連載:〜ScottGu氏のブログより〜Visual Studio 2010および.NET 4がリリースScott Guthrie 著/Chica 訳2010/04/19 |
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最終リリース版のVisual Studio 2010および.NET 4が利用可能になりました。
いまダウンロードしてインストールできます
MSDNサブスクライバー、またはWebsiteSpark/BizSpark/DreamSparkのメンバーは、最終リリース版のVisual Studio 2010およびTFS 2010をMSDNサブスクライバー・ダウンロード・センターからダウンロードできます。
もしMSDNサブスクライバーでなければ、Visual Studio 2010の無償90日間トライアル版をダウンロードできます。
もしくは、Visual Web Developer 2010、Visual Basic 2010、Visual C# 2010、Visual C++の無償のVisual Studio Express版もダウンロードできます。これらのExpress版は完全に無償です(期限切れもありません)。もし、Web開発のために、新しいマシンの簡単なセットアップ方法をお探しなら、ASP.NET 4、ASP.NET MVC 2、IIS、SQL Server Express、Visual Web Developer 2010 ExpressをMicrosoft Web Platform Installerで、非常に簡単に自動でインストールできます(ページ上のインストール・ボタンを押すだけです)。
VS 2010&.NET 4で新しくなったこと
今回のリリースは重要で、非常に多くの新機能や特徴が含まれています。
このリリースで特に焦点を置いたことの1つは、既存のアプリケーション、プロジェクト、開発体験をより良くすることに最も精力を注ぐということでした。これはつまり、このリリースを利用するために、1000ページ以上の本を読んだり、新しい主要な概念を学ぶために時間を費やしたりする必要がないということです。文字通り、(大小含め)何千もの改善点がありますが、それらを使用するために巨大な新しい概念を習得しなくても、より生産的に目的を達成できます。
以下はこのリリースにおける、いくつかの改善点の小さな例です。
■Visual Studio 2010 IDE
Visual Studio 2010は、マルチ・モニタをサポート(スクリーンの広さをよりうまく利用可能)しています。新しいコードIntelliSenseをサポートし、これによりクラスおよびメソッドをより簡単に検索・使用できます。コードベースの検索およびコードの呼び出しや使用方法を確認するためのコード・ナビゲーションのサポートを改善しています。新しいコードの視覚化をサポートしており、これによりプロジェクトおよびプロジェクト内のクラスの関係性が確認でき、また自動的に実行フローをチャート化する一連のダイアグラムも生成できます。
エディタでは、HTMLおよびJavaScriptスニペットのサポート、そして改善されたJavaScriptのIntelliSenseをサポートしています。VS 2010のデバッガおよびプロファイリングのサポートは、いまや以前よりもっともっとリッチになっており、IntelliTrace(またの名をデバッグ履歴)、クラッシュ/ダンプ・ファイルのデバッグ、改善された並列デバッグなどの新機能が可能になりました。VS 2010のマルチターゲットのサポートはよりリッチになり、.NET 2.0、.NET 3.0、.NET 3.5、.NET 4のアプリケーションをターゲットにしてVS 2010を使用できます。不評だった参照の追加ダイアログは以前より速くロードします。
TFS 2010は簡単にセットアップでき(そのサーバを10分以内にインストールできます)、優れたソース管理、バグ/作業項目のトラッキング、継続的インテグレーションのサポートを可能にします。テストのサポート(自動、手動の両方)が以前に比べもっともっとリッチになっています。VS 2010 PremiumおよびUltimateでは、より優れたアーキテクチャおよびデザインのためのツールのサポートを提供します。
■VBおよびC#言語の機能
VS 2010のVBおよびC#で、両方ともに多くの新機能や特徴が含まれています。VBでは、自動プロパティ、コレクション初期化子、暗黙の行継続サポートのサポートをそのほか多くの機能に追加しました。C#では、オプション・パラメータと名前付き引数、新しいdynamicキーワード、共変性と反変性(co-varianceand contra-variance)、そのほか多くの機能に対してサポートを追加しました。
■ASP.NET 4 およびASP.NET MVC 2
