。
監視テクノロジーがITマネジャーに与えるプレッシャー
生産性監視テクノロジーは、マネジャーを困難な立場に追い込み、同僚の仕事を監視することが道徳的に正しいかどうかの判断を迫る。ほとんどのITマネジャーは、スタッフが拒否したとしても、スタッフにテクノロジーの導入を強制することはなく、多くのITマネジャーが上層部に懸念を表明したという。監視テクノロジーが導入されると、ITワーカーは会社のポリシーを無視して同僚にそのことを知らせたいという強い欲求を持ち、72%は同僚が回避策を見つける手助けをする。ITマネジャーの3分の1が監視テクノロジーをプライバシーの侵害と見なしており、リーダーが中間レベルのリーダーを厄介な状況に置くのをやめるまで、反発が続く傾向にある。
ほとんどのITワーカーは監視ツールが実装されると不安を覚える
調査では従業員の生産性監視テクノロジーを実装すると、ほとんどのITワーカーが不安を覚えることが分かった。ITワーカーの4分の1以上(27%)が、監視テクノロジーを展開して同僚を監視するという要求に応じる前に、経営陣に懸念を表明し、5%は完全に拒否した。監視ツールが従業員のメンタルヘルスと企業文化に対する感情に与える影響の内訳は、以下の通り。
- ITワーカーの26%が、士気の低下を経験
- ITワーカーの30%が、従業員の不安の増大を経験
- ITワーカーの28%が、従業員の燃え尽き症候群の加速を経験
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