開発者の4人に1人が、正当な報酬を得ていると思っていない SlashData調査:開発者が採用している新興技術、仕事への満足度は? 1万人以上が回答
調査会社SlashDataは、世界のソフトウェア開発者の現状調査レポート「State of the Developer Nation 26th Edition」のうち、開発者による新興技術の採用状況と、開発者の仕事への満足度についてそれぞれまとめた無料レポートの概要を公式ブログで紹介した。
調査会社SlashDataは2024年7月16日(米国時間)、世界のソフトウェア開発者(以下、開発者)の現状調査レポート「State of the Developer Nation 26th Edition」のうち、開発者による新興技術の採用状況と、開発者の仕事への満足度についてそれぞれまとめた無料レポートの概要を公式ブログで紹介した。
同調査は、2024年第1四半期に世界135カ国の開発者を対象に行われ、1万人以上の回答を得た。開発者による新興技術の採用状況と、開発者の仕事への満足度に関する各レポートの概要は以下の通り。
開発者による新興技術の採用状況に関するレポート
SlashDataは、さまざまな新興技術のエンゲージメント率と採用率の各中央値を縦軸、横軸に取った4象限を設け、これに個々の技術をプロットした図と新興技術への開発者のエンゲージメントのグラフを次のように紹介している。
SlashDataは、開発者による新興技術の採用状況に関するレポートのハイライトとして、以下を挙げている。
- AI(人工知能)は、未来に関するあらゆる議論を席巻しており、開発者の59%が開発ワークフローでAIを使用している
- デジタルツイン、触覚フィードバック、フォグ/エッジコンピューティング、DNAコンピューティング/ストレージの4つの技術は、開発者のエンゲージメントを獲得することに一貫して失敗している
- NFT(非代替性トークン)は、暗号通貨や他のブロックチェーンアプリケーションと比べて、エンゲージメントが低い
- 暗号通貨と暗号通貨以外のブロックチェーンアプリケーションへのエンゲージメントは、6〜10年の経験を持つ開発者の間で最も高い
- ブロックチェーン技術は、さまざまな業界に革命を起こすといわれて久しいが、多くの場合、ソフトウェア業界から他業界に応用を拡大するのに苦労している
- ブロックチェーン技術がその可能性を十分に発揮するためには、より主流の市場を開拓し、ニッチな技術の枠を超えて広くアピールできる必要がある
開発者の仕事への満足度に関するレポート
レポートによると、以下のグラフのように、開発者の多くが仕事にやりがいを感じ(79%、複数回答、以下同)、達成感を得ている(74%)。一方で、開発者の4人に1人が、正当な報酬を得ていると思っていない(26%)。また、ほぼ同じ割合の開発者が、昇進の機会がない(25%)、あるいは仕事に刺激がない(24%)と思っている。
SlashDataは「これらの各項目の重要度は個人によって異なるが、開発者の約4分の1が、報酬、昇進機会、仕事の刺激という点で不満を持っていることは注目に値する」と指摘した上で、「企業は昇進の機会を提供することで、人材の維持、定着に向けて、他社との差別化を図れる」と述べている。
SlashDataは、開発者の仕事への満足度に関するレポートの他のハイライトとして、以下を挙げている。
- プロの開発者の26%が、今後1年以内に転職する意向がある
- AR(拡張現実)とVR(仮想現実)の開発者は、現在の仕事に満足していると答えた割合が最も高い
- 仕事に満足している開発者は、退職を考えている割合が非常に低い
この2つのレポートは「SlashData Research Space」に登録すれば、無料でアクセス、閲覧、ダウンロードできる。
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