連載:アニメーションで見るパケット君が住む町(2)
インターネット世界の運送の様子を動画で見よう
綱野衛二
Roads to Node
2009/3/16
2-3 ビントサーフ市の道路事情
ビントサーフ市内に焦点を当ててみましょう。
ビントサーフ市には、いくつかの会社があります。会社と道路は「通用門」でつながっていて、この通用門から荷物を積んだイーサトラックが出発します。
通用門からトラックが出発するまでを管理するのがイーサ配送君の役割なんですが……。
イーサ配送君「僕の仕事は割といっぱいあるので、また今度」
だそうです。
ちなみにステーションの場合、荷物を積んだ列車が出発するのは「プラットフォーム」になります。管理するのはPPP駅員君ですね。
さて、ビントサーフ市はそれほど珍しくない都市です。特別な道路などを使っていません。
会社から出た道路は、市内に何カ所かある「ジャンクション」につながっています。ジャンクションは会社から出た道路が集まっている場所です。
そしてジャンクションとジャンクションをつないで、市内の道路網を形成しています。これにより、「ホスト株式会社」から「株式会社ネームサービス」「Webサービス株式会社」へトラックにより荷物が届くことになります。
図2-4 ジャンクション(右下のボタンで再生・停止ができます。Flash Playerが必要です) |
ジャンクションには前回説明したとおりスイッチ君がいますが?
スイッチ君「いまのビントサーフ市のジャンクションには僕らがいるけど。昔はジャンクションには誰もいなかったりしたんだ」
いまのビントサーフ市のジャンクションはスイッチ君が交通整理を行います。ですが、以前はどうだったかというと。
ジャンクションがない時代は、中央に1本道路が通っていて、会社の通用口からその道路までつないでいました。この方式だと、ある会社がトラックを送り出すと、中央の道路が使われてしまうためほかの会社はトラックを送り出すことができませんでした。
ジャンクションができた後のしばらくは、スイッチ君のような交通整理をしてくれる人がいなかったため、ジャンクションは単なる道路が交差している場所でした。
そのため、交差点での事故を防ぐため、やはり同時にトラックを走らせてはいけないという状態です。
図2-5 スイッチ君登場以前のビントサーフ市(右下のボタンで再生・停止ができます。Flash Playerが必要です) |
いまはスイッチ君が交通整理をしてくれます。具体的には……。
スイッチ君「また、先の回でね」
ビントサーフ市内というのは、LAN(Local Area Network)を指します。LANは広義の意味ではある一定範囲内、部屋、フロア、ビルなどで作られたネットワークです。
その特徴としては、複数台のコンピュータが相互に接続できるマルチアクセス(Multiple Access)ネットワークであることが挙げられます。マルチアクセスネットワークとは、そのネットワークにあるコンピュータが任意の相手に対し、送信できるネットワークです。
現在のLANではイーサネット(Ethernet)と呼ばれる仕組みで動作しています。
イーサネットのもともとの仕組みは、中央に1本の基幹のケーブルが引かれており、各コンピュータはその基幹ケーブルに「トランシーバー」と呼ばれる機器により接続されていました。コンピュータから送信されたデータ、つまり電気信号は基幹ケーブルにつながっている全機器に流れます。このような形のLANを「バス(bus)型」と呼びます。
図2-6 基幹ケーブルで接続されたLAN・バス型(右下のボタンで再生・停止ができます。Flash Playerが必要です) |
その後、「ジャンクション」が登場します。これは「ハブ(Hub)」と呼ばれる装置です。1本の基幹ケーブルに「取り付ける」方式よりも、ハブを使った集線方式の方が手軽ですのでこちらが普及します。
ですが、ハブはデータの流れ的には基幹ケーブル方式と変わりはありません。コンピュータから送られた信号は、ハブに届くとハブにつながっている全機器に流れます。
図2-7 ハブを使ったLAN(右下のボタンで再生・停止ができます。Flash Playerが必要です) |
現在、ハブは「スイッチ君のいるジャンクション」、つまり「スイッチング(Switching)ハブ」と呼ばれる機器が使われています。通常のハブとは動作が大きく異なります。詳細は先の回で説明しますが、基本は図1-3のようなデータの流れになります。
会社と道路をつなぐ「通用口」は「インターフェイス(interface)」と呼ばれ、機器とネットワーク(で使われているケーブル)をつなぎます。LANでは「ネットワークインターフェイスカード(Network Interface Card:NIC)」と呼ばれます。簡単にいえば、パソコンのLANケーブルの差し込み口・制御基板です。
インターネット世界の運送方法 | |
2-1 荷物を運ぶ仕組み | |
2-2 道路の仕組み | |
2-3 ビントサーフ市の道路事情 | |
2-4 荷物に名前を付けよう |
関連記事 | |
ネットワーク・コマンド/ツール群の活用法を大紹介 連載 ネット・コマンドでトラブル解決 あなたのLANは健康ですか? 現状改善から一歩進んだ構築術まで 特集:基礎から学ぶネットワーク構築 レスポンスの悪いネットワークシステム どう検証し、解決していくか? 特集:ネットワークトラブルを解決する 運用管理に必須のツール/コマンド群 連載:24×365の運用管理 |
「Master of IP Network総合インデックス」 |
- 完全HTTPS化のメリットと極意を大規模Webサービス――ピクシブ、クックパッド、ヤフーの事例から探る (2017/7/13)
2017年6月21日、ピクシブのオフィスで、同社主催の「大規模HTTPS導入Night」が開催された。大規模Webサービスで完全HTTPS化を行うに当たっての技術的、および非技術的な悩みや成果をテーマに、ヤフー、クックパッド、ピクシブの3社が、それぞれの事例について語り合った - ソラコムは、あなたの気が付かないうちに、少しずつ「次」へ進んでいる (2017/7/6)
ソラコムは、「トランスポート技術への非依存」度を高めている。当初はIoT用格安SIMというイメージもあったが、徐々に脱皮しようとしている。パブリッククラウドと同様、付加サービスでユーザーをつかんでいるからだ - Cisco SystemsのIntent-based Networkingは、どうネットワークエンジニアの仕事を変えるか (2017/7/4)
Cisco Systemsは2017年6月、同社イベントCisco Live 2017で、「THE NETWORK. INTUITIVE.」あるいは「Intent-based Networking」といった言葉を使い、ネットワークの構築・運用、そしてネットワークエンジニアの仕事を変えていくと説明した。これはどういうことなのだろうか - ifconfig 〜(IP)ネットワーク環境の確認/設定を行う (2017/7/3)
ifconfigは、LinuxやmacOSなど、主にUNIX系OSで用いるネットワーク環境の状態確認、設定のためのコマンドだ。IPアドレスやサブネットマスク、ブロードキャストアドレスなどの基本的な設定ができる他、イーサネットフレームの最大転送サイズ(MTU)の変更や、VLAN疑似デバイスの作成も可能だ。
|
|