究極のバックアップ――セクタ・レベルでディスクをバックアップする平野謙/デジタルアドバンテージ |
→ PC Hintsの全リストへ |
ハードディスクの故障で、OSやアプリケーションの再インストールを余儀なくされた経験を持つ人も少なくないだろう。OSから再インストールするのは非常に手間のかかる作業なので、システムの復旧に要する時間は少なくとも数時間、場合によっては完全復旧まで数日かかる場合もあるかもしれない。そこで事前にハードディスクの内容をバックアップしておけば、トラブルが発生してもバックアップ・データを復元(リストア)して速やかに復旧できる。
しかし、すぐに復元できるようにハードディスクの内容をすべてバックアップ(フル・バックアップ)しておくのは、意外と難しい作業だ。例えば、単純にエクスプローラなどで全ファイルをコピーしようとしても、OSが使用中のファイル(例えばWindows 2000/XPのレジストリやイベント・ログなど)はロックされていてコピーできないし、特別なアクセス権を持つファイルもコピーできない。また、パーティション・テーブルやブート・セクタなどもバックアップが必須の情報だが、ファイルとして保存されていないためファイル・コピーではバックアップできない。
こうしたフル・バックアップの用途に便利なのが、セクタのレベルからすべてのデータをバックアップできるソフトウェアである。ここではPowerQuest社製の「Drive Image」(国内販売はネットジャパン)を中心に紹介するが、ほかにも同様の機能を持つソフトウェアがある。
製品名 | メーカー/国内販売元 | 標準価格 | 特徴・備考 |
HD革命/BackUp | アーク情報システム | 1万4800円 | Ver.3では、パーティションの操作やIDE RAIDにも対応 |
Norton Ghost | シマンテック | 9800円 | ネットワークやUSBリンク・ケーブルなどを経由して別のPCにバックアップ可能 |
Drive Image | PowerQuest /
ネットジャパン |
1万5800円 | Ver.5.0では、DOSのブート・フロッピーを不要にし、インストールCDからの起動もサポート |
DriveWorks | ソフトボート | 1万2800円 | パーティションの操作やデータの完全消去にも対応 |
セクタ・レベルでハードディスクをバックアップするソフトウェア | |||
どのソフトウェアも、ハードディスクをパーティション単位で丸ごとバックアップ/リストアする機能を持っている。さらに、パーティションの操作やデータの完全消去など、さまざまなディスク関連のユーティリティを統合した製品が増えている。 |
Drive Imageの最大の特徴は、WindowsなどのハードディスクにインストールされているOSとは独立してバックアップ/リストア作業を実行できるため、普段は使用中でコピーできないファイルやブート・セクタを含めてフル・バックアップできることだ。バックアップされたデータは単一のイメージ・ファイルにまとめられるので、バックアップ後、Windows上でイメージ・ファイルをコピーして各種メディアに保存できる(イメージ・ファイルを介さず、パーティション間で直接コピーすることも可能だ)。また、イメージ・ファイルを任意のサイズに分割してバックアップしたり、CD-Rにイメージ・ファイルを直接書き込んでブータブルの(起動可能な)リカバリCD-ROMを作成したりする機能も搭載している。
Drive Image 5.0日本語版のメイン・メニュー画面 |
GUIなのでWindowsのように見えるかもしれないが、実際にはDOS上で動作している。バックアップするパーティションやバックアップ先(イメージ・ファイル)などの指定はWindows上で実行できるし、DOS上でもGUIなので、使い勝手はWindows上だけで動作するアプリケーションと大きな違いはない。しかしパーティションやファイルシステムに関する知識は必要である。 |
Drive Imageのようなソフトウェアを選ぶポイントの1つは、バックアップ先の種類だ。例えば、さまざまなファイルシステムをバックアップできるのに、イメージ・ファイルを保存するバックアップ先のファイルシステムにはNTFSを選択できない場合がある。また、少し古いバージョンだとCD-Rメディアには直接書き込めないものもある。シマンテックのNorton Ghostは、ネットワーク経由で別のPCのハードディスクにバックアップできるという固有の機能を持っている。
もう1つのポイントは、バックアップ/リストア以外の機能である。特にパーティションのサイズ変更/移動などの操作や、データの完全消去といったユーティリティを統合した製品が増えている。こうしたディスク関連のユーティリティを別々に買うよりは、統合されている方が安上がりである(必要とする機能が足りていればの話だが)。
注意すべきは、Windows NT 4.0/2000のクライアント版とサーバ版では、対応するパッケージが異なる場合が多いことだ。各種サーバ版に対しては、より高価なパッケージが必要になる場合もあるので、事前に十分OSのサポート範囲を確認しておこう。
関連記事 | |
ノートPCのディスク環境まるごとアップグレード | |
ディスク環境まるごとアップグレード | |
ディスク環境まるごとアップグレード[USB活用編] | |
ハードディスクに簡単バックアップ「StandbyDisk 2000 Pro」 |
関連リンク | |
HD革命/BackUpの製品情報ページ | |
Norton Ghostの製品情報ページ | |
Drive Imageの製品情報ページ | |
Drive Imageの製品情報ページ | |
DriveWorksの製品情報ページ |
「PC Hints」 |
- Intelと互換プロセッサとの戦いの歴史を振り返る (2017/6/28)
Intelのx86が誕生して約40年たつという。x86プロセッサは、互換プロセッサとの戦いでもあった。その歴史を簡単に振り返ってみよう - 第204回 人工知能がFPGAに恋する理由 (2017/5/25)
最近、人工知能(AI)のアクセラレータとしてFPGAを活用する動きがある。なぜCPUやGPUに加えて、FPGAが人工知能に活用されるのだろうか。その理由は? - IoT実用化への号砲は鳴った (2017/4/27)
スタートの号砲が鳴ったようだ。多くのベンダーからIoTを使った実証実験の発表が相次いでいる。あと半年もすれば、実用化へのゴールも見えてくるのだろうか? - スパコンの新しい潮流は人工知能にあり? (2017/3/29)
スパコン関連の発表が続いている。多くが「人工知能」をターゲットにしているようだ。人工知能向けのスパコンとはどのようなものなのか、最近の発表から見ていこう
|
|