パワハラのリスクを回避しつつ、伝えるべきことを伝える方法:仕事が「つまんない」ままでいいの?(116)(2/3 ページ)
パワハラ、モラハラ的な言動は気を付けたいもの。しかし、パワハラ、モラハラを意識し過ぎるがあまりにコミュニケーションの難しさを感じているのなら、本末転倒です。指摘すべきところは指摘できないと、人や組織の成長は望めません。
パワハラのリスクを回避しつつ、伝えるべきことは伝えるために
仕事のコミュニケーションで、パワハラ、モラハラ的になりやすいのは、「指示、命令、禁止」を伝えるケースではないかと思います。
指示
「○○しなさい」
命令
「○○せよ」「○○すべき」
禁止
「○○するな」
指示、命令、禁止をこのまま伝えると、どうしても強制、否定的、批判的な印象を与えてしまいます。その結果、相手の抵抗感やネガティブな感情を引き寄せます。
同じことを伝えるにしても、できるだけ肯定的な言葉を意識するようにすると、パワハラ、モラハラと感じさせるリスクが減ります。具体的には……
指示
肯定語で具体的に。感情も添えて
「○○しなさい」→「○○を□□にしてくれるとうれしいな」
命令
疑問形にすると、お願いするニュアンスになる
「○○すべきだろう」→「○○することはできる?」
禁止
「やってはいけないこと」ではなく「やっていいこと」を伝える
「○○するな」→「○○するといいよ」
ちょっとした言葉の工夫ですが、同じことを伝えるにしても、言葉から受ける印象が変わることに気付かれるでしょうか?
また、お笑い芸人「ダチョウ倶楽部」の「押すなよ! 絶対に押すなよ!」というネタのように、「押すな」と否定すると、逆に「押す」ことに意識が向きますよね。これは人間の脳の特徴で、「言葉をそのまま受け取ろうとする」(否定語は理解しにくい)からです。
その脳の特徴から、コンビニのトイレなどでも、以前は「汚さないでください」といった否定語(否定命令)が使われていましたが、最近は「いつもきれいにお使いいただきありがとうございます」「もう一歩前に」(男性トイレ)などの肯定語や具体的な行動が書かれるようになりました。
このように「してほしくないこと」ではなく、肯定語や、してほしい具体的な行動を伝えるようにすると、必然的に肯定的な印象の言葉になるため、パワハラ、モラハラと受け取られるリスクを減らしながら、伝えるべきことを伝えられるようになるでしょう。
職場のコミュニケーションを良好にするために意識したい「ちょっとしたポイント」
ここからは、職場のコミュニケーションを良好にするための「ちょっとしたポイント」を紹介します。
「解釈」ではなく「事実」ベースで会話をする
パワハラ、モラハラと捉えられないようにするためのポイントの一つが、「解釈」ではなく「事実」ベースで会話をすることです。
例えば、システム開発にはつきものの不具合が見つかったとき。顧客からクレームが入って、「お客さんがカンカンになって怒っている」「大変なことになっている」といった会話を担当者とすることもあるでしょう。
「カンカンになって」や「大変なことになって」は解釈です。このような言葉を使いたくなるのは、「大ごとである」と伝えたかったり、「軽くプレッシャーをかけたい」といった気持ちが無意識に働いたりするからかもしれません
この事象の事実は何でしょうか? 「お客さんから○○機能について2回電話があった」「お客さんは『○○だと言っていた』」などでしょう。事実ベースの伝え方の場合、こちらの意見や解釈は含まず、あくまでも起こったことを伝えるだけです。
コミュニケーションギャップが起こるのは「解釈の違い」です。事実ベースでの会話であれば、パワハラ、モラハラと捉えられるリスクが少なくなります。なお、事実ベースにするためには、数値化したり、具体的にしたりするなど「5W1H」を意識するといいでしょう。
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