第4回 読者調査結果 小柴 豊 |
2001年に入ってフレッツ・ADSLの本格展開、Yahoo!BBの登場、FTTHの現実化など、日本でもブロードバンド接続環境が(今までの遅れを取り戻すかのように)急速に整備されている。そこでPC Insiderフォーラムでは、読者の自宅/SOHOでのブロードバンド環境を明らかにするアンケートを実施した。その結果をここで紹介しよう。
自宅/SOHOの接続回線:今後はxDSLと光ファイバが二本柱に
まずは読者のインターネット接続回線使用状況から見てみよう。自宅/SOHOでの使用回線について、「1.現在の主な環境」「2.今後6カ月以内に導入したい環境」を聞いた結果が以下のグラフである。相変わらず、現在の環境は「アナログ電話回線」が最も多いが、「xDSL」「フレッツ・ISDN」「CATVインターネット」といった常時接続環境が増えていることが分かる。一方、今後導入したい環境では、読者の希望が「xDSL」「光ファイバ(FTTH)」の2つに絞られている。自宅/SOHOブロードバンド化の進展は、xDSL/FTTHの普及スピードにかかっているようだ。
自宅/SOHOのインターネット接続回線(回答人数:194) |
自宅/SOHOのネットワーク構成
次に読者の自宅/SOHOネットワーク構成を見てみよう。「ルータやPCによるLANでのインターネット接続共有」「インターネット向け公開サーバの設置」の実施状況をそれぞれ聞いたところ、おおよそ5割の読者がLANでインターネット接続を共有しており、1割が公開サーバを設置していた。また「現在は実施していないが、今後してみたい」という実施意向率は、LAN共有で約4割、公開サーバで5割にも上っており、xDSL/FTTH普及後はこれらの実施率も大きく向上すると思われる。意外とサーバを公開したいという読者が多いのに驚く。
自宅/SOHOのネットワーク構成 (回答人数:194) |
自宅/SOHO用ネットワーク機器:注目はBBルータと無線LAN
では今後のブロードバンド化に向け、読者はどのようなネットワーク機器に注目しているのだろうか。回線と同様に「1.現在使用している機器」「2.今後使用したい機器」に分けて聞いてみた。現在は伝統的(?)なネットワーク機器である「イーサネット・カード」「アナログ・モデム」の使用率が高いが、今後は「ブロードバンド・ルータ」および「無線LAN(アクセス・ポイントやインターフェイス・アダプタなど)」を導入したいとの意向が高まっている。ブロードバンド・ルータと無線LANを併用し、テレビのように各部屋に1台、インターネット端末を置くのが当り前の時代も、そう遠くはないかもしれない。
自宅/SOHOのネットワーク機器使用状況(複数回答あり、回答人数:194) |
ブロードバンド・ルータ機の選択要因:ポイントはセキュリティ
前項で「ブロードバンド・ルータを使用している/今後使用したい」と答えた読者を対象に、希望する機器形式を聞いたところ、「市販のブロードバンド・ルータ専用機を購入する」と答えた人が8割に達した。専用機は高機能タイプから安価なものまで選択の幅が広がっており、ユーザーにとっては既存のPCを活用するよりも魅力的な存在になっているようだ。確かにブロードバンド・ルータは、安価なものならば1万円少々で購入可能であり、またはPCを流用するよりも設定や管理の容易さの面で優れている点が好まれていると思われる。
希望するブロードバンド・ルータの形式(回答人数:134) |
ではブロードバンド・ルータを導入する際、読者はどのような点を重視して製品を選択しているのだろうか? 複数回答可でたずねた結果を見ると、「価格」「高度なファイアウォールや攻撃検知機能」「PPPoE対応」がトップ3要因となった。これらのうち「価格」は、自宅/SOHOが前提である以上当然重視されるし、「PPPoE対応」もフレッツ・ADSLなどの場合は重視せざるを得ないが、パケット・フィルタリング以上に高度なセキュリティ機能へのニーズが強い点が興味深い。常時接続時代のセキュリティ意識の高まりに加え、上述したような公開サーバの設置意向も影響しているのだろう。今後は自宅/SOHO用機器についても、セキュリティ機能の充実度が差別化要素となりそうだ。
ブロードバンド・ルータ導入時に重視する点(複数回答あり、回答人数:134) |
調査概要 | |
調査方法
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PC InsiderサイトからリンクしたWebアンケート |
調査期間
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2001年6月25日〜7月16日 |
有効回答数
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194件 |
関連リンク | |
ブロードバンド・ルータとプロバイダの動作確認情報 |
「PC Insiderの読者調査結果」 |
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