ゼロ円でできる仮想化
VMware Serverのインストールから管理まで


無償で提供されている仮想化ソフトウェア「VMware Server」は、SOHOや小企業でのサーバ集約やレガシー環境の保全に適している。そのインストールから仮想マシンの構築、管理方法までを解説する。(編集局)

北浦訓行
2008/3/27

サーバ集約だけじゃないVMware Serverのメリット

 「VMware Server」(http://www.vmware.com/products/server/)は、米国ヴイエムウェア社が無償で提供している仮想化ソフトウェアです。ヴイエムウェアの無償ソフトとしては「VMware Player」がよく知られていますが、VMware Serverには、以下のような特徴があります。

  • 仮想化エンジンと管理画面が分離している
  • 仮想マシンの作成機能がある
  • 仮想マシンのハードウェア構成を変更できる
  • 仮想マシンのスナップショットを保存できる(1世代のみ)

 VMware Serverの用途は、SOHOや小企業のサーバ集約や開発環境の提供などが想定されます。サーバ仮想化のメリットとして、物理的なマシン環境を集約してコストを削減することができるとか、バックアップ作業が簡単である、ハードウェア障害からの復旧が早いなどが挙げられますが、個人事業主やSOHOにとって最大のメリットはレガシー環境の保全ではないでしょうか。

 例えば、古い周辺機器の場合、Windows Vista対応のドライバなどが供給されないことがあります。そのような場合でも、仮想環境に古いWindowsをインストールしておけば、必要なときに古い周辺機器を使用することができます。

 また、開発が終了したフリーソフトやメンテナンスされなくなったソフトウェアを使用する場合も、レガシーな環境が必要となります。実際に、筆者はFreeBSD 4.7上で開発されたオープンソースソフトウェアを使用するために、仮想環境を利用しています。

VMware Serverの入手とインストール

 VMware Serverはヴイエムウェア社のWebサイトからダウンロードできます。日本語のサイト(http://www.vmware.com/jp/products/server/)からダウンロードする場合はユーザー登録が必要です。英語のサイト(http://www.vmware.com/products/server/)ではその必要はありません。また、最新版が公開されるのは英語ページの方が早いようです。

 VMware Serverのダウンロードページには、Linux用として3種類のバイナリがあります。

  VMware Server for Linux
    VMware Server本体(必須)
 
  Management Interface
    WebブラウザからVMware Serverを管理するためのソフトウェア。マニュアルでは「VMware管理インターフェイス」と記されている
 
  VMware Server Linux client package
    仮想マシンを作成・管理するための画面。Windows用のclient packageをインストールすれば、WindowsからVMware Serverを操作できる。マニュアルでは「VMware Serverコンソール」と記されている

 必要なプログラムをダウンロードしたら、VMware Serverのシリアルナンバーを入手します。ダウンロードページ(http://www.vmware.com/download/server/)にある[register for your free serial number(s).]のリンクをクリックして、必要事項を入力してください。[Submit]ボタンをクリックすると、シリアルナンバーが表示されます。このシリアルナンバーは、VMware Serverをインストールする際に必要になります。

【注意】
VMware Serverは、ほかのVMware製品(VMware Player、VMware Workstation、VMware ACEなど)がインストールされている環境にはインストールできません。また、インストールする際には、開発環境とカーネルヘッダ(Red Hat系のディストリビューションではkernel-devel)が必要です。

 VMware Server本体は、rpmパッケージおよびtarボールで供給されています。インストール方法は、以下のとおりです。

・rpmパッケージの場合

$ su
パスワード: ←rootのパスワードを入力
# rpm -ihv VMware-mui-1.0.5-80187.i386.rpm

・tarボールの場合

$ tar zxf VMware-mui-1.0.5-80187.tar.gz
$ cd vmware-server-distrib
$ su
パスワード: ←rootのパスワードを入力
# ./vmware-install.pl

