連載:アニメーションで見るパケット君が住む町(2)
インターネット世界の運送の様子を動画で見よう
Roads to Node
2009/3/16
インターネット世界での運送方法と道路=「回線」の仕組みをイーサ配送君とスイッチ君の仕事を通じて見てみよう
2 インターネット世界の通信
連載第1回「パケット君が「情報」という商品を運ぶ町を探検しよう」では、「ホスト株式会社」「TCP/IP事業部」の商品受発注課で働く中堅社員のパケット君が住む町の全貌をつかんでいただきました。「荷物」という情報を運ぶための「物流の仕組み」を道路とトラックにフォーカスしてお伝えしていきます。
2-1 荷物を運ぶ仕組み
ビントサーフ市を含む、インターネット世界では何か「荷物」を運びたい場合、必ず小荷物運輸が使われます。運びたい「荷物」を小包の形にして、トラックや列車で運びます。トラックは「道路」で、列車は「線路」を使います。
ここで「ペイジ市」から「ブリン市」へ荷物を運ぶことを考えてみましょう。方法は2つあります。
- ペイジ市とブリン市を直接1本の線路でつなぎ、その線路を使って運ぶ
- ペイジ市とブリン市、ほかの市もつながっている「共有の道路」を使って運ぶ
方法(1)はシンプルで分かりやすいですよね。ですが、ペイジ市とブリン市と、さらにシュミット市があると、ペイジ‐ブリン、ブリン‐シュミット、シュミット‐ペイジの3本の線路が必要になります。もう1つ市が増えると……、というように考えていくと多くの市があると線路が大量に必要になってしまいます。
そこで、切り替えポイントを導入します。切り替えポイントを使うことにより、必要な線路の数を減らせますが、やはりこの欠点は残ってしまいます。
パケット君「この方法だと、荷物をやりとりする2つの市が道路を占有しちゃうんだよね」
図2-1 直接線路をつないだ運送方式(右下のボタンで再生・停止ができます。Flash Playerが必要です) |
「占有」と「多くの市でやりとりするには多くの線路が必要」というところがポイントです。
方法(2)は「切り替えポイント付き方式(1)」に似ていますが、ちょっと運送のルールを変更しています。
- 運びたい「もの」を小分けにして、小包にすることにより、1回の運送時間を減らす
- 小包にはそれぞれあて先などの必要な項目を付けることにより、共有の道路を使っても届け先がはっきり分かるようにする
- 小包集積所(ステーション)を配置し、道路が使われている間はそこで保管しておく
図2-2 共有道路を使った運送方式(右下のボタンで再生・停止ができます。Flash Playerが必要です) |
この方法ですと、道路を「占有しない」から、多くの市で相互にやりとりができるようになります。こちらの方が効率はいいですよね。
TCP課長「でも、占有できないから、ほかの小包が運ばれている間は待っている必要がある。そうなると、あて先まで届く時間にバラツキが出てしまう。このせいで送った順番であて先まで届かないなどの欠点があり、……」
UDP課長「話が長いんだねー」
確かに、TCP課長のいうような欠点は存在してしまいます。ですが、多くの市をつなぐことを考えるとこちらの方が圧倒的に効率的です。
パケット君「この世界の物流は、方法(2)で行われているんだよ」
(1)の方式は、あて先ごとに使う「線路(回線)」を切り替えるので、「回線交換方式」と呼ばれています。電話がこの方式で、切り替えポイント(交換機)を使っています。
一方の、(2)は小包(パケット:Packet)を使いますので、「パケット交換方式」と呼ばれます。もしくはステーション(パケット交換機)でパケットをためるため「蓄積交換方式」とも呼ばれます。インターネットを含む現在のネットワークは「パケット交換方式」が主流です。
ただし、パケット交換機とパケット交換機を結ぶ回線では「回線交換方式」が使われているところもあります。一部で回線交換方式が使われていても、「ネットワーク全体」ではパケットを使ったパケット交換方式です。
インターネット世界の運送方法 | |
2-1 荷物を運ぶ仕組み | |
2-2 道路の仕組み | |
2-3 ビントサーフ市の道路事情 | |
2-4 荷物に名前を付けよう |
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