ASP.NET 4においては、Webフォームのコントロールが、クリーンで、文法上正しい、CSSフレンドリなHTMLタグを描画します。ビルトインのURLルーティング機能により、クリーンで、検索エンジンにフレンドリなURLを公開でき、Webサイトへのトラフィックを増加させます。アプリケーション内のViewStateは、より簡単に管理でき、サイズも小さくできます。サーバ・コントロールにより描画されるクライアントIDが管理可能になりました。ASP.NET Dynamic Dataのサポートが改善されました。リッチなチャート、データ・コントロールを含む、より多くのコントロールがASP.NET 4にビルトインされ、さらに速くアプリケーションが構築できます。新しい開始プロジェクト・テンプレートにより、新しいプロジェクト作成がより簡単になりました。SEO改善により、公開されているサイトへのトラフィックを簡単に導けるようになりました。web.configファイルはクリーンでシンプルになりました。
ASP.NET MVC 2は、VS 2010&ASP.NET 4にビルトインされており、パターンに基づいたモデル−ビュー−コントローラを使用して、Webサイトやアプリケーションを構築する素晴らしい方法を提供します。ASP.NET MVC 2には機能が追加され、簡単なクライアント・サーバの検証ロジックを可能にし、新しい強く型付けされたHTMLおよびUI-スキャフォールディング・ヘルパー・メソッドを提供します。また、よりモジュール化/再利用化しやすいアプリケーションを可能にします。ASP.NETの新しい<%: %>構文はHTMLエンコードによる出力をより簡単にします。Visual Studio 2010には単体テストやTDDに対するより優れたツールのサポートも含まれています。特に、VS 2010内で“Consume first IntelliSense*1”および“使用方法から生成”のサポートにより、単体テストをまず書いて、その後そこから実装に導くことが容易になりました。
*1 【編集部注】定義が存在しない状態でIntelliSenseを利用できる機能。 |
ASP.NETアプリケーションの配置が、このリリースで非常に簡単になりました。Visual Studio自体からWebサイトやアプリケーションをステージングや本番のサーバへ発行できます。Visual Studio 2010で、すべてのファイル、コード、構成、データベースのスキーマ、データを1つの完全なパッケージにして簡単に転送できます。またVS 2010では、デバッグ、リリース、ステージング、本番のモードに応じて、それぞれのweb.config構成ファイルの設定を簡単に管理できます。
■WPF 4とSilverlight 4
WPF 4には、より多くのビルトインされたコントロール、よりリッチなグラフィック機能(キャッシュ・コンポジション、Pixel Shader 3のサポート、LayoutRounding、アニメーションのイージング関数)、より改善されたテキスト・スタック(はっきりしたテキストの描画、独自の辞書のサポート、選択とキャレット・ブラシのオプション)を含む、多くの改善点と新機能が含まれています。WPF 4にはマルチタッチやWindows 7シェル・インテグレーションを含む、新しいWindows 7の機能を利用できる多くのサポートも含まれています。
Silverlight 4も今週出荷です*2。火曜日(4月13日)午前8時(太平洋時間)には私のSilverlight 4の出荷基調講演のストリーミング・ライブが見られます。Silverlight 4には、優れたビジネス・アプリケーションやブラウザ外実行アプリケーションを構築するための多くの新機能が含まれています。今週後半(Webでライブされた後)に別のブログ投稿で、その機能について、もっと説明する予定です。
*2 【編集部注】Silverlight 4の正式版は2010/04/16にリリースされています。 |
Visual Studio 2010には、WPFとSilverlight両方に対して、優れたツールのサポートが含まれています。新しいVS 2010 WPFおよびSilverlightデザイナでは、クライアント・アプリケーションおよび優れた業務ソリューションをより簡単に構築でき、データとの統合およびバインドも簡単です。最終リリース版のVisual Studio 2010でのSilverlight 4に対するツールのサポートは、Silverlight 4が今週Web上でリリースされたときに利用可能になります。
■SharePointとAzure
Visual Studio 2010にはSharePointアプリケーション構築のビルトイン・サポートが含まれています。Visual Studio 2010内で直接、SharePointアプリケーションの作成、編集、構築、デバッグができます。またTFS 2010でもSharePointを利用できます。
AzureがホストするアプリケーションへのサポートもVS 2010に含まれており、ASP.NETとWCFベースのアプリケーションの構築、およびクラウド内でそれらのホストが可能です。
■データ・アクセス