 インストールが完了したら、設定プログラムを実行します。

# vmware-config.pl

 最初に英文の使用許諾契約書が表示されます。目を通したら「yes」と入力して[Enter]キーを押します。

 続いて、ライブラリなどの場所などを指定するメッセージが表示されます。原則としてそのまま[Enter]キーを押していけば問題ありませんが、場合によっては以下のように、使用ポートが変更される場合があります。そのときには、ポートの番号(下記では「904」)をメモしておいてください。

The default port : 902 is not free. We have selected a suitable alternative
port for VMware Server use. You may override this value now.
Remember to use this port when connecting to this server.
Please specify a port for remote console connections to use [904]

 最後に、シリアルナンバーの入力を求められます。指定の形式で、事前に入手したシリアルナンバーを入力してください。最終的に、「kernel completed successfully.」と表示されれば、VMware Serverのインストールは完了です。

Please enter your 20-character serial number.

Type XXXXX-XXXXX-XXXXX-XXXXX or 'Enter' to cancel:
      ←シリアルナンバーを入力

1/3

Index
ゼロ円でできる仮想化
 VMware Serverのインストールから管理まで
Page 1
 サーバ集約だけじゃない、VMware Serverのメリット
 VMware Serverの入手とインストール
  Page 2
 管理インターフェイスのインストール
 コラム インストール済みのVMware Serverをバージョンアップするには
 仮想マシンの作成とゲストOSのインストール
  Page 3
 アクセス権の設定
 コラム VMware Toolsのインストール
 仮想マシンの管理


 Linux Squareフォーラム 仮想化技術関連記事
連載:実践! Xenで実現するサーバ統合
有力な仮想化技術として注目を集めるようになった「Xen」。このXenを活用してサーバ統合を実践していく手順を具体的に紹介します
特集:サーバの仮想化技術とビジネス展開の可能性
jailからUML/VMwareまで
1台のマシンで複数のサーバを動かす「仮想化技術」。VMwareやUMLの登場により、WebサイトだけでなくOS自体を仮想化できるようになった
特集:仮想化技術のアプローチと実装
VMwareから要注目技術Xenまで

1台のサーバで複数の仮想マシンを実行する仮想化技術は、空間コストを引き下げる可能性を持つ。最新の仮想化技術を概観してみよう
特集:仮想OS「User Mode Linux」活用法
技術解説からカーネルカスタマイズまで
Linux上で仮想的なLinuxを動かすUMLの仕組みからインストール/管理方法やIPv6などに対応させるカーネル構築までを徹底解説
特集:仮想化技術の大本命「Xen」を使ってみよう
インストール & Debian環境構築編

高いパフォーマンスで本命の1つとなった仮想マシンモニタ「Xen」。日本語による情報が少ないXenを、実際に動かしてみよう
特集:仮想化技術の大本命「Xen」を使ってみよう
Xen対応カスタムカーネル構築編

Xen環境およびその上で動作する仮想マシン用カーネルを自分で構築しよう。これにより、自由にカスタマイズしたカーネルを利用できる
特集:IPv6、UML、セキュリティ機能の統合
全貌を現したLinuxカーネル2.6[第4章]

今回は、これまでに紹介し切れなかった機能を一気に紹介する。これを読めば、カーネル2.6の正式リリースが楽しみになるだろう
Linux Squareプロダクトレビュー VMware Workstation 4
PC/AT互換機エミュレータとして不動の地位を築いたVMware。その新バージョンがリリースされた。新機能を早速試してみよう
古くて新しい「サーバ仮想化技術」の行方
サーバ仮想化を実現するための技術がソフトウェア、ハードウェアの両面で出そろってきた。ハイパーバイザーのさらなる高速化に向けた動きを紹介する
Linux Squareフォーラム全記事インデックス


Linux & OSS フォーラム 新着記事
@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)

注目のテーマ

Linux & OSS 記事ランキング

本日 月間