Eclipse、NetBeansに並ぶJavaの統合開発環境(IDE)である「IntelliJ IDEA」のオープンソース化が2009年10月15日に発表されました(参考:高機能IDEのIntelliJ IDEAがOSS版提供へ)。
IntelliJ IDEAは、デフォルトでSubversionやGit、Mavenをサポートし、コードチェッカーを同梱するなどの点でEclipseより優れています。今回は、IntelliJ IDEA 9のオープンソース版であるCommunity Editionを紹介します。
IntelliJ IDEAは、チェコのJetBrains社により開発されるJavaの統合開発環境です。IntelliJ IDEAはメッセージの日本語化がされていないため、日本ではマイナーな統合開発環境ですが、米では、グーグルの社員など、コアな開発者の間で愛用されています(参考:Google Labsさん、Ajaxライブラリ標準化はありますか?)。
このIntelliJ IDEAが2009年10月15日にオープンソース化が発表されました。これを機に、バージョン9からオープンソースのコードをベースに提供されるCommunity Editionと、Community Editionに付加機能を加えた有償のUltimate Editionのエディションを提供されます。
IntelliJ IDEAはApache Software Licenceで提供されます。EclipseのEPL(Eclipse Public License)やNetBeansのCDCL(Common Development and Distribution License)に比べ、制限が緩いライセンスであり、コードに改良を加えてプロダクトを開発した場合、変更したコードを公開する必要はありません。
EclipseやNetBeansはツールに追加するプラグインのコードを公開する必要はありませんが、本体に変更を加えた部分はその部分を公開する必要があります。一方で、IntelliJ IDEAは本体の変更さえも公開する必要はありません。ベンダがコードをフォークして独自の付加価値を加えたプロダクトを提供しやすくなります。
IntelliJ IDEAは、ファイルを保存したタイミングですべての履歴を保持しています。これにより、SubversionやGitといった、バージョン管理ソフトを利用しなくても、誤った編集を任意のバージョンに戻せます。Eclipseでも、削除したファイルの復元はできますが、Eclipseの機能と比べると非常に強力です。
IntelliJ IDEAは、標準でSubversionとGitをサポートしています。EclipseでもプラグインによりSubversionやGitのサポートを追加できますが、プラグインのインストールの手間なく最初からCVS以外のバージョン管理システムを利用できるのは、便利です。
なお、オープンソース化されたIntelliJ IDEA自身はGitのリポジトリ上で開発されています。詳細は「Check Out & Build Community Edition」をご覧ください。
Intellij IDEAは、標準でMavenに対応しています。Mavenによるビルドや、POMファイルの誤りなどを検出する機能があります。ただし、Eclipseのプラグインにあるようなリポジトリ内のライブラリやプラグインを検索する機能はありません。
次ページでは、引き続き残りの4つの特徴を紹介し、日本語環境での利用のコツを解説します。
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