.NET 4でデータ・アクセスは多くの改善がされています。Entity Framework 4には、モデル・ファーストやPOCO開発、遅延ローディングのデフォルト・サポート、VS 2010デザイナ内でのテーブル/プロパティ名の複数化/単数化へのビルトイン・サポート、すべてのLINQ演算子の完全サポート、モデル・オブジェクト上の外部キーをオプションで公開する機能(ステートレスなWebシナリオに便利)、N層でステートレスなWebシナリオをよりうまく処理するための切断状態でのAPIサポート、VS 2010内でのT4テンプレートのカスタマイズ・サポートを含む、多くの新機能や特徴が含まれており、データ・デザイナでコードの生成方法をカスタマイズおよび自動化が可能です。
Entity Frameworkでの改善点のほかに、.NET 4のLINQ to SQLにも多くの素晴らしい改善点が含まれています。
■WCFおよびWorkflow
WCFには多くのより優れたREST、アクティベーション、構成のサポートを含め、素晴らしい新機能が含まれています。WCF Data Services(前Astoria)およびWCF RIA Servicesもリモート・クライアントからデータを簡単に公開したり処理したりすることが可能です。
Windows Workflowはより速くなり、フローチャートのサービスを含め、以前に比べより簡単に独自のサービスを作成できるようになりました。詳細についてはここから確認できます。
■CLRおよびコア.NETライブラリの改善点
.NET 4には新しいCLR 4エンジンが含まれており、それには多くの優れたパフォーマンスや機能の改善点が含まれています。CLR 4エンジンは、ほかの古いCLRとインプロセス・サイドバイサイドで起動します。それにより、同じプロセス内で異なる2つのバージョンの.NETが使用できます。またそれには、改善されたCOM interopサポートも含まれています。
.NET 4のベース・クラスライブラリ(BCL)には、優れた追加および改良が多く含まれています。特に、.NET 4 BCLは新しい並列プログラミング・サポートが含まれており、コンピュータ上の複数のCPUおよびコアを利用するアプリケーションを簡単に構築できます。これは、新しいVS 2010の並列デバッガ(より簡単に並列アプリケーションのデバッグが可能)、やVS 2010 IDEに含まれている新しいF#関数言語サポートとうまくぴったりと合っています。.NET 4はまた、動的言語ランタイム(DLR)ライブラリをビルトインで持っており、これにより.NETで動的言語機能を簡単に利用できます。リッチな拡張を可能にする非常に素晴らしいライブラリであるMEFも、.NET 4にビルトインされ、ベース・クラスライブラリに含まれています。
■.NET 4クライアント・プロファイル
.NET 4再配布のダウンロード・サイズは、以前に比べはるかに小さくなっています(x86用の完全な.NET 4パッケージは約36MBytesです)。また、.NET 4クライアント・プロファイル・パッケージもあり、これには完全な.NETの純粋なサブセットで、クライアント・アプリケーションのインストールを合理化できます。
■Visual C++
VS 2010には、C++開発用の多くの優れた改善点が含まれています。これには、より優れたC++ IntelliSenseのサポート、プロジェクトに対するMSBuildサポート、改善された並列デバッグおよびプロファイラのサポート、MFCの改善、多くの言語機能およびコンパイラの最適化が含まれています。
私のVS 2010&.NET 4ブログ・シリーズ
ブログ・シリーズ上で、過去数カ月間、多くの新しいVS 2010&.NET 4の改善点に焦点を当ててきました。いいニュースは、すでに20の徹底した投稿を書いていることです。悪いニュース(私にとって)は、完了するまでに、まだ約200以上もあることです。なるべく今後数カ月間で毎週いくつか追加していき、新しい改善点とそれらの最善の利用法をお伝えしていく予定です。
以下はいま確認していただける、すでに書いてあるものの一覧です。
- クリーンなWeb.Configファイル
- スターター・プロジェクト・テンプレート
- マルチターゲット
- マルチモニタのサポート
- 新しいコード中心のWebプロファイル・オプション
- ASP.NET、HTML、JavaScriptのスニペット・サポート
- オートスタートするASP.NETアプリケーション
- ASP.NET 4 WebフォームでURLルーティング
- VS 2010におけるコードの検索とナビゲーション
- VS 2010のコードIntelliSenseの改善
- WPF 4
- [参照の追加]ダイアログの改善
- ASP.NET 4でのSEOの改善
- ASP.NET 4の拡張可能な出力キャッシュ
- ASP.NET 4とWindowsフォーム用のビルトインのチャート・コントロール
- よりクリーンなASP.NET 4のHTMLタグ − クライアントID
- C# 4のオプション・パラメータと名前付き引数(そしてASP.NET MVC 2とのクールなシナリオ
- VB 2010の自動プロパティ、コレクション初期化子、暗黙の行継続サポート
- ASP.NET 4(そして、ASP.NET MVC 2)におけるHTMLエンコーディング出力用の新しい<%: %>構文
- VS 2010でのJavaScript IntelliSenseの改善
