エンジニアに「キャリア安全性」はあるのか:仕事が「つまんない」ままでいいの?(110)(2/3 ページ)
働き方が変わろうとしているいま、「将来も、きっと大丈夫だ」と思えていますか?
「3つの資本を増やそう」と言うのは簡単だけど
ここからの話は「3つの資本を増やしていこう!」とした方がいいのかもしれません。
ただ、この文章を書きながら、僕は「まぁ、それは確かにそうなんだけど、そんなに簡単でもないんだよな」とも思っています。なぜなら、この環境に身を置けるようになるまでの道のりは、決して楽なものではなかったからです。
例えば、いまの働き方は「自身で法人を経営しながら、IT企業でも働く」という複業です。15年ほど前に起業しましたが、仕事がある程度軌道に乗るまでは正直大変でした。あまり人には言えない、というか言いたくない(笑)経験もあります。
また、いろいろなことがそれなりにできるようになったのは、日々の仕事や生活を軌道に乗せるために、さまざまなことを「やらなければならなかった」結果ですし、人とのつながりができたのも、その結果として生まれたご縁です。
そう考えると、僕の場合、3つの資本は「計画的に増やした」というよりも、全ては「結果論」です。さまざまな経験の中で、金融資本、人的資本、社会資本が増え、結果的に自律し、自身のキャリアについて主体性を持てるようになりました。そして、ある程度は「これからも、きっと大丈夫だ」と思えるようにはなりました。
でもこれまでの苦労を思うと、自分と同じような経験を他の人にはできれば味わってほしくないし、不要な苦労はしない方がいい……そう思うのです。
もちろん、過度な苦労をしなくても、キャリア安全性を高める方法はたくさんあるでしょう。働く形はさまざまですが、僕とは異なるプロセスを経て、活躍している友人、知人もたくさんいます。
ただ、間違いなくいえることは、未来がどうなっていくのかよく分からない環境では、「これからも、きっと大丈夫だ」と思える環境を構築した方が安心して働けるし、そのためには主体的に動けた方がいいな……ということです。
そのためには「どうすればいいのかな?」と思うわけです。
エンジニアが3つの資本を高めるためにできること
エンジニアの場合、手っ取り早く何かを始めるなら、人的資本である「スキルを高めること」かなぁと思います。最近ではリスキリングといった言葉もはやっているので、会社からのいろいろな支援も得られるかもしれない。まずは、ここなのかな。
でも、ただスキルがあっても、資格があっても、それで「これからも、きっと大丈夫だ」と思えるか……というと、そうでもありません。なぜならば、仕事というのは、特に長期的な関係であればあるほど、周囲から「○○さんと一緒に仕事をしたい」と思ってもらって成立するものであり、スキルに加えて「人となり」とか「人とのご縁」とか、そういった人間関係や信頼関係の結果として増えていくものだからです。
複業のような働き方も、以前と比較すればやりやすくなっているとは思います。複業に理解を示す企業も増えていますし、マッチングサイトのようなものもあります。でも、「継続的に」「長く働く」環境は、人的資本や社会資本が増えた結果として得られるものだと思います。
そういう意味では、スキルに加えて、3つの資本をバランスよく増やしていくことが大切なのではないかと思うわけです。
ただ、「3つの資本をバランスよく」といっても、それがまた難しい。では、何から始めるのがいいのでしょうか?
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