SQL Server 2005 CTPレビュー(CIO編) Page 1/3
HA、BI、64bitは
SQL Server 2005の殺し文句
株式会社システムインテグレータ
石橋 潤一
2005/11/2
本連載は全3回にわたり、2005年11月にリリースされるSQL Server 2005のレビューをお届けする。5年ぶりとなるメジャーバージョンアップであり、搭載される新機能は多岐にわたるが、ここでは「開発者」「データベース管理者」「エンドユーザー企業のITマネージャ」という3者の立場から、導入に当たってどんなメリットや注意点があるかを解説していく。(編集部)
主な内容 --Page 1--
各エディションと価格--Page 2--
パフォーマンスとスケーラビリティセキュリティ --Page 3--
データの活用と分析まとめ |
「開発者編」「DBA編」と2回にわたってお送りしてきたSQL Server 2005 CTPレビューの最終回となる本記事では「CIO編」をお送りします。
これまでの2回では、SQL CLRによる開発生産性の向上や、管理ツールなどの利便性向上といった話題を取り上げてきましたが、これらの視点は主にデータベースを開発・管理する人間の目線でした。
では、CIOやCTOといったエンドユーザー企業のITマネージャはどのような点をデータベースに対して求めているでしょうか。簡単にいうならば
安定していて
安全で
安くて
速くて
とにかく手間のかからないデータベース
というところでしょうか。
なんとも身もふたもない世知辛い感じですが、限られた予算の中で最大の結果を得る必要のあるユーザーにとっては当然のことともいえます。OracleだろうがSQL ServerだろうがDB2だろうが、ユーザーにとってはデータベースはあくまで目的を達成するためのツールでしかなく、どれでもいいからとにかく目的を達成できる製品を、ということでしょう。では果たしてSQL Server 2005はどのような利点をユーザーに与えることができるでしょうか。今回はそのような視点でSQL Server 2005を見てみましょう。
本記事は執筆時点(2005年8月)に入手可能な最新プレビュー版「SQL Server June 2005 CTP(Community Technology Preview)日本語版」に基づいて執筆しています。記事の内容は製品版とは異なる部分もあることを明記しておきます。 |
SQL Server 2005では、これまでのSQL Server 2000と同様に、機能などの違いによるエディション別の製品提供が行われます。SQL Server 2005では4つのエディションが提供され、小さな部門レベルから大規模基幹システムまでユーザーはその利用形態に合わせて選択が可能となります。マイクロソフト社ではCTP版の提供と合わせ、各エディションの価格発表を行っています(2005年9月16日のプレスリリース)。
エディション | 価格 |
Enterprise Edition (大規模システム向け) |
プロセッサライセンス:290万8800円 |
サーバーライセンス(25クライアント アクセス ライセンスを追加した場合):152万7500円 | |
Standard Edition (中規模システム向け) |
プロセッサライセンス:69万8000円 |
サーバーライセンス(5クライアント アクセス ライセンスを追加した場合):20万6600円 | |
Workgroup Edition (小規模システム向け) |
プロセッサライセンス:45万100円 |
サーバーライセンス(5クライアント アクセス ライセンス付き):8万8700円 | |
Express Edition (製品への組み込み、 教育用途向け) |
プロセッサライセンス:無償 |
サーバーライセンス:無償 | |
表1 SQL Server 2005各エディションの価格(いずれもSelect A Level、販売推定小売価格) |
エディション | 特徴 |
Enterprise Edition (大規模システム向け) |
SQL Server 2005に加わる新機能をすべて搭載した最上位エディション。64bitエディションでは最大128CPU、512Gbytesメモリに対応するなど、高可用性の求められる大規模システムに適したデータマネジメント・分析プラットフォーム。 |
Standard Edition (中規模システム向け) |
SQL Server 2000のStandard Editionでは不可能だったクラスタリングやログ配布、64bit CPU対応などを可能とし、さらにデータベースミラーリングも可能。中規模システムであっても可用性を維持できるデータマネジメント・分析プラットフォーム。 |
Workgroup Edition (小規模システム向け) |
導入の容易な小規模システムに適したデータマネジメントプラットフォーム。CPUが2つまで、メモリも3Gbytesまでとなるが、SQL Server 2000 Workgroup Editionでは搭載されなかったログ配布やレポートビルダといった機能を搭載している。 |
Express Edition (製品への組み込み、 教育用途向け) |
これまでMSDE(Microsoft Desktop Engine)として提供されてきた無償のデータベースエンジン。小規模製品への組み込みや開発者の学習などに利用できる。また、これまでのMSDEでは提供されなかった管理ツールやレポート サーバーなどが提供され、MSDEに比べ大幅に制限が緩和されている。 |
表2 SQL Server 2005各エディションの特徴 |
さて、ここで注目すべきはStandard Editionのデータベースミラーリング対応です(詳細は「DBA編」を参照)。SQL Server 2000ではクラスタリングなどを利用した高可用性を求める場合はEnterprise Editionを選択する必要がありましたが、データベースミラーリングがStandard Editionに搭載されることによって、より安価に可用性の高いシステム構築を行うことが可能となります。また、マイクロソフト社では待機サーバに対して課金は行わない、としています。つまり、データベースミラーリングにおける待機系サーバと監視系サーバについては、ライセンス料が発生しないため、データベースミラーリングの導入ハードルはより低いといえます。
また、SQL Server 2000と同様に、ビジネスインテリジェンス(BI)機能が製品に標準で付属するため、別途BIツールを購入する必要がないという点も大きな強みといえるでしょう。(次ページへ続く)
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連載:SQL Server 2005 CTPレビュー(CIO編) HA、BI、64bitはSQL Server 2005の殺し文句 |
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Page 1 ・各エディションと価格 |
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Page 2 ・パフォーマンスとスケーラビリティ ・セキュリティ |
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Page 3 ・データの活用と分析 ・まとめ |
SQL Server 2005 CTPレビュー |
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