WebLogicサーバ最新版「12c」の
気になる4つの特徴


WebLogicはクラウドの基盤となるか

有限会社オングス
後藤 大地
2012/1/31


WebLogicが久々のメジャーアップグレード

 日本オラクルは2012年1月25日、アプリケーションサーバの最新版となる「Oracle WebLogic Server 12c」(以下、WebLogic 12c)の国内提供を2月7日から開始すると発表した。WebLogic 12cはJava EE 6に完全準拠した最新のアプリケーションサーバで、オラクルのポートフォリオにおいてアプリケーションサーバとして重要なポジションにあるプロダクトだ。

 WebLogic 12cの「12」はバージョン番号を意味しており、「c」はクラウドを意味している。アプリケーションサーバ単体としての利用からクラウドプラットフォームを支える基盤としての機能まで、高いスケーラビリティと可用性を実現したことを示す「c」というわけだ。「200を超える」という新機能を実現しているほか、久々のメジャーアップグレードとあって注目を浴びているようだ。

 今回、オラクルでクラウドやアプリケーションサーバインフラを担当するマイク・リーマン(Michael Lehmann)氏(以下、リーマン氏)に、特にWebLogic 12cの興味深い点を4つ掘り下げて説明してもらった。

米オラクル 製品管理担当シニアディレクター マイク・リーマン(Michael Lehmann)氏

【1】インストーラはZIP展開でバイナリサイズ削減

 WebLogic 12cは以前のバージョンと比較して配布物そのもののバイナリサイズの削減が実現されている。例えば、ZIPで圧縮した状態で、11gでは318Mbytesあった配布物が、12cでは168Mbytesまで縮小されている。11gのフルディストリビューションが1Gbytesほどあることを考えると、大幅な削減が実現されていることになる。

 また、インストールにおいてインストーラが不要になったという点も注目に値する。ZIPファイルを展開すれば、それでインストールが完了する。Windows版、Mac OS X版、Linux版のすべてで同様とされている。配布物のサイズ削減とZIP展開のみでのインストールは、開発者がより簡単に利用できるようにすることで採用されるシーンを増やす狙いがある。ファイルサイズが小さく、そしてZIP展開するだけでインストールが完了する手軽さがあれば、従来よりも多くの開発者に扱ってもらえるだろうということだ。

「ファイルサイズの削減はWebLogic 12cにおけるアーキテクチャの変更の効果もあるが、デプロイに必要になる最小限のコンポーネントのみを同梱し、ほかの機能はプラグインとして提供する方法に変更したことが効果を発揮している。不要なコンポーネントや機能をインストールする必要がなく、運用の面でも軽量な状態を保つことができる」(リーマン氏)

【2】ほかのアプリケーションサーバからの移行サービス

 WebLogic 12cは以前のバージョンからのアップグレードや、ほかのアプリケーションサーバからの移行が簡単に実施できるバージョンとしても興味深い。まず、1つ前のバージョンであるWebLogic 11gからは単純なアップグレード作業でバージョンアップが可能。

 さらに、オープンソースのアプリケーションサーバ「GlassFish」で動作しているアプリケーションに関しては、WebアプリケーションアーカイブをそのままWebLogic 12cにデプロイすることで利用可能とされており、「GlassFishからWebLogic 12cへの移行は簡単に実現できるようになっている」(リーマン氏)という。

 オラクルではないベンダが開発しているアプリケーションサーバ、例えばレッドハットの「JBoss」やアイ・ビー・エムの「WebSphere」を採用している場合でも、コンサルティングサービスの一環としてWebLogic 12cへの移行サービスが提供されており、状況に応じて対応が可能となっている。

【3】Java EE 6 Full ProfileとJava SE 7に対応

 WebLogic 12cはJava EE 6 Full Profileに対応している。「Java EE 6におけるさまざまな改善や最新技術の導入で開発生産性が向上しており、従来のバージョンと比較して開発に必要となるコーディング量、クラス数、XMLファイル量が削減されている」(リーマン氏)という特徴がある。

 Java SE 7にも対応しており、最新のJavaプログラミング技術や機能に対応している点もポイントとなる。発表時点で、すでにEclipseNetBeansなどの統合開発環境はWebLogic 12cに対応しており、今後短い期間でOracle JDeveloperIntelliJ IDEAもWebLogic 12cに対応する見通し。根強いユーザーを持つIntelliJ IDEAは「通常通りの対応であれば、6〜12週間以内に対応版を提供する」(リーマン氏)ことになる。

 なお、Java SE 7対応がうたわれているが、当然ながら従来のJava SE 6も引き続きサポートされている。

【4】オンプレミスからクラウドまでカバー

 WebLogic 12cは「企業システムにオンプレミスでデプロイするアプリケーションサーバ」としての用途から、「ミッション・クリティカルシステムにおけるプラットフォーム」として、または「プライベートクラウド/パブリッククラウドにおけるプラットフォーム」としてまで使えるアプリケーションサーバに仕上がっているという。

「高いスケーラビリティや可用性は、オラクルのほかのソフトウェアポートフォリオやハードウェアプロダクトと連携することで堅実に実現されており、単一のソリューションでは実現できないレベルの性能を提供している」(リーマン氏)

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著者プロフィール



後藤 大地

オングス代表取締役。@ITへの寄稿、MYCOMジャーナルにおけるニュース執筆のほか、アプリケーション開発やシステム構築、『改訂第二版 FreeBSDビギナーズバイブル』『D言語パーフェクトガイド』『UNIX本格マスター 基礎編〜Linux&FreeBSDを使いこなすための第一歩〜』など著書多数。

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