Celeronプロセッサのクロック表記にある「A」の意味

デジタルアドバンテージ 島田広道
2002/02/07

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 PCのカタログにあるCeleronプロセッサのスペックに注目すると、クロック周波数を表す数値に「A」という文字が付いていることがある。例えばCeleronの1GHz版の場合、PCによっては「Celeron-1GHz」と「Celeron-1A GHz」という2種類の表記が見つけられる。これは、同じ1GHzというクロック周波数のCeleronでも、2種類の製品が存在することを意味する。「A」のあるCeleronと、「A」のないCeleronは別のものなのだ。

 Celeron-1GHzに対してCeleron-1A GHzは、クロック周波数こそ同じだが、プロセッサ・コアには次世代のものが使われている。具体的には、Celeron-1GHzは開発コード名「Coppermine-128K(カッパーマイン-128K)」が、Celeron-1A GHzには開発コード名「Tualatin(テュアラティン)」というプロセッサ・コアがそれぞれ採用されている。TualatinはCoppermine-128Kの次世代コアで、2次キャッシュ容量が2倍の256Kbytesになって性能も向上している。

2種類のCeleronのパッケージ
左がCoppermine-128K搭載Celeronで、右が新世代のTualatin搭載Celeronだ。パッケージ形状も異なるが、プロセッサとしての性能や機能も異なっている。

 プロセッサ・コアが切り替わる時期には、このように前世代と次世代の両方が同じクロック周波数で提供されることがある。両者には性能も含めて互換性のない部分があり、それぞれ区別する必要があるため、Intelは新世代コアを採用した方のクロック表記に「A」を付けている。

 以下の表に、歴代のCeleronの仕様とクロック表記をまとめてみた。2002年2月の時点で、4種類の「A」付きバージョンが存在することが下表から分かる。

クロック表記 プロセッサ・コアのクロック周波数 FSBのクロック周波数 2次キャッシュ容量 2次キャッシュのバス幅 プロセッサ・コアの開発コード名
1.30 GHz 1300MHz 100MHz 256Kbytes 256bits Tualatin
……
1.10A GHz 1100MHz 100MHz 256Kbytes 256bits Tualatin
1.10 GHz 1100MHz 100MHz 128Kbytes 256bits Coppermine-128K
1A GHz 1000MHz 100MHz 256Kbytes 256bits Tualatin
1 GHz 1000MHz 100MHz 128Kbytes 256bits Coppermine-128K
……
800 MHz 800MHz 100MHz 128Kbytes 256bits Coppermine-128K
766 MHz 766MHz 66MHz 128Kbytes 256bits Coppermine-128K
……
533A MHz 533MHz 66MHz 128Kbytes 256bits Coppermine-128K
533 MHz 533MHz 66MHz 128Kbytes 64bits Mendocino
……
300A MHz 300MHz 66MHz 128Kbytes 64bits Mendocino
300 MHz 300MHz 66MHz 0Kbytes Covington
266 MHz 266MHz 66MHz 0Kbytes Covington
Celeronのクロック表記とプロセッサ・コアの世代交代の関係
2002年2月上旬の時点でCeleronのプロセッサ・コアは4代目になっている。つまり過去に3回の世代交代が生じ、そのたびに「A」付きのバージョン(新世代コア)がリリースされていることが分かる。なお、766MHz→800MHzでFSBのクロック周波数が変更されているが、コアの変更は伴っていない。

 プロセッサ・コアの世代が変わると、同じクロック周波数でも性能が一段向上するため、複数のCeleron搭載PCのスペックを比較する場合は、プロセッサ・コアの世代を意識する必要がある。また、PCのアップグレードでは、使用中のプロセッサと同じ種類でクロックの高いものに交換して性能を向上させるという手法があるが、元のCeleronより新しい世代のコアを搭載したCeleronでは正常に動作しないことが多い。上表を参考に、コアの世代をまたいでCeleronを交換しない、あるいは新世代コアにPCが対応しているかどうかを確認するなど、注意が必要だ。記事の終わり

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