【トレンド解説】ギネス認定ルータの出現でコア・ルータ業界に異変
次世代ルータ開発に向けて進む業界再編(前編)
鈴木淳也(Junya Suzuki)
2004/7/9
■突然発表された、シスコのプロケット買収
以上、紹介した4社と、ほかの小さな企業数社を交え、今後数年の戦いが展開されていくとみられていたコア・ルータ業界だが、ここへきて驚くべきニュースがシスコとプロケットの2社から発表された。シスコがプロケットを8900万ドルで買収するというのだ。
実は、プロケット買収の噂は数カ月前より業界内に流れており、その候補として挙がっていたのが米ファウンドリー・ネットワークスと、先のシスコの2社である。タイミング的にCRS-1の強化と製品ライン充実のための買収と考えられるが、今回はむしろプロケット救済の意味合いが強かったようである。投資家での評価が高いプロケットだったが、製品発表後も顧客に恵まれず、厳しい戦いを強いられてきた。
半年前までシスコに在籍していたプロケットCEOのローランド・アクラ氏によれば、「倒産もやむを得ない状況」という事態にまで陥っていた。コア・ルータ業界の筆頭ルーキーが故障で戦線を離脱した形になったわけだが、盛り上がり始めていた同業界にとっては大きな痛手である。なぜなら、今回の買収劇で投資家が同業界への投資から手を引く公算が高まり、今後、新興企業が登場する芽がつまれてしまったからだ。
また、せっかく買収したプロケットの資産だが、シスコが持て余す可能性も指摘されている。シスコはすでにCRS-1の発表を済ませた直後であり、次世代ルータ開発のリソースとしてすぐに流用するわけにはいかない。アーキテクチャ的にも大きく異なるプロケットの技術は、シスコの既存製品に生かすことは難しい。
故に考えられる2つのシナリオは、(1)プロケット製品のテクノロジ※をCRS-1のシリーズの1つとしてマージする、(2)プロケットの技術をCRS-1のさらに次の世代のルータ開発に回す、ということだろう。今後すぐに成果として表れそうなのが(1)のシナリオで、巨大だが小回りの利かないCRS-1の周りを固めるためにプロケット製品のテクノロジを流用するというものだ。
※ 編集部註:シスコのプロケット買収の契約には、プロケットの製品の販売・保守は含まれていない。著者は製品に使われている技術を含む意味で「(1)プロケット製品をCRS-1のシリーズの1つとしてマージする」と記述したが、意味を明確にするために「(1)プロケット製品のテクノロジをCRS-1のシリーズの1つとしてマージする」に修正する。2004/7/13 |
今回は、コア・ルータ業界の中心で起こっているここ最近の動きをざっとまとめてみた。近々公開予定の後編では、ルータ業界周辺のさらなる動きもレポートし、各社の戦略や今後業界が向かう方向性について考察してみることにする。 |
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後編もご期待ください |
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プロケットとカスピアン | |
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突然発表された、シスコのプロケット買収 |
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