「分からないことは情シスに聞く」が「分からないことはネットで調べる」に変化しつつある ガートナー:「まずは生成AIに聞いてみよう」が当たり前に?
ガートナージャパンは、デジタルワーカーに関する調査結果を発表した。それによると、仕事に必要な情報やデータを見つけることに苦心しているデジタルワーカーが47%を占めることが分かった。
ガートナージャパンは2023年5月30日、米国、英国、インド、中国の従業員100人以上の組織を対象に実施したデジタルワーカーに関する調査結果を発表した。それによると、全体の47%が仕事に必要な情報やデータを見つけることに苦心していることが分かった。
26個のアプリケーションを業務利用しているケースも
調査結果によると、デスクワーカー(ナレッジワーカー)の1人当たりの平均使用アプリケーション数は11個。これは、2019年に実施した同様の調査よりも5つ増加している。平均数を上回るアプリケーションを使用しているデジタルワーカーの割合は40%で、26個以上のアプリケーションを業務に使用している人も5%いた。
無秩序にアプリケーションを導入したことでさまざまな影響が出ている。調査結果によると、「仕事に必要な情報やデータを見つけるのに苦労した」(67%、複数回答、以下同)、「無関係な通知を受け取った」(45%)、「使用アプリケーションの数や情報量が多過ぎて重要な更新を見逃したり、気が付かなかったりした場合があった」(36%)、「認識不足によって誤った意思決定を下した」(32%)といった業務影響があったようだ。
GartnerのTori Paulman氏(シニアディレクター、アナリスト)は、「ワークプレースに情報やアプリケーションがあふれかえる中で、従業員は本当に必要な情報を見つけることに苦心している。デジタルワークプレースリーダーは、情報ストアやアプリケーションの数と種類をやみくもに増やすのではなく、従業員が共通的に使用するアプリケーションについて合意できるようなプロセスを策定することで、こうした状態に歯止めをかける必要がある」と指摘している。
「問題だと気付く前に、解決してほしい」
調査結果からは、従業員のITに関する課題解決手段が変化してきていることも明らかになった。これまでは情報システム部門など、社内のITサポート部門に対する電話やチャット、電子メールでの相談が主流だったが、今回の調査結果では「インターネットで回答を得る」「同僚に尋ねる」など、新たな方法での解決を好むようになっていた。
Paulman氏は、「従業員は現在、ITサポート部門に対して、コンピュータやアプリケーションの問題が報告される前、あるいは問題が認識される前に、積極的に問題解決の支援をしてくれることを望んでいる。このことは、ITサポート部門が、問題が報告されてから動くリアクティブな部門からプロアクティブな部門へと転換する必要性を意味している」と述べている。
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