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「取りあえず就職」でもいいんじゃない?――就活で悩んでいる大学生のキミへ仕事が「つまんない」ままでいいの?(121)(3/3 ページ)

もしあなたが大学生だったら、就活に悩みますよね。そんな、悩めるキミへ。就活の専門家ではない、でも現場で一生懸命生きてきた「ただのおじさん」からの手紙です。

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大手だと転職するときに「箔が付く」?

 ただ、もし大手に就職できたら、転職するときに「箔(はく)が付く」かもしれませんね。ここでいう「箔が付く」とは、「おっ! と思われる」ということです。

 でも、実際はどうなんでしょうね。僕は何度か、転職者の職務経歴書を見たり、実際に面接をしたりしたことがあります。その際、大手出身だと確かに「お〜、○○(会社名)にいたのか〜。すごいな〜」と思います。

 でも、そう思うのはほんの一瞬です。それ以降は、やはり「人」を見ます。どんなに「大手出身でも」です。企業名は看板でしかありません。会社の看板を下ろしたときが勝負です。

「一緒に仕事がしたい」と思う人

 逆に、大手の人じゃなくても、「お、すごいな〜」と思うときがあります。それが、どういうときかというと……。

 僕は社会課題の解決に興味があるタイプですが、これらの取り組みはNPO法人や一般社団法人の方が実績のある場合が多い。そういった法人は必ずしも大手ではありません。

 現場感覚としては、そういった現場で実務経験を積んでいる人の方にがぜん興味が湧きます。大手出身のエンジニアで限られた範囲しか経験していない人と、中小企業や社会課題に取り組んでいるチームで実務的な仕事をしてきた人がいたら、「一緒に仕事をしたら、楽しそうだな」と思うのは、現場経験を積んでいる人の方です(だからといって、大手は現場経験が積めないというわけではありません。分かりやすく比較するための表現です。念のため)。

 つまり、出身企業名が有利にはたらくのはほんの一瞬で、それ以降見たくなるのは「日頃、どんなことを考えていて」「どんな経験をしてきたか」。つまり「人」だということです。

「柔軟に対応していく」だけでいいんじゃないか?

 そう考えると、働く上で大切なのは、「どの企業に就職するか?」よりも、その環境で必要とされていることに「いかに柔軟に対応していくか?」ではないか。何なら「それだけでいいんじゃないか?」とすら、思います。

 少なからず、僕がキャリア採用する立場だったら、そういう見方をします。

 世の中には、就職するためのさまざまなノウハウやメソッドがありますよね。「企業のビジョンや理想像に合わせて自己PRをしよう」とか、「短所を聞かれたら、短所を話すふりをして長所をアピールしよう」とか。

 でも、そんなものはぶっちゃけ「どうでもいい話」です。採用する側もばかではありません。いろいろな人を見ていれば、そういった「上っ面なテクニック」はお見通しだと思います。

 それよりも、今後の長い人生を真面目に考えるのならば、就職は「取りあえずの通過点」ぐらいに考えておいて、その環境、環境で必要なこと、求められることを一生懸命やる。そして、実力を付ける。

 その結果、「この会社はいいな」と思えたら長く働けばいいし、「本当にやりたいこと」が見えてきたり、「これは違うな」と思ったりしたときは、新たな環境にチャレンジすればいい。新たなチャレンジをするときに選択肢が増えるよう、日々の努力を重ねる。未来の自分のために、いま、この瞬間を頑張る。

 「それでいいんじゃないか」と、就職の専門家ではない、でも現場で一生懸命生きてきた、ただのおじさんは思うのであります。


大丈夫だよ

筆者プロフィール

竹内義晴

しごとのみらい理事長 竹内義晴

「仕事」の中で起こる問題を、コミュニケーションとコミュニティーの力で解決するコミュニケーショントレーナー。企業研修や、コミュニケーション心理学のトレーニングを行う他、ビジネスパーソンのコーチング、カウンセリングに従事している。

著書「Z世代・さとり世代の上司になったら読む本 引っ張ってもついてこない時代の「個性」に寄り添うマネジメント(翔泳社)」「感情スイッチを切りかえれば、すべての仕事がうまくいく。(すばる舎)」「うまく伝わらない人のためのコミュニケーション改善マニュアル(秀和システム)」「職場がツライを変える会話のチカラ(こう書房)」「イラッとしたときのあたまとこころの整理術(ベストブック)」「『じぶん設計図』で人生を思いのままにデザインする。(秀和システム)」など。


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