もっと投稿していくので私のブログにご注目ください。また、このページもチェックしてください。ここには、ほかの人の多くの素晴らしい記事やビデオがリンクされています。
VS 2010インストール・ノート
もし以前のVS 2010をマシン上にインストールしている場合(もしくはベータまたはRC)、最終VS 2010リリース版をインストールする前に、それをまずアンインストールしなければいけません。私は.NET 4ベータ(クライアントおよびフル.NET 4インストールの両方を含む)、およびVS 2010でインストールされるそのほかのもの(すなわち、ASP.NET MVC 2プレビュー・ビルドなど)のアンインストールもお勧めします。ベータ/RCのアンインストールは、マシン上のすべての古い状態をきれいにするので、その後、最終のVS 2010バージョンをインストールすれば、すべてが正しく動くはずです(これは私がすべての私のマシン上で行ったことで、これまで問題は出ていません)。
VS 2010&.NET 4のインストールで、マシンへ新しいマネージ・アセンブリが数多く追加されます。これらの中のいくつかは実際のインストール・プロセス中に、ネイティブ・コードへ“NGEN”されます(それらの実行が速まります)。ですが、VSのセットアップに時間を多く費やさないように、すべてのアセンブリをすぐにNGENせず、その代わりにマシンがアイドルのときにバックグラウンドで残りをNGENします。それらのアセンブリのNGENが終了するまでは、それらが初めてプロセスで使用されるときにネイティブ・コードにJITされます。このため、大きなアセンブリでは、ときどきパフォーマンスが悪くなる可能性があります。
これに遭遇した場合は、Windowsのスタート・メニュー(Microsoft Visual Studio 2010->Visual Studio Tools->Visual Studio コマンド プロンプト)からVisual Studioコマンドライン・プロンプトを起動すれば、手動で強制的にすべてのアセンブリをネイティブ・コードに(マシンがアイドルになるのを待つのではなく)すぐNEGNできます。コマンドプロンプトに“Ngen executequeueditems”と入力すると、すべてがすぐにNGENされます。
Visual Studio 2010の購入方法
Visual Web Developer 2010、Visual Basic 2010、Visual C# 2010、Visual C++の無償Visual Studio Express版をダウンロードして利用できます。これらのExpress版は完全に無償で利用可能です(期限切れしません)。
$799でMSDN Essentialsの1年間サブスクリプションが含まれたVS 2010 Professionalの新しいコピーの購入ができます。MSDN Essentialsには、Windows 7 Ultimate、Windows Server 2008 R2 Enterprise、SQL Server 2008 DataCenter R2、20時間のAzureホスティングの開発者ライセンスが含まれています。サブスクライバーはまた、MSDNのオンライン・コンシェルジュ、MSDNフォーラムでのプライオリティ・サポートにもアクセスできます。
以前のVisual Studioリリースからのアップグレード価格もあります。既存のVisual Studio 2005/2008 Standardのお客様はVisual Studio 2010 Professionalへ特別に$299小売価格で10月までアップグレードできます。このVS StandardからProfessionalへのアップグレード・プロモーションはここから利用できます。
業務としてアプリケーションを構築しているWeb開発者、また個人の開発者、また10人以下の従業員の会社の方も、オプションとしてMicrosoft WebSiteSparkプログラムを利用できます。このプログラムは、Visual Studio 2010 Professionalを3つ、Expression Studioを1つ、Windows 2008 R2 Web ServerとSQL 2008 Web Editionの4 CPUライセンスを提供し、3年間無償でアプリケーションの開発および配置に使用できます。3年間が終了しても何の義務も発生しません。WebSiteSparkへのサインアップには5分もかからず、すぐに製品のダウンロードへアクセスできます。
まとめ
今回のリリースは重要で、ほぼすべての開発者に多くの改善点をもたらします。開発プロセスを通して、フィードバック、提案、バグ報告を提供していただいたすべての方にお礼を申し上げます。皆さんなしでは製品の提供には至りませんでした。
Hope this helps,
Scott
P.S. ブログに加え、現在Twitterを使って簡単な更新やリンク共有を行っています。twitter.com/scottguで、私をフォローしてください。
「〜ScottGu氏のブログより〜」 |
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