連載第8回
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実は前回がヤマでした |
相当に手ごわかったTCPに比べて、今回のIPは結構アッサリしています。前回取り上げた、Ethernetとの関係、IPアドレス、そしてルーティングが分かれば、IPの重要な仕組みの多くを理解したといってもいいくらいです。
でも、さすがにアレだけでまだIPの世界を説明できていないので、今回はもう少しIPの中に入り込んで仕組みを取り上げようと思います。決して難しい話ではありませんが、何せ目には見えない世界の話。少しだけ想像力を働かせて読み進めてみてください。読み終わるころには、EthernetとIP、IPとTCPとの関係が分かるようになると思います。
IPパケットは、IPを使って送りたいデータのほかに、それを送り届けるのに必要なさまざまな情報を付け加えた、ひとまとまりのデータ全体を指す名前です。その中には、例えば、データを送信する送信元コンピュータのIPアドレス、データを受け取るあて先コンピュータのIPアドレスなども含まれています。
IPを使って通信をするコンピュータや、その通信を中継するルータは、あらかじめ決められているIPパケットの形に従って送りたいデータや通信をコントロールするデータを並べて、それを1つのデータの塊としてネットワークに送り出します。
IPでデータを送り出すときは、通信相手との間で「これからデータを送ります」「受信準備が終わりました」といったやり取りをしません。データを送信したいコンピュータは、いきなりデータを送信します。そのため相手がまだ受信準備ができていない場合など、送ったデータがうまく受信されないことも起こり得ます。
普通に考えると、そんなに確実性のない通信は使い物にならなさそうですが、それをカバーするうまい方法があります。TCPと組み合わせて使うのです。すでに取り上げたようにTCPには通信誤りを上手にカバーして、確実な通信を実現する仕組みが組み込まれています。データを届ける仕組みはIPが受け持ち、確実な通信を行う仕組みはTCPが受け持つことで、たくさんのコンピュータとの間で、確実な通信を行うことができるようになります。
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「Master of IP Network総合インデックス」 |
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