アプライアンスにOSSにXML、
激動の2009年のその先は?
2010/1/25
商用RDBMSは性能で勝負、器用さより力強さ
まず主要な商用RDBMSのバージョン動向を簡単に確認しましょう。2009年5月21日にIBM DB2がV9.7を発表、8月28日から出荷開始、そして9月14日にオラクルがOracle Database 11g R2を発表、11月17日から出荷開始となりました。なおMicrosoftはSQL Server 2008が最新バージョンですが、2010年中に次期版となる2008 R2を出す予定です。
ここまではデータベース製品本体の話ですが、2009年で象徴的だったのはアプライアンスの登場かと思います。データベースというソフトウェアの能力を最大限に引き出すように、ハードウェアと一体化したものが次々と登場しました。
オラクルはExadataというアプライアンスを出しました。実物は細長い大きな箱ですが、開けるとデータベースサーバとストレージとInfiniBandが搭載されています。ハードウェアはV1ではHP、V2ではSunと組み合わせ、高い性能を誇っています。
Database Watch 2009年2月版
Exadataがいよいよ国内でも始動! オラクルの新しい動き
http://www.atmarkit.co.jp/fdb/rensai/dbwatch2009/dbwatch20092_01.html
一方、IBMはDWH向けのアプライアンスとしてIBM Smart Analytics System、また年末にはIBM DB2 pureScaleを出しました。後者は現時点ではハードウェアが限定されていますが、正確にはアプライアンスではなくDB2 V9.7のオプションで、拡張性と高速化を実現するものです。
なお今年登場するマイクロソフトのSQL Server 2008 R2でもBI機能を重視したものになる予定です。
Database Watch 2009年9月版
あちらもこちらも「R2」に本気
http://www.atmarkit.co.jp/fdb/rensai/dbwatch2009/dbwatch20099_01.html
Database Watch 2009年11月版
いろいろあったりもしたけれど、DB界はげんきです
http://www.atmarkit.co.jp/fdb/rensai/dbwatch2009/dbwatch200911_01.html
あらためて振り返ると、近年の商用RDBMSは管理機能やXML機能の拡充など、機能を広げることで特徴をアピールしていたように思います。しかし2009年はこれまでと違い、性能にいっそう力を入れるようになりました。規模の大きさ、処理の速さ、拡張性などでこれまでの壁を突き破ろうとしているかのようです。2009年は器用さより力強さへの転換点といえるかもしれません。
Enterprise Managerとインメモリ・データベース製品の新版登場
こうした性能勝負以外にも、オラクルはいろいろと話題を提供してくれました。データベースに関係する範囲でピックアップすると、5月14日から管理ツールの新版Oracle Enterprise Manager 10g R5を出荷開始、8月7日からインメモリ・データベース製品の新版を出荷開始しました。後者はOracle In-Memory Database Cache 11gとOracle TimesTen In-Memory Databaseです。
Database Watch 2009年8月版
DB運用管理、あなたの会社はどのタイプ?
http://www.atmarkit.co.jp/fdb/rensai/dbwatch2009/dbwatch20098_01.html
オラクルの技術者認定制度、ORACLE MASTERでは7月1日にORACLE MASTER累計取得者数が20万人を突破しました。20万人目となった認定者は日本オラクル本社の茶室で遠藤社長と一服しながらインタビューに応じたのだとか。渋いですね。
オラクルのサン買収でMySQLはどうなるの?
あとオラクルといえば、サン買収という話題もありました。2008年にMySQLがサンと統合して落ち着いたかと思いきや、そのサンを次はオラクルが買収するということになり衝撃が走りました。後に独占禁止法を理由に買収に待ったがかかり、現段階では結果待ちです。
データベースに関連するところではMySQLの処遇が気になるところです。最近MySQLの開発者が「MySQLを救え!(Save MySQL!)」とサイトで署名を集めるなど、オラクルに買収されることへの抵抗感もあるようです。
署名した人の内訳を見ると、約半数が欧州関係からです。考えてみれば、もともとMySQLはスウェーデンの企業でした。買収への抵抗感がほかの地域に比べて強いのも、無理ないのかもしれませんね。
そして2010年1月21日、オラクルはサン買収を欧州委員会が承認したと発表しました。今後はロシアと中国の承認待ちとなるそうです。もう少し時間がかかるかもしれませんが、近いうちには結論が出ることでしょう。
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アプライアンスにOSSにXML、激動の2009年を振り返る | |
Page 1 商用RDBMSは性能で勝負、器用さより力強さ Enterprise Managerとインメモリ・データベース製品の新版登場 オラクルのサン買収でMySQLはどうなるの? |
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Page 2 オープンソースは着々と開発中 XML DBに新顔登場組み込み向け「MISSION」 2010年はNoSQLがブレイクするか? |
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