「作れば評価された時代は終わった」 AI時代を生き抜く「ビジネス理解」チートシート:人によって変わるビジネスの意味――3つのレイヤーで捉える(2/2 ページ)
AIの浸透により、エンジニアの価値は開発そのものから、事業貢献へと変わりつつある。しかし「ビジネスを理解せよ」と言われても、具体的には何を指すのだろうか。曖昧に語られがちなビジネスの解像度を高め、技術を成果につなげるためのアプローチについて、Relicの大庭 亮氏に聞いた。
AI時代にもエンジニアをエンジニアたらしめるもの
「作る」行為はコモディティ化しつつある。言い換えれば、誰でもAIでソフトウェアを作れる時代に、エンジニアをエンジニアたらしめるものは何か、大庭氏に聞いた。
大庭氏は「作ったものを安全かつ安定的に提供し続けるプロセスにこそ、エンジニア固有の専門性がある」と説く。セキュリティ、保守性、運用性、安定性といった非機能要件は、成果物が完成した後も正解の判定が難しい。非エンジニアがAIを活用して何かを作ることはできても、それを継続的に安定稼働させ、価値を出し続けることは、やはりエンジニアの経験と専門能力なくしては成り立たない。そしてこの領域においても、ビジネスのコンテキストを持つことが、より解像度の高い貢献を可能にする。
「技術だけで生きていく道の難易度は上がり続けている」と、大庭氏は指摘する。ビジネスサイドへの理解を深めることは、エンジニアとしての価値を発揮しやすくするだけでなく、差別化のポイントにもなる。
それでは、ビジネスへの理解を深めたいエンジニアが、明日から実践できる最初の一歩は何だろうか。大庭氏は、前述した3つのレイヤーの定義や、学びのための具体的な行動指針を1枚にまとめた「ビジネスがわかるエンジニアチートシート」を考案した。「もし1on1などで『もっとビジネス視点を持って』と求められたら、このシートを上司に提示しながら、『具体的にどのレイヤーのビジネスを指していますか』と問いかけてみてほしい」と提案する。
チートシート活用の最初のステップとして大庭氏は、「自分自身が携わるプロダクトのレイヤーから始めること」を勧める。何から始めるべきか迷ったら、チートシートを手にPdMとの1on1を設定し、自分が担当するプロダクトの構造を尋ねるだけでも意味があるという。
「『ビジネスに関心がある』と周囲に示すだけでも、関連する情報が集まりやすくなり、事業や経営へと理解を広げる助けになる。もちろん、エンジニア全員がビジネスを理解する必要はない。技術的にディープな領域にどんどん入っていく道もある。ただ、そこまでしたいわけでなければ、ビジネスサイドに染み出していった方がよい」(大庭氏)
大庭氏自身、エンジニアとしてキャリアをスタートし、その後、事業開発やマネジメントを経て経営陣入りしたという経歴の持ち主だ。実践に裏打ちされた大庭氏のアドバイスは、エンジニアがAI時代を生き抜く上で、大いに参考になるのではないだろうか。
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